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難所対策? [演奏技術]

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ごちゃごちゃ書いていますが,逆算する(後方から運指を組み立てる)と言うのは,ギターの演奏上かなり強力な武器になります。従って,それなりの独奏曲に関しては,初見でやっつけてしまおうなどという不埒な事を考えない事でしょう。



難所に挑むには?(PACTASOさんより)
譜読み後も,スロープラクティスと部分練習が肝要です。スローで譜読みも完了すればナイスですが,ギターでは6本の弦で多声音楽をやるわけですから,声部を分けて練習することや,テクニカルな曲ならばリズムバリエーションとか,いろいろオプショナルな練習も必要でしょう。むろんスローでも拍節をきちんととり,フレージングやブレスなどの位置も考えて運指を振ります。声部を分けて弾くよりもいっぺんに弾いてしまったほうがラク!?ということもあり得ます。ヴァイオリンの原曲そのまま弾くよりもベース音や和音を足したギター譜の方が弾きやすいという現象も起こります。

しかしながら,同時に弾いた時のほうが弾きやすく,分けたほうが弾き難いとして,同時に弾いた方が音がキレイに独立に出せているでしょうか?個別に弾きこなせないのに,同時にできるでしょうか?ただ団子状態で,弾けた積りになっているだけではないでしょうか?



「禁じられた遊び」にしろ,「アルハンブラの想い出」にしろ,私の独学時代がそうでしたが,いきなり譜読みして弾き出しました。一刻も早く弾ける様になりたいですから,面倒そうな事は後回しにして,どんどん弾きます。いずれも独学で始めた頃,すぐに弾ける様にはなりました。いずれの曲も,右手はワンパターン,左手の押さえが難しそうで,そちらにばかり意識が行きます。左手の押さえは覚えてしまえば何とかなります。左手を覚える=弾けるみたいな状況になりました。

独学時代はその様な曲の覚え方に疑問を感じ,ギター曲でない曲を弾きまくりました。それにより,読譜力は上がったと思いますが,技術的にはデタラメのままでした。
その結果,特にセーハに無駄な力が入る。指の拡張がきびしく,音が出損なう。メロディと伴奏が独立しない。遷移部分など細部がテキトウ。拍節感が怪しい。息が上がってブレスが出来ずフレージングが出鱈目,etc.のツッコミどころ満載の演奏になった様です。

手の利く人ならば,大家の演奏を聴いて,ほぼそのままコピーできれば,それなりの演奏は出来上がります。昨今,クラシック曲でもタブ譜が流行るのは,誰かの演奏を聴いて,左手の押さえをタブ譜で確認しながらそれを再現する,といったような練習法なのだろうと想像します。うまくやれば,直ぐに上手そうな演奏にはなると思われます。

しかし,そのようにして曲を覚えると,部分的な改善やら,特に運指の変更がまるで効かないと思います。最悪,参考にする演奏の様にもならないのではないか?と想像します。クラシック音楽は譜面に残して音楽情報を記録してきたわけです。バロック時代以前のギターやリュートの記譜はタブ譜でしたが,五線譜の方が表現力や可読性に優れていたのでそうなったわけで,当時の曲を記譜通りタブラチュアで演奏するというのはオーセンティシティがありますが,五線譜で作曲された曲をタブ譜で書き出すのは,冗長情報を付加しているだけです。五線譜と共に示されると,無駄な二段譜になって譜めくりも大変です。



脱線しそうになりましたので,元に戻します。難所対策です。
難所は早めにつぶしてしまうのが曲の仕上がりの効率からして有効ですが,難所のみ最後に残してしまいますと,他の場所が弾けても,結局難所が弾けなくて曲をモノにできません。時間のムダです。

しかも丸覚えタイプの人がそういうパターンだと悲惨です。難所まで,たどり着き,そこで直すという動作を延々繰り返すことになります。むろん自分で把握している箇所ならば良いでしょうが,自分では大丈夫だと思っていた箇所をレッスンで指摘されたりしますと,パニックになってしまいます。丸覚えですから,その箇所のみ修正するというのが中々出来ないようです。

弾けている所を何度繰り返しても,時間のムダでだれて来るだけで,弾けない所はいつまで経っても弾けません。しかも,苦手箇所が近づくと緊張して来る⇒よけい弾けない。というような悪条件となります。通常シロウトが弾きたがる曲には,大概技術的難所があります。



さまざまな練習曲には,練習のポイントが埋め込まれています。順次それを克服していくのが練習のキモになります。練習曲を沢山やれば,弾きたい曲への取り組みもスムーズに行くのですが,「弾きたくもない曲で苦労するのはイヤだ。」というのが練習曲を嫌う心理のようです。その心理は分からなくもないですが,当方は幸い練習曲を弾くのは嫌いではなく,練習曲だけ弾いていても結構満足できます。根がへそ曲がりなせいか,人が良く弾く曲は弾きたくありません。



またまた脱線しそうなので,難所対策に戻しますと,難所は取り出して,完全に弾けるレベルまで,超スロー,分解,運指の工夫等を徹底してやる必要があります。当方は現在プロの方についてレッスンを受けていますが,教師に「曲を習う」という感覚が正直良く分かりません。自分で譜読みして,一応弾ける状態で持って行きますので(弾けない状態でレッスンに臨むのはレッスン料の無駄だとケチな当方は思います)。むろん難所対策に関してアドバイスを貰う事はよくあります。

当方がレッスンを受ける目的は,仕上げ時間の節約でしょうか。譜読みして少し練習した曲を,客観的に聴いて直すことは,録音したり録画して自分で治すこともある程度は可能かと思いますが,それには時間が掛かります。やはり自分よりずっとレベルの高い人に直接聴いてもらってアドバイスを貰うのが結局早道だと思っています。

あれれ,自分でやる難所対策のつもりが,いつの間にかレッスン必要論になってしまいました。

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Cecilia

ギター練習独自の練習法と他の楽器の練習法との共通点を思い浮かべながら読ませていただきました。
私がピアノ練習でよくやるのはまず初見でどれだけ弾けるか、です。
易し目の曲なら初見でいかに音楽的に弾けるか、を目標にしたりします。初めから指定された指遣いで練習しておけば良かった、と後悔することもあります。他の人はどうかわかりませんが、私の場合指遣いはかなり適当です。でもショパンなどの難しい曲は超ゆっくり練習でないと太刀打ちできないことが多いし、はじめから指遣いを守らないと無理です。
最近練習しているヴァイオリンの練習曲や曲では最後の最後に難所が登場することが多いです。いい感じで弾き進めて、最後にがくっとなることが多いですね。はじめから難所の直前からの部分練習を何度も行い通して練習してもスムーズに弾けるようにしたいと思っています。
声楽にはまた別の難しさがあります。一番つらいのは難所だけ何度も何度も練習しにくいことです。難所=高音で、何度も練習したくても物理的に無理だからです。
レッスンの目的は仕上げ時間の節約・・・私もそう思います。
by Cecilia (2021-03-12 07:21) 

Enrique

楽器によって大局の共通点と細かな相違点もありますね。
この頃はギターの指づかいに関しては,自分で決めるとが多いですね。その為,最初試し弾きをしながら,運指を決めて,少し弾いてから微調整して替えて,また戻ったりと最終版決定まで試行錯誤が有ります。しかし無理な運指で弾くよりも,多少時間が掛かってもより良い運指を見つけたほうが,トータルでは早かったりします。
ギターの場合は弾く弦やポジションも変わって来るで,何通りも運指が生まれてしまいます。特に古い版の譜面の場合は一応見ますが,大幅につけ替えることが多いですね。直すのがメンドウなので,全く白い楽譜を作って一から付ける事もやります。
難所の部分練習は,繰り返しが困難という声楽の事情はよく理解できます。ギターでも,例えばアランフェスの2楽章の最高音の搔き鳴らしなどは,繰り返すとどんどんツメが磨り減ってきて演奏不能になりますので,掻き鳴らしの回数を減らしたりイメトレで良く当たりを掴んで,本チャンの部分練習は必要最小限にするなどの配慮は必要ですね。
あと,より良い運指は,回数を繰り返さずに済むという効用もあります。
確かに声楽の場合は実地の練習は大変ですね。
by Enrique (2021-03-12 11:13) 

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