インチキ節電器Voltboxの突っ込み所 [雑感]
このインチキ品については何度も記事にしましたが,けっこう騙される人がいるようですが,それだけ巧みということなのでしょう。
このインチキ品の広告は神出鬼没で,記事を書くために内容を確かめようと思って検索してもなかなか出てこなかったりします。どうもあちこちのサイトの広告に寄生して,そこからアクセスさせるようです。Yahooにあったという方,読売オンラインにあったという方,当方はたしかYouTubeからだったと思います。現在は割と真っ当な製品もそのような手法を取っていますから,紛らわしいです。騙す側からすれば当然でしょうが,冷静にじっくり吟味されては商売にならないのでしょう。
信じる人にすれば,騙す方に魅力を感じるわけですから,いくら正確な事を言っても夢を破るような話で面白くないかもしれません。電気の基本的な理屈を言っても,「いやあちらの方がすごそうだ」となれば,どうしようもありません。数千円から1万数千円の投資で夢が買えれば安いもの?
騙される人が一定数いるのが実態なのでしょう。前記事でも書きましたが,真面目なものよりもこのようなインチキ品の方が遥かに儲かるわけですから,それでこのような企業?を存続してしまいます。こういうモノは,科学的基礎や専門性があれば騙されないでしょうが(電気の専門家でも騙された人がいて人身御供になっていただきました),そうでない人も多いでしょうから,ここでは,極力基礎科学や電気の知識を使わないで,インチキを指摘してみたいと思います。
どうも日本語のインチキ・サイトは2ページあるようです。まず真っ当なサイトに載せた広告で1ページ目に誘導し,そこで騙して2ページ目の購入サイトに行かせる様です。まず1ページ目冒頭はこのようなものです。なお,当記事から行って騙される人が出ては心外ですので,リンクはしません。同ページの画面のスクリーンショットの画像上にコメントを入れました。
如何にも英文翻訳風な文面です。おかしなところがありますが,却って信じる人を「そうか海外で開発されたモノなんだ!」という気分にさせます。むろんたしかに海外で開発されたもの(仕組まれたインチキ記事)で間違いはありません。
そして何となく「そうかそうか電力会社や規制当局は,やたら消費者から搾り上げているのか!」という気分を盛り上げてくれます。日本の電気代は安くはありませんが,ここに示されるようなグラフとは全く異なります。
冒頭,「多くの日本人が年間276億円の電気代を払っている事が発表された」のだそうです。一体どこからこんな曖昧で間違った数字が発表されたのでしょう?「多くの日本人」とは何人くらいでしょう?金額という定量的なものと多くの日本人などという定性的なものを混ぜた全くデタラメな文です。「多くの日本人」が仮に日本国民の半数として6000万人としたら,一人当たりわずか460円しか払っていないことになります。数百円しか払っていないのに,どうして数万円から数十万円もの節約ができるのでしょう?
だいたい,過去にも1kWhあたり10円台なんでことはありませんでしたし,現在こんなに高くもありません。当方が今使っている電気代は1kWhあたり22円です。アメリカの料金からテキトウにでっち上げたグラフで,一般人を騙すようです。
自分が使っている電気の単価を知らない人に「えええ!!!今後こんなに上がったら,ヤバいじゃない?!」という気分にさせるようです。「水道代やガス代が1/10になります。」と言われれば,誰でもヘンだと思うでしょう。だとすれば,今まで9/10は漏れていた事になります。そんなバカな事はあり得ません。電気も同じです。水道代やガス代と同じだと思えば分かりやすいかもしれません。しかし,なぜか目に見えない電気は特別なもので,なにやら特殊な機械でどうにかなると思わせるところが,詐欺の詐欺たるところです。
こんなデータで騙して,電気代が変らなければ,信者に「この装置の効果が出ている」と誤認させる作戦かもしれません。
写真の名無しの3人が作ったのは,1943年に亡くなっているニコラ・テスラによって開発されたVoltboxだそうです。ニコラ・テスラは偉大な科学・技術者で現在の交流システムじたいの開発者です。むろんVoltboxの開発者なんてデタラメです。Voltboxは商標登録の様ですから,アメリカのパテント・トレードマーク局(日本の特許庁に相当)のページで一発で検索できます。リンクしておきますが,一応Voltboxはありました。最初は1956年に登録されており,現在アクティブなものは6代目と7代目です。5代目まではすでに期限が切れたり放棄されています。どうも,この製品で使っているロゴは,4代目の2014年に放棄された別の製品(かサービス)のものに近いようです。ここでもインチキぶりをいかんなく発揮しています。
2014年に放棄されているVoltBoxロゴ商標登録。
Voltboxの効果とのイラストを示しています。力率改善とノイズの減少を示していますが,電力料金の仕組み上,力率改善しても電力会社が助かるだけです。またノイズは電力料金には関係ありません。購入者を騙すためのLED点灯でむしろ余分な電力を消費するだけです。
こんな外国人顔をした不思議な名前の日本人が使っている様です。当然フェイクです。
こちらは,2ページ目の購入サイトです。パテント番号も示さない特許技術などあり得ませんし,唯一の力率改善装置というのもウソです。「わずかに力率改善しても消費者には全くメリットのない装置」という意味では唯一かもしれませんが。 インチキ品のお値段ですが,さすがに,最初から数千円ですと,「そんなもので効果あるんだろうか?」という疑念を抱かせますし,高すぎると買わないでしょうから,「1台1万円ちょっとのところ,半額にします。」と真っ当な商品が使いそうな手を使っています。
会社の所在地が,なんとニューヨークのマンハッタンのど真ん中です。かのHewlett-PackardやAppleがガレージで創業したと言われていますが,Voltboxの様なベンチャー企業?がいきなりマンハッタンのど真ん中にオフィスを構えられるとはちょっと考えられません。しかも,電話番号がカルフォルニアのものです。アメリカの電話番号もネットで調べられますが,いちおう生きている電話番号の様ではありますが,個人のものの様です。会社所在地がマンハッタンのど真ん中(むろんGoogle MapでVoltbox社など出てきません),電話がカルフォルニアの個人名義。これだけでも十分インチキだということがわかるでしょう。
もしも製品がマトモなものであるのなら,なぜここまでウソを重ねなければいけないのでしょう?むしろモノがいかにデタラメなものであるか,このウソ八百の広告じたいが雄弁に語っています。
このインチキ品の広告は神出鬼没で,記事を書くために内容を確かめようと思って検索してもなかなか出てこなかったりします。どうもあちこちのサイトの広告に寄生して,そこからアクセスさせるようです。Yahooにあったという方,読売オンラインにあったという方,当方はたしかYouTubeからだったと思います。現在は割と真っ当な製品もそのような手法を取っていますから,紛らわしいです。騙す側からすれば当然でしょうが,冷静にじっくり吟味されては商売にならないのでしょう。
信じる人にすれば,騙す方に魅力を感じるわけですから,いくら正確な事を言っても夢を破るような話で面白くないかもしれません。電気の基本的な理屈を言っても,「いやあちらの方がすごそうだ」となれば,どうしようもありません。数千円から1万数千円の投資で夢が買えれば安いもの?
騙される人が一定数いるのが実態なのでしょう。前記事でも書きましたが,真面目なものよりもこのようなインチキ品の方が遥かに儲かるわけですから,それでこのような企業?を存続してしまいます。こういうモノは,科学的基礎や専門性があれば騙されないでしょうが(電気の専門家でも騙された人がいて人身御供になっていただきました),そうでない人も多いでしょうから,ここでは,極力基礎科学や電気の知識を使わないで,インチキを指摘してみたいと思います。
どうも日本語のインチキ・サイトは2ページあるようです。まず真っ当なサイトに載せた広告で1ページ目に誘導し,そこで騙して2ページ目の購入サイトに行かせる様です。まず1ページ目冒頭はこのようなものです。なお,当記事から行って騙される人が出ては心外ですので,リンクはしません。同ページの画面のスクリーンショットの画像上にコメントを入れました。
如何にも英文翻訳風な文面です。おかしなところがありますが,却って信じる人を「そうか海外で開発されたモノなんだ!」という気分にさせます。むろんたしかに海外で開発されたもの(仕組まれたインチキ記事)で間違いはありません。
そして何となく「そうかそうか電力会社や規制当局は,やたら消費者から搾り上げているのか!」という気分を盛り上げてくれます。日本の電気代は安くはありませんが,ここに示されるようなグラフとは全く異なります。
冒頭,「多くの日本人が年間276億円の電気代を払っている事が発表された」のだそうです。一体どこからこんな曖昧で間違った数字が発表されたのでしょう?「多くの日本人」とは何人くらいでしょう?金額という定量的なものと多くの日本人などという定性的なものを混ぜた全くデタラメな文です。「多くの日本人」が仮に日本国民の半数として6000万人としたら,一人当たりわずか460円しか払っていないことになります。数百円しか払っていないのに,どうして数万円から数十万円もの節約ができるのでしょう?
だいたい,過去にも1kWhあたり10円台なんでことはありませんでしたし,現在こんなに高くもありません。当方が今使っている電気代は1kWhあたり22円です。アメリカの料金からテキトウにでっち上げたグラフで,一般人を騙すようです。
自分が使っている電気の単価を知らない人に「えええ!!!今後こんなに上がったら,ヤバいじゃない?!」という気分にさせるようです。「水道代やガス代が1/10になります。」と言われれば,誰でもヘンだと思うでしょう。だとすれば,今まで9/10は漏れていた事になります。そんなバカな事はあり得ません。電気も同じです。水道代やガス代と同じだと思えば分かりやすいかもしれません。しかし,なぜか目に見えない電気は特別なもので,なにやら特殊な機械でどうにかなると思わせるところが,詐欺の詐欺たるところです。
こんなデータで騙して,電気代が変らなければ,信者に「この装置の効果が出ている」と誤認させる作戦かもしれません。
写真の名無しの3人が作ったのは,1943年に亡くなっているニコラ・テスラによって開発されたVoltboxだそうです。ニコラ・テスラは偉大な科学・技術者で現在の交流システムじたいの開発者です。むろんVoltboxの開発者なんてデタラメです。Voltboxは商標登録の様ですから,アメリカのパテント・トレードマーク局(日本の特許庁に相当)のページで一発で検索できます。リンクしておきますが,一応Voltboxはありました。最初は1956年に登録されており,現在アクティブなものは6代目と7代目です。5代目まではすでに期限が切れたり放棄されています。どうも,この製品で使っているロゴは,4代目の2014年に放棄された別の製品(かサービス)のものに近いようです。ここでもインチキぶりをいかんなく発揮しています。
Voltboxの効果とのイラストを示しています。力率改善とノイズの減少を示していますが,電力料金の仕組み上,力率改善しても電力会社が助かるだけです。またノイズは電力料金には関係ありません。購入者を騙すためのLED点灯でむしろ余分な電力を消費するだけです。
こんな外国人顔をした不思議な名前の日本人が使っている様です。当然フェイクです。
こちらは,2ページ目の購入サイトです。パテント番号も示さない特許技術などあり得ませんし,唯一の力率改善装置というのもウソです。「わずかに力率改善しても消費者には全くメリットのない装置」という意味では唯一かもしれませんが。 インチキ品のお値段ですが,さすがに,最初から数千円ですと,「そんなもので効果あるんだろうか?」という疑念を抱かせますし,高すぎると買わないでしょうから,「1台1万円ちょっとのところ,半額にします。」と真っ当な商品が使いそうな手を使っています。
会社の所在地が,なんとニューヨークのマンハッタンのど真ん中です。かのHewlett-PackardやAppleがガレージで創業したと言われていますが,Voltboxの様なベンチャー企業?がいきなりマンハッタンのど真ん中にオフィスを構えられるとはちょっと考えられません。しかも,電話番号がカルフォルニアのものです。アメリカの電話番号もネットで調べられますが,いちおう生きている電話番号の様ではありますが,個人のものの様です。会社所在地がマンハッタンのど真ん中(むろんGoogle MapでVoltbox社など出てきません),電話がカルフォルニアの個人名義。これだけでも十分インチキだということがわかるでしょう。
もしも製品がマトモなものであるのなら,なぜここまでウソを重ねなければいけないのでしょう?むしろモノがいかにデタラメなものであるか,このウソ八百の広告じたいが雄弁に語っています。
こうやって解説していただくと、
この詐欺、偽物商品販売の手口は、赤塚不二夫が漫画のネタにしそうなくらいにあれこれ「工夫」しているのですね。
ロゴが違うんだから、問題ないだろう、と言うことなのでしょうか。
by アヨアン・イゴカー (2021-07-20 14:03)
アヨアン・イゴカーさん,
騙す方もそれなりに苦労しているのだとは思います。
如何に魅力的なウソをつくか。騙された方もハッピーならばそれも良いのでしょうが。どうも節電詐欺は昔から多発しているようで,業務用の場合はグレーのものも存在するようです。
今回は一般消費者がターゲット。顧客数の勝負ですね。
この製品のロゴですが,登録商標にVoltboxの名前はありますが,現在の生きている2つのもののロゴは違うようです。勝手なマークにデザインしたようで,登録はされていませんが,お金はかかっていそうです。登録にお金掛けるよりも,騙す方にお金掛けるが良いと,なかなか合理的です。でも他人の商標を勝手に使ったらこれも詐欺ですね。
by Enrique (2021-07-20 16:51)
ノイズの混入した波形の証明(オシロスコープ等での観測写真)電力計の写真上に記載している金額の根拠(使用電力量)KWhを示すよう質問しても返信無、根拠がないのでだせないのでしょう、だから200%詐欺
by Taka (2021-08-26 14:00)
Takaさん,
この広告がまっとう?なサイトの広告に載っているのが腹立たしいものです。載せたサイトにも連帯責任を負わせなければいけませんね。
今まで見た広告サイトは,YouTube,Yahoo,当SSブログ,ラクマ,その他のまとめサイト,読売でも見たという人がいます。
ウソ八百の広告ですから,マトモな質問には答えられるわけはないのでしょう。実際買った人のツイッターなどによると,返金の要請をしても,のらりくらりかわされるそうですから,最初からのダマシ・ぼったくりであることは明々白々です。
こんなものに関わることは時間とお金のムダですが,騙される人が多いことを考えると,何か手を打たないといけませんね。
by Enrique (2021-08-26 15:27)