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洗濯機の話 [科学と技術一般]

電気学会誌の10月号に,「洗濯機技術の変遷」という記事が載っており,興味を惹かれました。

家電製品の技術というのも,一般には馴染み深いものですが,研究分野としてはある意味特殊分野で,メーカーの技術報告などには載っても,一般の学術誌には載りにくいものです。

逆に言えば,プロ相手にではなく一般大衆に受けるような,「マイナスイオン」とか「プラズマ何とか」とか,学術的には??なものも宣伝文句にはなるわけです。むろん新技術の適用もあるでしょうが,多くが研究レベルの話ではなく既存技術の組み合わせで,如何に製品としてアピールできるかどうかがポイントだからです。


IMG_3258.png 能書きはそのくらいにして。

当方も記憶にある懐かしい昔の洗濯機が載っています。
図1,2は噴流式(一槽式)のモデルで,1952年に輸入されたイギリスのフーバー社製でした。すぐに我が国のメーカーも開発に乗り出したのでした。当方の記憶にあるのは,多分三洋電機製のこの手のデザインの製品だったと思いますが,パルセータの位置は底にある渦巻式になっていたと思います。


電気じかけの脱水機は無く,ハンドルのついたゴムローラーの間に洗濯物を挟み込んで,水を切るしかけです。

これに興味持ったのは,当方の様な面白半分な子供だけで,母はあまり使っていませんでした。もっぱら腕力で絞っていたと記憶します。当方は洗濯機そのものよりもこのゴムローラー?に興味を持っていました。


この装置,「マングル」というのだと60年振りくらいで初めて知りました。当初は,シーツやテーブルクロスなどの大型の洗濯物用だったらしいですが,後に(19世紀の英国での事?ですが)洗濯機の上に簡単なマングルが取り付けられるようになったそうです。実家にあった(たぶん)三洋製の電気洗濯機では,そのような歴史的な変遷をセットにして取り込んでいたのでしょう。


IMG_3260.png
私の感覚では,マングル付きの一槽式モデルは,すぐに二槽式になった様に思います。これもその後輸入されたフーバー製のものをモデルに国産メーカーが作ったようです。二槽式はかなり長く使われたのでは無いでしょうか?これになって,さすがの母も,腕力に頼るのを止めて脱水機を使っていました。

記事には,最新式の乾燥機能付きの洗濯機の話などもありましたが,当方には古いものに興味が惹かれました。学会報は学術論文ではなくて読み物ですし,どちらかと言えば,技術史的な記事でした。


マングルとともに,子供の頃に興味を持ったのが,パルセータが一定時間ごとに逆回転することでした。

妻に,「今の洗濯機も逆回転するの?」と聞いたところ,「そんなもん知らん。興味なし。」との事でした。マングル付きの電気洗濯機の前は,ほとんど昔話に近かった洗濯事情も記憶にある当方としては,時の流れを感じるのみです。
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風神

あの脱水装置は、「マングル」という名だったんですね。
家にあったのは、洗濯機の横にそのマングルが取り付けられた物でした。
8歳ぐらいでしたが、よくお手伝いでハンドルを回していました^^;
パルセータって言うんですか、底のインペラーは一定時間ごとに逆回転していました。二層式ですすぎ層があったのか、逆回転を見つめてた記憶があります。
by 風神 (2023-11-06 17:35) 

Enrique

風神さん,
ご記憶だとは思いますが「マングル」は手回しのローラーの間に洗濯物を挟んで絞る器具です。一槽式の洗濯機の上に(上の横側についていたかもしれません)。あまり実用にはならなかった様で,子供が悪戯するだけで母は使いませんでした。
二槽式になると一方の槽は遠心式の脱水装置になり,さすがの母もこれを使いました。
洗濯槽を逆回転させるのは,からみつきを戻すためで,子供には面白い装置だったと思います。コンデンサ型誘導電動機の逆転を学んだのはだいぶ後になってからでしたが。
by Enrique (2023-11-06 19:10) 

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