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音の聞こえ方 [音楽理論]

オシロスコープで音を見ると,様々な波形が見られる。純音はきれいな正弦波であり,楽器の音は様々な高調波(ハーモニクス)が含まれる。各楽器特有の波形を持つため,どの楽器かすぐ分かる。

波形1.gif波形2.gifそれでは,左の二つの波形。それぞれどのように聞こえるだろうか。波形がかなり違うため,音色が異なって聞こえるような気がするが,実は殆ど同じように聞こえる。なぜだろうか?

二つの波形は,基本波と第3高調波の割合が等しい。この波形の音の音程がドだとするとオクターブ上のソの音が各々同じ割合で入っている。ではなぜ波形が異なるかと言うと,両者の位相関係が異なっているからである。含まれる第3高調波の位相が逆である。

おそらく距離感や方向感等には利くのだろう。音響工学に詳しい人ならば一家言を持っておられるかもしれない。

我々の耳は,オシロスコープで波形を見ているわけではなく,含まれる周波数成分を分析して聞いている。いわばスペアナ(スペクトラムアナライザ)である。実際の音声をオシロで見ると,その波形はほとんどランダムに動くが,スペアナでは特有の周波数成分が固定しており割とゆっくり変化する。ではなぜ人間の耳がそのようになったのだろうか?以降,医学知識は全くないので,音響の基礎的な面からの想像で話をする。

もし,波形で聞いていたら,環境により音が変わりすぎて,まともに聞けないからではないだろうか?例えば,周りに何もない草原で話すのと,洞穴の中でしゃべるので,同じことをしゃべっていても,全く異なったサウンドに感じられては困る。専門的には,信号が伝わる空間の様々な影響で音の遅れが周波数により異なる性質を群遅延特性という。これが直線特性(遅れの周波数特性が一定)でないと波形が元の波形と異なってしまう。だから,人間の耳は位相ずれに対してわざと鈍感にして,音が伝わる空間の影響を取り除いているのではないかと想像される。そのおかげで,周りの環境が変わっても,楽器の音を聞き分けられるし,会話を聞き取ることが出来る。

なぜ,このようなことを述べたかと言うと,先日書いた,トルナボス付き楽器では,音がどこか遠くで鳴っているような感覚がある。これはトルナボスにより位相特性が変化しているからだろう。
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