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練習の創造性~自分で考えること~ [演奏技術]

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前回,半世紀前に悩んだΔ-Y変換の公式の話を書きました。
公式はあるわけですが,導出に四苦八苦で,それを使う試験はまるでダメだったと。


ギターの練習に関しても,定番の練習曲であったり,スケールやアルペジオの技術練習であったりと,いわば公式のようなもの,定石といったものがあるわけです。


物事には原理原則が重要です。純粋な技術練習であったとしても,音楽の基本に則る事が必要です。
レッスンを受けるにしても,原理原則なり曲へのアプローチ法を教わるわけで,講師の弾き方そのままを真似るわけではありません。むろん,プロの演奏を真似られればそれはそれで良いのでしょうが,所詮まねはまね,コピー演奏です。それを続けて自立出来るわけはありません。お手本を忠実に真似るのではなく,自分で曲を作り上げる事を学ぶわけです。


真偽の程はさておき,「『学ぶ』は『真似ぶ』から来ているので真似をすることが学ぶことの基本だ」という主張があります。たしかにプリミティブな基本動作などはそうなのでしょう。弟子は師に似てくるものです。しかし,優れた教師というものは,むしろ真似をさせないで自分で学ぶ力をつけさせるものだと思います。


「技は盗め」と言われた職人の世界でも,たしか西岡常一の書籍だったか「もの覚えの早い奴は大成しない」と言われたとか。技を表面的に盗んでもダメで原理原則を理解しないといけない。当然それには時間が掛かるから,そういう人は表面的なもの覚えは必ずしも良くはないはずです。しかし独り立ちしたら強い。


練習の創造性は,自分で考えることです。考えるよすがとなるのは,原理原則です。
それは科学的原理の事もあれば,基本的な作法であったりもするでしょう。学ぶことと自分で考えることとのバランスが取れた人がよい練習者だと思います。方向性がやや異なりますが、右脳的と左脳的思考(嗜好)のバランスに関する話は以前記事にしました。


原則を上手く外して成功する場合もあるのでしょうが,原理原則にそぐわない創造性はいわば「デタラメ」と紙一重です。練習の創造性とは,自分なりの工夫です。練習課題は人によっても異なるでしょうし,当方の場合,練習の工夫が「やりがい」にもなっているといってもいいと思います。どんな些細な事,かりに分かり切った事であっても,自分で得た解答は貴重です。人の演奏のコピーにやりがいを感じる人もいるかもしれませんが,当方はダメです。全く逆説的ですが,コピーすることに創造性ややりがいを感じられる方はそれもいいのでしょう。ただし,それは本家以上の技術をもっていないと出来ない事だと思います。
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静謐な一日

お久しぶりです。
復活いたしました。

「創造は模倣から始まる」といいます。
しかし模倣も単なるものまねではそうはいきません。
幾度もの練習・修練を経てそこから新しいものが生まれるのだと思います。
それが創造というものの本質だと僕は思います。
by 静謐な一日 (2023-01-16 02:23) 

Enrique

静謐な一日さん,
私は,創造性を発揮するための練習ではなく,練習そのものにも創造性が必要だと思います。そうでないと続けられません。
つまらないことは続けられません。それを続けられる人は,別の意味で良かれ悪しかれ創造性を発揮しているのだろうと思います。

by Enrique (2023-01-16 02:36) 

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