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バント打法とハーモニクス奏法 [演奏技術]

犠牲バントにセーフバントにスクイーズ。高校野球などで多用されるのがバント打法です。

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このバント打法とハーモニクス奏法の共通点は何でしょうか?

パララックス(視差)の問題です。

大昔は,バントをやる際はバットと視線を一直線に構えたそうです。投球とバットと視線が一直線になれば必ず当たる道理です。しかし,失敗すると投球が顔に当たって危険ですのでだいぶ前からやらなくなったようです。それでも,視差を減らすために現在でも顔には当たらない程度に視線を下げることはやられます。

ギター奏法のオクターブ・ハーモニクス(アーティフィシャル・ハーモニクスとも)は左を押さえながら,右手のiなどで基本波を消しつつハーモニクスを出します。右手のiなど(タッチングフィンガーとします)の位置が正確でないと真っ当な音が出ません。その1オクターブ上を(押さえが1フレットなら13フレット,7フレットなら19フレットという具合に)i指などで触れながら,aなどの他の指で弾く奏法です。その位置はシビアなので,目で確認しながら弾きます。その際,フレットに沿った視線ならば,タッチングフィンガーはフレットの真上に触れれば良いわけですが,斜に構える(文学的な意味ではなくギターの標準的な構えとしての)ため,視差が生じます。

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通常の構えから見たフレット(左),視線をフレットに沿わせた見え方(右)
視差をなくすためには,視線を沿わせた,いわば「昔のバント打法」を取るのがいいのですが,問題点は,危険性はないものの見た目の姿勢が悪い事です。

プロの方に聞いてみたところ,さすがに「昔のバント打法」は奨励されませんでした。口輪のモザイク模様が参考になるとの事でした。当方は結構楽器を変えるのですが,オクターブ・ハーモニクスをやるときの楽器は,右手のタッチングフィンガーの位置がわかりやすいものに決めておかないといけないと思うこの頃です。
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コメント 4

Cecilia

>口輪のモザイク模様が参考になるとの事でした。
>右手のタッチングフィンガーの位置がわかりやすいもの

楽器によってだいぶ違うのでしょうか?
by Cecilia (2021-06-15 07:54) 

Enrique

Ceciliaさん,
普通の奏法や,自然ハーモニクスでは楽器が変わっても全く問題ありません。クラシックギターはほとんど形状も変わりませんし。
問題は人工的ハーモニクスの場合です。同じ楽器でも触る位置が2,3ミリずれても明瞭な音が出ません。その位置確認のためにモザイク模様を使うと,楽器が変わると問題が生じます。模様は製作家によって異なりますので,目印になりません。
①弦19フレットまでですが,たまに20フレットまでの楽器があるので,混乱しないようにしないといけません。
あと,ハーモニクスの出やすさも楽器によります。おしなべて良い楽器の方が出やすい印象はあります。
一部の曲の中のさらに一部分の特殊奏法ですから,問題になる事はほとんどない話です。
by Enrique (2021-06-15 09:35) 

たこやきおやじ

Enriqueさん

バッハばかりやっていると、ハーモニクスなどもう弾くことは無いと思っていました。バリオスの「舟歌」をやり始めたので沢山出てきます。常にきちんと音を出すには、視差を補正する工夫が何か必要ですね。(^^;
by たこやきおやじ (2021-06-15 10:18) 

Enrique

たこやきおやじさん,
バッハをやっていると他の曲は手が回りません。
古典派でも,人工ハーモニクスは無かった様ですが,近代の楽曲では結構出てきます。特殊奏法ですが,そのため逆にメロディラインを弾く場合も多く,きちんと音が出る事はまず重要なことでしょう。
フリアフロリダでは自然ハーモニクスが多いですが,最後で出てくる人工ハーモニクスは決まらないとイヤですね。
by Enrique (2021-06-15 11:04) 

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