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自衛策 [科学と技術一般]

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当方は平和主義者です。
何があっても戦争だけは避けなければならないと考えています。

その上で,純粋に自衛について考えてみます。

IEEE(米国電気電子技術者協会)の会誌「スペクトラム」1月号の"Top Tech 2023"に,レーザー兵器の記事が載っていました。

IEEE Spectrum 1月号の"Top Tech 2023" より。米陸軍に納入されたLockheed Martin社の300kWのレーザー兵器。
攻撃された兵器に対して運動兵器で迎撃するというのは,コストの問題があります。
撃ち込まれたミサイルを迎撃するには,それよりもはるかに高度な技術を使った高価な兵器を用いないといけません。ましてや,対象がドローンや気球であったら。そんなものを高価な兵器で迎撃するというのは,成功したとしても全く割に合いません。

このところ,アメリカに中国のものと思われる気球がいくつも飛来し,それらを撃墜したとの事です。それに際してアメリカはレーザー兵器を使うのかと思いましたが,使っていないようです。詳細はわかりませんが,そうそう手の内も見せないのでしょう。むろん,そう高価な兵器は使ってはいないでしょうが,風船玉をミサイルで撃墜?というのも何やら大人気ない様な気もします。

"Spectrum"に載っていたLockheed Martin社の300kWのレーザー兵器では,わずか5ドルの電気代で,ドローンや巡航ミサイル!などの飛行物体を撃墜できるとの事です。


亡父が語っていた戦時中の光線兵器のようなものですが,当時レーザーは開発されていませんから,おそらくマイクロ波兵器だったのではないかと思われます。マイクロ波を発振するマグネトロン(磁電管)は開発されていましたが,当時の技術と経済状態では,敵機を撃ち落せるくらい強力なものを作るのは無理だったのでしょう。

経済力無く戦争を継続しようとすれば,貧者の兵器で対抗するしかありません。旧日本軍はアメリカ本土への特殊作戦として,和紙と蒟蒻糊で作った風船爆弾を数千発投入しました。

今回の中国製らしき気球は,直接的な兵器ではなさそうですが,アメリカ側の神経を逆撫でするには十分。旧日本軍の風船爆弾を重ねてしまうのは当方だけでしょうか。


なお,当方は兵器は作るべきでは無いし,まして使うべきでは無い。紛争は外交や文化面での交流などの,いわゆるソフトパワーによって防ぐべきと考えています。
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枝動

こんにちは。
私も平和主義者のつもりですが、こと自分のこととなると違いますし、ウクライナのようになれば、当然抗戦を望みます。ということは、平和主義者じゃないですね。^^;
「兵器は作るべきでは無いし、まして使うべきでは無い。」には、御意です。純粋な疑問として、何故核兵器の廃絶が出来ないのだろうと思います。人は愚かだと、常々感じています。
by 枝動 (2023-02-16 15:49) 

八犬伝

気球一つを撃ち落とすのに、5,000万円使った
と、テレビのワイドショーで報道していました。
5ドルの電気代で迎撃とは、環境にも優しそうだし
良い事ですね。
軍備を増強すれば拡大し続けていかなければならないでしょう。
軍需産業に金を落す、浪費以外の何物でもありません。
by 八犬伝 (2023-02-16 20:39) 

Enrique

枝動さん,
ウクライナの現実があると,いくら理想を掲げても仕方がない,というのが多くの方のお気持ちだろうと思います。
有り難い事に日本では,戦後77年間もその様な事は起こっていませんが,むろん防ぐ手立ては考えていかないといけません。
戦争は圧倒的に儲かるイベントです。並みの経済原則すら働かず破壊的需要と消費を生みます。
この様な状況下だと軍事費拡大がすんなり通ってしまいます。予算拡大して安心していると,軍拡が軍拡を呼び戦争屋の思う壺になります。
予算消化のために高い役立たずの兵器を大量導入されたのでは,国民は堪ったものではありません。軍事費を拡大するならばむしろ中身を精査しないといけません。
記事で挙げたレーザー兵器の様な圧倒的にコストパフォーマンスの高い兵器こそ日本の様な国には必要なものだと思います。
核も抑止力神話がある限り手放さないでしょうね。残念ながら愚かな人が人類を牛耳っているということでしょう。
by Enrique (2023-02-17 06:49) 

Enrique

八犬伝さん,
むろんこんなものも無い方が良いのですが,戦争屋のぼろ儲けを防ぐ手立ても必要ですね。
レーザー兵器でミサイルなども撃ち落とせば,高価なミサイル開発なども無力化できそうです。
ただ兵器というものは純粋に防御用などというものはなくて,レーザーを衛星から照射すれば攻撃兵器にも使えてしまいますし,出力が足りなければ,地上から照射して衛星のミラーで反射させるという手もあるでしょう。
戦争屋は,時代遅れの兵器を他国に押し付けたり戦争で消費して,新しいものを考えているはずです。

by Enrique (2023-02-17 07:00) 

Ujiki.oO --> mysqldump.sh Version: 6.2

興味深く読みました。
今回の騒動を知り、偏西風を上手に利用した核爆弾攻撃気球の実験だと空想しました。
彼らの予定の通り、台湾と日本に戦闘を開始する直前に、核爆弾を搭載した大量の気球を偏西風の通り道より放つ。 無料の偏西風によって、彼らの気球は地球を一周する?
彼らは何度も繰り返した実験統計により、最適な場所で、出発時に搭載している籠の中の高圧ボンベを気球に送り、高速偏西風から離脱する。そして用済みの高圧ボンベを載せた籠は切り離す。(米国が撃ち落とした気球は籠を切り捨てた後の気球です)
さて、高高度で移動をする爆弾気球は、それを攻撃するのは簡単ではありません。
1. 光兵器では大気の屈折で長距離攻撃が不向き。拡散してしまう。背後の低軌道衛星や衛星軌道上の基地に被害が出る。
2. 地上ロケットでは、同じく背後の低軌道衛星や衛星軌道上の基地に被害が出る。
3. 結論として、気球の背後や周囲に被害が最も少ないことを、地上だけでなくて、戦闘機のレーダー等の電子機器、そして最終的な判断を戦闘機のパイロットが行う。気球の背後と周囲に気遣って、戦闘機のパイロットの目視安全確認を重視して、可能な限り接近して、空対空ミサイルを発射した。
4. 太陽光パネルが重りとなって、地上まで落下したのはラッキーでした。もしも浮遊が継続したら、宇宙ゴミが増えるところです。
5. ロケット弾が地球の軌道に乗ってしまうと・・・・恐ろしいですよね? 暴走したロケット弾を高高度で破壊すると、攻撃的な太陽風の悪影響を広範囲に受けてしまう・・・・

「阿漕であっても商売で金を儲ける!」と言う欲求が、有史以来、滔々と流れます。 武器売買で儲ける情熱が、武器の消耗を促すことに傾注する? 武器の購入には、きっと販路の闇があって、正当な貿易が困難だからこそ、武器商人は儲けます。 武器取引で儲かるのは、政府や企業の上から下まで、裏金を要求できる個人の末端まで、取引に係わる全員が多少の利益を得ます。 歴史的には、日本のパチンコやら、日本の宗教やらが、合法的に日本の国民から集金し、例えば北朝鮮に送金するカラクリで、儲ける裾野の組織図は、最終的には核弾頭を自国に用意するというシナリオに押し上げます。
by Ujiki.oO --> mysqldump.sh Version: 6.2 (2023-02-19 11:34) 

Enrique

Ujiki.oOさん,
戦争屋はカネの儲かる事をやると思います。
その上で,ご指摘箇所はあまり同意できません。反論しておきます。

>1. 光兵器では大気の屈折で長距離攻撃が不向き。拡散してしまう。背後の低軌道衛星や衛星軌道上の基地に被害が出る。

光の屈折は把握できますし,何分光は全てのものの中で一番速いので,どんな運動誘導兵器よりも精密にコントロールできると思われます。拡散しにくいのがレーザー光の原理的特徴です。普通の光とは全く違います。無論パワー的には落ちるでしょうが,例えば月と地球との距離測定は,ごく弱いレーザー光でアポロが月面に置いてきたミラーで戻って来たもので往復約760,000kmの距離測定をしています。雨や雪は障害になりますが,天気が良ければ300kWものパワーが大気圏内で無力になるほど大きく減衰するものではありません。

>「背後の低軌道衛星や衛星軌道上の基地に被害」細いビームからして,丁度後ろに衛星がいる確率はゼロに近いですし,登録されている衛星は避けるはずですので,それは全くの杞憂です。レーザーを照射し続けるわけではなく,一瞬当たれば即終了です。

今回の気球の高度は大気圏内で18kmくらいのものです。
おっしゃる背後の低軌道衛星の高度は,200km~1000kmですので,高度的には別世界です。

>4.大気圏内ですから宇宙ゴミにはなりません。大気の無い軌道上を安定に回り続けるのが宇宙ゴミです。これは,そもそも大気の浮力で浮いているのですから。必ず落ちます。これも杞憂です。

当方は,今回の様なものにはレーザー兵器が最も向いていると考えました。
使わなかったのは,配備されたばかりの新鋭武器を得体の知れないものに使う躊躇だったと思います。旧兵器でやっても気恥ずかしい状況になっていますね。
by Enrique (2023-02-19 12:42) 

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