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弾き込みとニューコンセプト楽器(つづき) [楽器音響]

ラティスブレイシングと並ぶ,現代楽器の双璧はダンマンなどに代表されるダブルトップである。これは伝統楽器に近い音質のまま音量増加に成功しているという。ブログ「アメリカで開始したクラシックギター」に詳しい。

schneider_kasha.jpgスモールマンはその画期的なラティス・ブレーシング以外外観は伝統的なスタイル(バックの彫りこみはオーストラリア楽器に共通でマーティなどもそう)だが,かつて構造に関し徹底した理工学的アプローチの楽器があった。Dr.カーシャと製作家リチャード・シュナイダーとの共同で開発された,カーシャ・ギターがそれ。グランド・ピアノ並みの音量を持ち,セゴビアが「未来のギター」と賞賛したという。しかし,これを使うクラシカル奏者を余り知らない(確かこれでエトベシュより前にゴールドベルクを弾いている人がいたはずだが,失念してしまった)。多分そのエキセントリックな外観も災いしているのではないか。例えば,ブリッジ部分。弦振動を効率よく表面板に伝えるためには,高音側に比べ低音側が重い必要がある。そのため,ブリッジは銀杏の葉のように低音側に広がる(インピーダンス・マッチング・ブリッジ)。理屈はよしとしても,意匠的にはどうだろうか?写真の様にサウンドホールが端につくモデルもある。

村治奏一くんが使っているハウザーII世でない方の新しい楽器(名前失念)もサウンドホールの位置がヘッド寄りである。カーシャと違い左右対称なので,割と好む人もいるかもしれない。これらに関する製作者の正式見解は知らないが,通常の楽器の場合表面板の主な振動部分はサウンドホールよりもブリッジ側のみであるので,サウンドホールをネック側にずらせば,表面板の有効面積は稼げる。

弾き込みに関しては,良い楽器は新しい時から結構よく鳴ると言われている。新しい時鳴りにくく,弾き込みがきく楽器はあるが,鳴らない楽器がすべてが鳴るようになるわけでは無い。余りに良く鳴る楽器は「バカ鳴り」とかいわれて敬遠されることもあるそうだ。音質と寿命を懸念してのことらしいが,鳴らなければダメ,鳴りすぎてもダメ。配偶者選びと同様,楽器選びの難しさである。

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