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EEP 拡張 [日常]

昨年から当家に自家発設備を導入しています。
これを勝手にEnrique Electric Power(EEP)と呼ぶ事にしました。

昨年,定格250Wのパネル1枚に,20AのMTTPチャージコントローラ,50Ahの鉛蓄電池1個,1kWのインバータのオフグリッド発電所としてスタートしました。パネルやバッテリーは手持ちのもの使ったので,持ち出しは,チャージコントローラと1kWのインバータの代金でした。

井戸ポンプの電源をこれにしていますので,井戸水はポンプの電気代も含めて完全フリーな上,災害時に電気と水道が止まっても,両方がそこそこ確保できるという寸法です。電気と水が確保されれば,ガスや灯油は薪で代用です。むろん現在住宅地での直火は禁止ですが,災害時ならば許されるでしょう。

万一の災害対策用,非常用としてスタートした太陽光自家発設備ですが,電気料金が大幅アップした昨今,電気代そのものも少し節約してやろうと,助平根性が出てきました。

ご承知の様に,昔から電気料金はフラットではありません。
契約アンペア数による基本料金に加え,使用した電力量による従量制ですが,使用電力量に比例するわけではなく,段階的に上がります。どこの電力も似たり寄ったりですが,東京電力(スタンダードS)の例を示せば,現在,

東京電力「スタンダードS」の料金表【2023年7月1日以降】
基本料金(10Aにつき)電力量料金(1kWhあたり)
295.24円 (15Aの場合=442.86円)
〜120kWh121kWh〜300kWh301kWh〜
30.00円36.60円40.69円


となっています。例えば40A契約ならば,基本料金が1180円,使用電力量が120kWhまでの単価が30円/kWh,121〜300kWhまでの単価が36.6円/kWh,301kWh以上が40.69円/kWhとなります。グラフで表せば,以下の様になります。

電力料金.png
東京電力「スタンダードS」40A契約による電力使用量と電力料金のグラフ
全く使わなくても,基本料金は掛かりますので,全く使わないのもアホらしいものです。月に120kWhくらいの使用が最も経済的な使い方でしょうか。月120kWhの消費量ならば,月額4780円です。しかし120kWh越えで,単価が約2割上がり300kWhの使用で11368円,さらに300kWh越えでさらに単価は約1割上がり,500kWhの使用で19506円になります。

一般の品物は沢山買えば単価は下がるのが常識ですが,使うほど単価が高くなるのが電力料金の特徴です。公共料金であるためか,税金の累進課税の様なものです。ですので電力料金を節約するためには,如何に単価が上がる大台を超えないかがキーとなります。120kWh以内で収めるのが理想ですが,当家の場合,単価が一番高くなる300kWhラインを超えないのが電力料金節約の現実的目安となります。EEPのオフグリッド発電で,300kWhラインを超えそうになる電力使用をカバー出来れば,御の字です。


スタート時からしばらくして,電池容量が足りない様な気がしたので,同じ銘柄の50Ahのものを2個並列で使っていましたが,特性の不揃いで循環電流が流れるのか(確認はしていませんが),2倍になった感覚を持てませんでした。直列24Vで使いたかったのですが,インバータが12V仕様なので,止むを得ず12Vで使っていました。フル充電でも一晩置くと,開放電圧で10Vを下回る様な事もあり,バッテリー自体のへたりと判断し,マリン用?の115Ahのものに置き換えました。1個で以前の2個以上の容量です。

インバータが1kW仕様ですが,まるまる1kW使おうとすると,12Vバッテリーでは,インバータの効率を80%として,1000W ÷ 12V ÷ 0.8 ≒ 100Aもの電流を取り出す事になります。付属の線径や接続部が持つのかなといったレベルです。電子レンジや電気ケトルが使えなかったという様な苦情が多いためか,メーカーさん余裕を持った容量のものを使う様に盛んに予防線を張っています。カーシガレット電源などは最大電流10Aですから,100Wしか使えません。これをインバータのせいにされたりしたら,メーカーさんもかないません。


ということで,1kW仕様のインバータでも12Vバッテリーでは厳しそうです。24V系にすべく,115Ahのバッテリーを直列に1個追加しました。幸い,ソーラーパネルの発電電圧には余裕があり,チャージコントローラのバッテリー出力は24V自動判別です。ただし,インバータは入力電圧24V仕様のものを新規購入しました。出力4kW仕様ですから,数字上は自宅の電源(100V,40A契約)をすべてカバー出来ます。むろんどれだけの時間持ちこたえられるかは,発電電力とバッテリーの蓄電量によります。

IMG_2421.jpeg
今回増強したバッテリーとインバータ
元の電力が足りなければどうしようもありませんので,パネルも増強する事にしました。現行のパネルと同じものはとうにありませんので,現行のパネルと同程度の電流容量のものを直列に使う事にしました。幸いチャージコントローラの電圧入力は100Vまでと余裕がありますので,買い換える必要がありません。

ということで,380W(最大電力時電圧35.2V,最大電力時電流10.8A)のパネルを追加しました。

IMG_2417.jpeg
今回追加したパネル(手前)
単純和*で最大出力630Wの発電能力,蓄電能力2.76kWh,最大使用電力4kWの設備となりました**。

チャージコントローラのモニタ機能で発電状況をiPhoneでモニタしながら,発電電力をムダなく使う事にしました。インバータの挿入損失がありますので,夜間など使わない時は屋内からオフにしています。今度の機種ではオンオフがリモコンでできるのでお手軽になりました。

IMG_2422.png
iPhoneの発電・蓄電量モニタ画面。梅雨の曇天で100Wくらいしか出ません。インバータはバッテリーに直接繋いでいるので,コントローラ側の負荷モードはOFF。2.8kWのエアコンをセーブモードで動かしています。

*直列接続ですので,元のパネルの電流容量で制限されるため,総合最大電力550W程度だと思われます。
**現在,2kWhのポータブル電源単体が20万円前後しますが,パネル代込みでそれの半額以下で設備できました。
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コメント 4

ロートレー

電気料金の上昇が止まらない状況下で,太陽光発電パネルを有効に利用できると理想的ですね
おまけに井戸水を使えたら、融雪やトイレの洗浄水にも利用できそうですね
札幌は、年間日照率や積雪の関係で太陽光パネルを設置する家庭はまだ少ないです^^
by ロートレー (2023-07-09 21:54) 

ヒゲジイジ

詳しく解説して頂きありがとうございます。
自分もやってみたいと思いました。当方は元電気系の設計の仕事でしたのでKWやアンペアなどの文字を見ると、なにかしたくなってしまいます。
by ヒゲジイジ (2023-07-09 22:18) 

Enrique

ロートレーさん,
目に見えて料金を下げるほどではないですが,1日平均1kWh節約(-40円)して1ヶ月1200円とか目論んでいます。
井戸との合わせ技は我ながらniceだと思っています。トイレや風呂に使えれば水道代半減ですが妻の潔癖症のため,外の散水のみです。
気温が低いとパネルの発電効率が上がるので,北国の方が向いていると言われます。
by Enrique (2023-07-10 05:27) 

Enrique

ヒゲジイジ様,
接続図などあった方がよかったかもしれませんが,ご経験ある方なら簡単なものですね。
風力や水力も考えたのですが,現在の環境ではソーラーが最も現実的です。ただしお金かけてオングリッドの設備をしても全く元が取れませんので,低コストでのゲリラ的な発電を楽しんでいます。
by Enrique (2023-07-10 05:44) 

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