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ICチップを埋め込まれる??? [科学と技術一般]

新型コロナのワクチン接種をすると,マイクロチップが埋め込まれる?とかいうデマがありました。どこからそんなバカげたデマが出たのだろう?と思っていました。

そんなデマを信じる人も少ないとは思いますが,そもそも情報を「信じる」とか「信じない」という時点でアウトなわけです。科学や技術は,明確な証拠と論理に基づいたものなわけですが,それを宗教かの様に「信じる」時点で,科学と似非科学の区別がつかなくなります。ウソ科学やインチキ技術に騙される人が後を絶ちませんが,むしろウソやインチキの方が「信じたい」という魅力を放っているからそうなるのでしょう。むろん信じられなくても事実は事実ですし,信じたくてもウソはウソなのですが。

IEEE Spectrum8月号に載ったトンボの記事に触れましたが,ふとバックナンバーの6月号の"Vaccines Go Electric(ワクチン接種の電化)なる記事が目に留まりました。むろん,チップを埋め込むわけではなく,接種装置の記事です。ワクチンそのものの開発はすさまじく進歩しているのに,接種方法は百年一日かのごとくにローテクな注射器で人の手により行われています。むろん,何でもハイテクが良いというものでもありませんが,医療現場の逼迫を考えた場合,こういうところは省力化を図っても良いのではないかと思います。

Inovio社の装置は,エレクトロポレーション(電気穿孔法)と呼ばれる技術を使用して,DNAワクチンを細胞に忍び込ませる。 InovioのR&D担当シニアバイスプレジデントのケイトブロデリックは,この手法に何年も取り組んできたが,パンデミックは開発を加速するモチベーションと資金の両方を提供した。
デマが出た正確な時期は知りませんが,この辺の記事の曲解なのではないかと思われます。むろんこの記事の信頼性は疑う余地はないのですが,医療の専門家向けではなく,専門外の電気電子技術者向けの読み物ですので,多少ジャーナリスティックに書かれています。

それと,続いて何の関係もない別記事の"The Hidden Authenticators"という,マイクロチップと同じ方法で作られる機械的共振モードを利用した新しい商品タグの記事があります。これが同じ記事と誤認された?可能性もあります。さらに続く記事が,"Put Down That Smartphone: The Display Is on Your Skin"というもので,手の甲をスマホの表示部にしてしまおうというウェラブルデバイスに関する記事です。デマを流した者は,この辺の記事を目にしてごっちゃにして人間の体に何か電気的なものが埋め込まれるとでも思ったのでしょうか?バカげた話に付き合うのは時間のムダではありますが,節電器Voltboxの様にコロリとだまされる人も無くはないので,少し触れておきました。
ワクチン接種とは何の関係もない次の記事。以下説明文の訳。
マイクロチップと同じ方法で製造された小さな機械的共振器は,さまざまな商品の認証に役立つ。 これらのタグは,数マイクロメートル幅で透明なため,本質的に見えない。
さらに関係のないつづく記事。

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たこやきおやじ

Enriqueさん

ICタグを埋め込む目的は何なのかはあまり語られていません。埋め込んだICタグから何の情報が読み取られるというのでしょうか。あまりにも無知で、映画の見過ぎの人が騒いでいるのではないでしょうか。
(^^;


by たこやきおやじ (2021-08-31 00:43) 

Enrique

たこやきおやじさん,
デマをあまり詮索しても仕方がないのですが,ICタグを埋め込む目的は人の管理でしょう。実際犬や猫には埋め込まれています。人間の老人も付けた方が安全という考え方もあります。
注射器の針の穴からどうやって入れるというのかナゾでしたが,こちらの記事のタグなら(半導体ではありませんが)ミクロンサイズですから可能かなと。但し個人に印を付けたところで,個人の識別程度ですが。
by Enrique (2021-08-31 06:13) 

よーちゃん

初コメントです。
私のブログにコメントありがとうございました~!
マイクロチップの件、ペットには来年から義務付けられるそうですね。
迷子になってもそれですぐ飼い主を見つけられるなら
それはそれで良いことなのでは?と思います。
人間に埋め込むかは、まだまだ議論を深める必要ありそうですね。
by よーちゃん (2021-08-31 12:58) 

Enrique

よーちゃんさん,
ペットは人間が管理するものだからという事でしょうが,人間にICチップをつけるという事は,当然本人なり世話をする家族なりの同意が必要でしょう。
むろんワクチンに入れられるわけもありませんし,もし入れても何の効果もなさそうです。
by Enrique (2021-08-31 13:34) 

REIKO

ある医療従事者の方がツイッターで、科学はエビデンスに基づいた事実だから、「信じる」「信じない」や「〇〇派」「▲▲派」に分かれるようなものではない、と強調されていました。
今回のワクチンデマには他にも「5Gに接続される」「腕に磁石がくっつく」「遺伝子が組み替えられる」など、SF小説の読みすぎでは?なものがたくさんありましたね。

ところが最近、そのような反ワクチン派が流すデマとは別に、「ワクチン接種したら猫が腕にくっついて離れない」という写真ツイートがたくさん流れてきて人気なのです。
副反応で熱が出る⇒腕が暖かくなる⇒猫が寄ってくると気持ちがいいので離れない…とでも考えれば科学的根拠があるわけですが、はたして真相は?(笑)
by REIKO (2021-09-01 14:50) 

Enrique

REIKOさん,
科学に関しては確かにそうなのですが,数学や物理学のような精密科学ではなくて多少グレーなところがある分野だと,宗教の様な信仰が出てきます。医療関係もグレーなところが多いのでしょう。大きなカネが動くことは事実でしょう。
ワクチンの危険性に関しては認めますが,そこはやはり定量性です。ただし統計数字の扱い方によっては多少ゆらぐ事は避けられませんが,そこからとんでもない間違いをする人が後を絶ちません。むろんアンチ派はしない自由がありますが,なぜデマを流してまで阻止したいのか?が謎です。20年前アメリカに住んだ時,麻疹やら水疱瘡やらその他,子供の頃に掛かったにも拘らず証明書が無いとの事で,当方も子供もブスブスと何本も打たれました。ワクチンに対して日本人は少しナイーブ過ぎると思います。
何mWかのノイズが減るらしいというデモで何百kWhの電気代が只のようになるというインチキ節電器の大嘘に騙される人も後を絶たないようです。定量的にものを考えられない人がたくさんいるようです。
荒唐無稽なデマにも一部本当の事も含まれているので,大真面目に信じる人も出てくるのでしょう。遺伝子組み換えに関して言えば,ワクチンそのものが遺伝子工学で製造されているので,考えようによっては遺伝子組み換えのようなものかもしれませんが,とんでも無い誤解をする人がいますから,ヘタな事は言えないですね。猫が寄ってくる副反応なら良いことですね。まさかマタタビの遺伝子に組み替えられたわけではないでしょうが。
by Enrique (2021-09-01 15:51) 

Ujiki.oO --> 天災が人災へと変貌する国防上の不備

土石流や地震に津波・・・・・ そんな被災後に、とうとうと、とうとうと、大規模に繰り返される自衛隊と警察などの捜索活動。何メートルまで電波が届くのかは知りませんが、何らかの信号を発信してくれたら、被災地での捜索が非常に迅速に効率良く出来るかも知れませんね。無駄な時間と人力の浪費を無くせるかも知れませんよね。
また扇動分子に拉致された人を国内外で探したり、異常者によって誘拐されたり、警察が捜索し、踏み込むべき場所を特定するのに、ICチップが役に立つのなら、少なくとも自分の娘達には複数のICチップを手術させたいですね。1つ目のICチップが機能しなくなったら(無理やり犯人が取り出す)、自動的に2つ目のICチップが遅延スタートする。 歯医者しか特定できない火事の現場でも個人を特定できるかも知れませんよね。
by Ujiki.oO --> 天災が人災へと変貌する国防上の不備 (2021-09-08 14:46) 

Enrique

Ujiki.oOさん,
こちらのタグは,機械的共振モードの違いを利用して個々を識別するものなので,いわばミクロなQRコードの様なもので,ICチップの様に多くの情報は無理だと思います。
あと発振器を入れるならば,電源が要りますのでその確保ですね。動きなどで自動巻時計の様に発電機を回す手もあるかもですが,非接触給電の方が現実的かも知れません。
後半導体は熱に弱いですから,火災現場の個人同定はムリそうです。歯にレーザーで名前を刻印してもらいますか。
by Enrique (2021-09-08 16:52) 

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