SSブログ

バリオスの自作自演 [演奏批評]

バリオスほど評価の分かれるギター作曲家は少ないのではないか。

セゴビアは彼の作品を悪い音楽として、自身はおろか生徒にも弾かせなかったそうだ。
生徒がたまたま弾いてしまっても、バリオスは作曲などできるわけがない,と否定したそうだ。
この辺は,本ブログが影響を受けた「アメリカで開始したクラシックギター」に詳しい。

ジョンはセゴビアが決して取り上げなかったバリオスを盛んに弾いた。「最後のトレモロ」などはジョンの演奏で名曲になったのだろう。一方セゴビアが愛奏したポンセやデデスコはあまり弾いていない。ソルに至っては先に記したように(名指しではないにしても)アマチュアの音楽としている。

ジョンのバリオスひいきは,セゴビアへのアンチテーゼであろう。
バリオスの曲は理論的に変なコード進行が随所にあるようだが、これを革新的と認めた上で理解して演奏すれば魅力ある音楽となるだろう。いくつかの曲をメドレーで聴くような(否メドレーならもっとうまくつなげるのではないかという)趣がある。ジョンの音楽性と思い入れをもって初めて再現できる音楽のような気もする。

やっとタイトルにたどり着いた。バリオスの自作自演は,MELBAYから出ているストーバー編のバリオス全集第2巻におまけでついているCDで聴いた。購入時ちょっと聴いたときは、「ノイズの多いやたら速い演奏」くらいの認識しかなかったが,よくよく聴くと,ものすごいテクニックで完璧に弾いている。同時代ながら,セゴビアのような歌いまわしはない。音はよくわからないがスチール弦のようには聴こえない。セゴビアが嫉妬したとしても無理はないだろう。

自作自演には含まれていないが,武満は,「郷愁のショーロ」を非常に好んで,荘村清志さんによく演奏をねだったというのは有名な話である。玄人好みする作曲家なのであろう。
nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0