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楽器の難しさ [演奏技術]

いきなりアランフェスから開始した我がブログである。大上段に振りかぶって後に引けなくなってもいけない。細かい奏法や解釈(なるものを余りやってこなかった)はおいおい書きつづる予定で,少し離れて見てみる。

歴史的に見れば,この楽器がクラシック界に躍り出た記念碑的な作品でもある訳だが,やはり特殊ゆえに課題・問題点はある。「楽器の難しさ」と言ってしまえばそれまでだが,デラマーサの手が入っているとはいえ,この楽器を弾けない作者の作品と言うことでの技術的困難がある。19世紀初頭のソルやジュリアーニら,ロマン派に重なるタレガ,20世紀のバリオス,現在のディアンスやヨークなどに連なる,いわばコンポーザ・ギタリストの作品とはやはり一線を画す。弾き難さの代償としての音楽的普遍性とでも言おうか。例外的にヴィラ=ロボス(ブローウェルはどちらだろう?)は主流の作曲家でありながらギターをかなり弾けたのは特筆すべきこと。なお,ジスモンティは間違いなくギターも(ピアノも天才的に)こなす現代の大作曲家であろう。

20世紀はセゴビアの影響力で,多くの一線作曲家からオリジナル曲が生まれた事に異論は無いだろう。その質・量はここで取り上げる範囲を超えており,その必要も無い。セゴビアの独特なネオ・ロマン主義や強力な個性に関しては逸話も多いところでもある。この曲を弾かなかった件ももう神話のようになっている。

ロドリーゴはこの出世作で一躍大作曲家になったが,スペイン近代のアルベニス,グラナドス,ファリャ(オリジナル1曲のみ),トゥリーナ,モンポウらにその系譜をたどることは可能だろう。
ジョンは20世紀の作品はプロフェッショナル向け,19世紀のそれはアマチュア向けとNHKでの福田進一インタビューで答えている。そこまで単純な決め付けもどうかとは思うが,一家言だろう。

演奏技術の進歩は目覚しい。巨匠でも大変そうだった部分を若い人たちはすんなり弾いている。デニス・アザバジックのアランフェスも何か余裕である。
私のような物好きおじさんが曲がりなりにも取り組んでいるのも,若い人たちと情報を共有できるおかげだろう。
私が始めたころは,タレガのアラビア風奇想曲やソルの魔笛が難曲だった時代である。
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