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QRコードの話 [科学と技術一般]

良くお目にかかるQRコード®ですが,QRとは,Quick Responseの略だそうです。

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QRコード®の構造。
一次元のバーコードの改良版として,いわば二次元バーコードとして開発されたそうです。

当方など,てっきり,URLをいちいち打たないでも,パッとそのページに飛べる便利なコードくらいに思っていましたが,なかなかどうして。むろんURLの表現ぐらいは朝飯前の事で,A4サイズ1枚分の文書を40mm角の正方形で表現できるとの事です。

会社に就職したての頃,高井戸にあった計測器メーカーのセミナーに行った時,セミナーの中身は忘れましたが,その会社の備品類には全てバーコードが貼ってあるのを感心して見た覚えがあります。何しろ私の会社では数字か何かの備品シールで,棚卸し時期になると,いちいち人間が「あれがこれ,これがあれ」とやっていましたので,良く知っている人がいないと行方不明機器が出ました。1980年代ですからまだ世の中の製品のバーコードもそれほど普及していない時期だったと思います。

流石に日本トップの自動車会社では,初期から部品の管理に独自のバーコードを使っていましたが,情報量不足や汚れに弱いことなどが問題だった様です。

現在広く使われているQRコード®はデンソーの原昌宏氏が1994年に開発したものです。黒ぽつが有るか無しかが判定できれば良いので,マークシートよろしく,手で塗ったQRコードでも読み取り可能だとのことです。強力な誤り訂正符号が仕込まれていてかなり汚れても平気です。そのような様々な工夫がなされています。

最初に目に飛び込んでくる3隅にある目玉の様なパターンは,「これはQRコード®だぞ」という目印です。あと碁盤面を彷彿とさせる「星」があります。これはアライメント・パターンで,コードパターンのゆがみひずみを高精度に補正するための印です。縦横に走っている白黒の規則パターンの帯は,タイミング・パターンで,いわばディスクのインデックス信号やコンピュータのクロックに相当する,データのタイミングをとるための印です。周りの何もない空白も大事な役割を果たします。周りの印刷やらなにやらとの結界です。その内側のモザイク状になる部分がデータ領域ですが,ここに誤り訂正能力の高いリードソロモン符号が配されます。これ自体はかなり古い技術ですが,この辺は技術の新規性を追うのではなく,現場での性能優先であることが分かります。QRコードのデータ量では復号効率など問題ではなく,如何に汚れやかすれに強く確実に復号できるかがポイントです。上に挙げたこと含め,2年間の開発期間内に様々な技術的ブレイクスルーがあった様ですが,好きな囲碁の盤面から着想を得たというのは,「さもありなん」といったところでしょう。

たいがいの情報ですと,情報量に余裕がありますので,白黒のバランスが同程度になるようにダミーデータで埋める様です(その方が読み取り確度が上がる)。
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ロートレー

テレビの特番で開発秘話をみて、凄い人がいるな~と感心した覚えがあります。
まだ、スマホを持っていなくて、直接恩恵を得られないのが残念ですけど^^
by ロートレー (2021-10-24 07:08) 

Enrique

ロートレーさん,
新奇性を追うのでは無く実用技術として秀逸だと思います。真面目な技術者さんです。現場の発想なのが広く使われる理由なのでしょう。目に見える恩恵はスマホでの利用なのでしょうけども。 元々は専用リーダーでやっていたのがスマホの性能が上がって,読み取りに使える様になった事,技術内容を全て公開している事などが急速な普及の要因でしょう。
by Enrique (2021-10-24 07:55) 

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