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対称形とクラシックギター [雑感]

カーシャ・ギターの紹介のところで述べたが,楽器が多少変な形でも,左右対称ならば,落ち着いて見える。
非対称にするには,よほどの勇気がいる。形の自由度が一挙に広がってしまう。どうしても見た目,風変わりな印象になってしまう。換言すれば,外観にこだわらなければ,高性能な楽器が作り出せるということを示したわけだ。

レイズドフィンガーボード.jpg例えばクラシカルの奏者にカッタウェイモデルは好まれない。ハイポジションが弾きやすくて音質的にも差が無いとわかっていてもである。かなり保守的なものである。その点,左図に示すレイズド・フィンガーボード(サイドから見た図)はトップからの外観は左右対称なのが比較的受け入れられる原因ではないかと思われる。音を出す自然物,セミや秋の虫はすべて左右対称である。しかしよく観察すると,全体として対称形であっても,左右どちらかの羽根を上下にするといった部分的な崩れがある。完全に対称と言うことはありえない。通常のギターでも弦に低音側と高音側がある以上,カーシャのように極端ではないにしろ,内部の力木構造や板厚など非対称である。外観でも,弦振幅に対応して,当然低音側はブリッジを高くする。ネックも多少ねじってある。だから,左利き用のギターは特注で,右利き用と内部構造を鏡像対称に作る。

今は亡き経験豊富な方*から,ギターサークルなどを存続させる秘訣をうかがったことがある(私は学生時代から3回作ってつぶしてしまった)。クラシックギターを使って,クラシックの曲をやると言うことである。何ともあっけない話だが,人気とりでポップスなどをやると,あっという間に変質してしまうと言うのである。存続の秘訣はいわば保守性である。かといって百年一日のようでは飽きられてしまう。クラシカルギターの枠組みの中で如何に新しいものにチャレンジし,革新を図っていくかであろう。

*故・中田照二氏。この話を伺ってしばらくして他界されてしまいました。98年の事だったと記憶。
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屋上のギター弾き

決してバカにしてる訳じゃあないけど、クラシックギターのプレイヤーが
popその他のナンバーをやるとまず感じるのは
”あまりにも乗りが悪すぎる”
”アレンジがクサ過ぎる”
たった2,3分の曲も暗譜してない(どんな曲でも楽譜を見てるが、練習してない?)
小奇麗な格好をしてるが全く”臭いがない”
要は全部指導してる人間次第なんだろうけど
結果、「やらないほうが良い」
と言うことなのでは?
だいたい「人気取り」と言う考え方自体わからない
同じ12平均律の音楽にpopも古典もない
あるのは”ウマイかヘタか”あるいは”良いか悪いか”
”好きか嫌いか”
好きなものならやれば良い
嫌いならやらなければ良い



by 屋上のギター弾き (2014-04-26 07:06) 

Enrique

屋上のギター弾きさん,過去記事にコメントありがとうございます。
この記事では,クラシックギターのサークルを存続させる秘訣としてポップス系はやらない方が良いというアドバイスをもらったと言う事に触れています。
文面からして,ポップス系の方と思いますが,仰る事を重視する観点からしたら,全くその通りだと思います。ポップス系の人がバッハ,ソル,スペイン近現代ものなどをやらないのと同様,クラギ系の人はポップス系はやらない方が得策だと思います。
クラギ系の人が本来の曲をやる時は普通は暗譜ですが,初見で弾ける様なポップス系のアレンジを暗譜する気は起きないのでしょう。そして,その位の意識だと演奏もそれなりのものでしょうから,全くご指摘の通りでしょう。
ただギターと言うのは間口裾野の広い楽器で,クラギの分類でも純クラシックよりは映画音楽などのポップス系の方が人気があったりします。そしてクラギの技術でポップス系を聞いてみたい,やって見たいという要望も強いわけですが,それに乗ってしまうと,罠にハマるということだろうと思います。
用いる音階は同じでも,リズムのノリはもっと根源的なもので当然ジャンルの違いはありますが,それを意識されない方から見たらダサイだけに見えるでしょうから。
by Enrique (2014-04-26 09:32) 

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