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送配電に関して~接地に関して・その2~ [科学と技術一般]

順不同で知らない用語を手掛かりに,その分野の学習をします。


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前回は非接地方式での一線地絡電流を求めましたが,今回は各種の接地が施された際の接地の効果を調べます。

まずB種接地工事の場合で混触が起こった場合です。B種接地とは変圧器の低圧側の一端を接地するもので,接地抵抗は直接の抵抗値ではなく,地絡電流による電位上昇値が150V以下となるような抵抗値として定められています*。すなわち地絡電流が1.5Aならば100Ω以下ですし,3Aならば50Ω以下にしなければなりません。

単相の場合は,図1(a)のようにB種接地抵抗RBと高電圧側の静電容量Csとが同図(b)のように直列接続された回路となります。地絡電流I0は 下式の様になりますが,接地抵抗RBは浮遊容量によるリアクタンス1/jωCsに比べて非常に小さいので,I0RBを無視した式となり,前回の非接地の場合の一線地絡電流と同様の地絡電流になります。

 I0 = V/(RB+1/jωCs) ≒ jωCsV

B種接地で混触が起こった場合,この地絡電流が接地抵抗RBを流れますので,B種接地抵抗RBの電圧V0は,

 V0=RBI0

となります。これをベクトル図で表すと同図(c)のようにI0Vよりおよそ90°進み,VI0と同相のV0Csの電圧Vsとで位相差90°で分圧されていることになります。V0RBを小さくするほど小さくでき,技術基準ではこの値を150V以下にするように接地抵抗を決めることになっています。

もし,接地してなければ高圧または特別高圧側がそのまま低圧側に掛かるのに対して,接地することにより混触前と同程度の電圧,技術基準を守ることで150V以下の電位上昇に抑えられるという事です。

三相の場合も,地絡電流は非接地の一線地絡の場合と同様となり,I0は同じ式で表されることになります。混触による電位上昇も接地抵抗が十分低ければ抑えられることが分かります。

図1 B種接地を施した変圧器に混触が発生した際の地絡電流と各電圧を示したもの。(a)は単相2線回路の混触状況と(b)等価回路,(c)は電流電圧の位相関係ベクトル図,(d)は三相回路の場合の等価回路。(公)電気技術者協会のページより。
他の接地工事として,A種接地,C種接地,D種接地があり,これらの接地抵抗は抵抗値で定められています。おお昔の第1種,第2種,第3種に相当するものだと思われます。A種接地は10Ω以下のみの厳しい基準ですが,やはりC種接地,D種接地には遮断の条件で抵抗値の許容値がついています。


*2秒以内で自動遮断するなら300V,1秒なら600Vとも定められています。接地抵抗もしくは地絡電流が小さくできない場合は遮断器を用いるという事でしょう。昔は無かった接地基準です。実態に合わせて弾力的運用できるようにしたのでしょう。
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