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あっけない話 [雑感]

ギターイラスト.jpg「対称形とクラシックギター」で書いたが,何かの「秘訣」なるものは案外あっけない。
ある一部上場企業の創業者の講演で会社設立と繁栄の秘訣を聞いたことがある。
「足し算・引き算が出来ればよい。入るを増やし,出るを減らせばよい。」と,何ともあっけない話。
しかし,これに続けて,凡百の経営者はその当たり前の事が出来ないのだとも。会社の調子がよいと,多くの経営者は必ずと言って良いほどムダな支出を増やす。これでは調子の悪い時に対応できないと。本物の話はシンプルであっけない。複雑な話は本質を含んでない可能性がある。本質を含まないから複雑になるのかも知れない。

ギターの話に戻れば,銘器と呼ばれる楽器の音も何かあっけない。
友人から譲ってもらった量産楽器で開始したギターだったが,大学でギター部を創設するにあたり,使用楽器がそれではみっともないと思った。30年余り前では10万円以上の楽器は手工品。夏休みのアルバイトと姉からの援助で何とか手に入れた楽器が15万だった。国産では河野やヤマハの30号が最高級品だった。当時ハウザーを持っている人にその一ケタ違う値段の楽器を弾かせてもらったが,「あれ,こんなもの?」自分の国産楽器よりあっけない音だと思った。

当時は正直その良さが良くわからなかった。
中年になってからの再開後,楽器店などでのためし弾きもあつかましく出来るようになり,有名楽器を試す機会も増えた。サントスは枯れきっていたのか余り印象に無い。60年代のフレタ,アグアドも何でもない普通の楽器に感じた。銘器と呼ばれるものの正体はこのあっけなさではないかと思う。むろんこれらも銘器の部類だろうが,アルカンヘル・フェルナンデスの力強いしまった低音やベルナベの重厚なパワー,ドミニク・フィールドのハイポジションの飛び出すようなスムーズな音,ジュッサーニの目の覚めるようなパワーなどが印象に残る。他にも有名どころも結構ためし弾きしたが,印象をすっかり忘れてしまった。耳が悪くなったのかなと思って,安い楽器を弾いてみると,なるほどそれなりの音がするので,ほっとする。

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