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物事のバランス [雑感]

バランスというのは,あらゆる点で大事だと思います。

バランス感覚という言葉があります。
ギターにもバランスが必要です。

しかしそのように,一言に「バランス」と言っても,力学的なバランスなのか心理的なバランスなのか,はたまた。。。

いやあらゆる物事にバランスは重要だろうと思います。
バランスを欠くとろくなことはありません。

楽器の構えに関しては,力学的なバランスです。
楽器を支えることに気が行っていたら,ただでさえ難しいギターの演奏に気が回りません。両手を離しても,楽器がきちんと安定して静止していることが重要です。これだけで,演奏がだいぶラクになります。むろん,どう構えたって弾ければ良いわけですが,楽器は安定していた方が,より複雑な動作はやりやすくなります。ヴァイオリンの構えしかり,チェロの構えしかり,歴史的に技術の向上との因果関係は明らかでしょう。

演奏に対する右脳的・左脳的なバランスも大切です。ただこれを言ってしまうと,脳の働きに関する正確な知識が必要になりますので,もう少し個別に言えば,

直観と論理:これも本来バランスさせるべきでしょう。好きか嫌いかは,かなり演奏を左右するものです。なぜ好きか嫌いかなど,あまり論理的に語れません。しかし,直観のみに頼っていたのでは,陥穽にはまりやすくなります。論理的アプローチは未知領域に切り込むには非常に強力な武器になります。

実験と理論:これも何も科学の領域だけではなく,楽器演奏の際にも大いに役立つ方法論でしょう。
「本番も実験!」やってみないと分からないわけです。やってみて,データを積んでいくしかないわけですが,無為に実験を繰り返すわけではなく,進歩発展するためにはその際ごとの実験結果を踏まえた論理的アプローチが必要です。もう少し具体的に言えば,発表会などの後の反省です。どうしてうまく行ったか,行かなかったかをしっかり分析しておくことが今後の進歩につながります。

感情と理性:あまりコテコテに感情的な演奏というのは好きでは無いのですが,この対比に限らずですが個人差はあります。冷静な演奏を機械的で冷たいと感じる方もいます。万人を納得させる演奏など無いと思いますが,やはり良いところでバランスを取る事が重要でしょう。

音楽面と技術面:これはバランスというよりも両方大事です。しかし,よく音楽面は優れているが技術面に課題とか,その逆とかと語られます。どちらかに気を取られて,気が回らないのだとすれば,やはりバランス的側面もあるのでしょう。

アナリシスとシンセシス:「分析(解析)と合成」でしょうか。「帰納と演繹」,あるいは,「実験と理論」にも重なる事柄でしょうか。物事,分析・解析しただけではダメで,その結果を生かして創造行為を行わないと意味がありません。上で述べてきたこととも重なる事項でしょう。


あと,物理的なバランスに戻れば,天秤。あれはリブラというのでした。公平公正,自由の象徴です。古今東西バランスを取ることの重要さを象徴的に教えてくれます。バネばかりは重力とバネの復原力とのバランスを取るため,重力が変わってもバネの復原力は変わらないので値が変わってしまいます。その点天秤のバランスは同じ重力そのものでバランスを取るので,月や火星に持っていっても使う事ができます。以前も書きましたが,業務用マイクのバランスラインは長く引きまわしてもノイズを拾いません。天秤の様にバランスをとっていて,信号を差動動作させているのでラインに同相で入るノイズをキャンセルできます。エレキギターのピックアップのハムバッカーと呼ばれるダブルコイルしかり。電気回路の初歩で教わるホイートストンブリッジもバランスを利用して未知抵抗を測定するのでした。あちらこちらに明示的にせよ暗示的にせよ各種バランスがあります。建築構造なども象徴的なものでしょう。世の中バランスで成り立っていると言っても良いでしょう。
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アヨアン・イゴカー

>あまりコテコテに感情的な演奏というの

ついある女性ピアニストの演奏姿を思い出してしまいました。
確かにリストやベートーベンなどはその演奏姿がカリカチュアになるほど、極端に感情を込めたのかもしれません。
演技でも「臭い演技」と言う表現がありますが、演奏よりも姿た目に入ってきてしまうのはよろしくないのではないかと思います。そういう演奏者の場合には、姿を見ずに音楽だけを聴けば、視覚的表現を取り除いた、純粋な音だけを聴くことができるかもしれません。
個人的には、ホロビッツのように淡々と演奏する姿が好きです^^
by アヨアン・イゴカー (2020-12-18 15:54) 

Enrique

アヨアン・イゴカーさん,
色んな演奏があって然るべきだと思います。特にピアノの演奏はもう行くところまで行ってしまったのか,個性で勝負?というか,現在はひと頃からすればヘタクソな(ような)演奏がまかり通っている様な気もします。なかなか純粋に演奏だけで勝負というのも難しい時代なのかもしれません。
むろん当方も淡々とした演奏の方が良いと思いますが。
by Enrique (2020-12-20 10:20) 

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