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レコードプレイヤーとアナログオーディオの記憶 [科学と技術一般]

会社時代に実験用に持っていたトーンアームが手元にあったため,フォノモーター(モーターとターンテーブルがセットになったお釜状のもの)を秋葉原中探し回ったことがありますが,いくら探しもありませんでした。90年前後だったと思います。フォノモーター単体どころか,プレーヤーそのものが消滅した時代でした。

現在プレーヤーは手に入れやすくなっています。私も数年前に久々にリサイクルショップで1000円くらいで入手して使っています。他ルートからのものももう1台あるので,壊れた時のバックアップになっています。現在新品も製造されているようですが,中古で出回っているものは殆ど数十年前に製造されたものです。90年代だったかあれほど探し回ったのに見つからなかったのはどういう事だったのだ?と不思議にすら感じます。世の中には,死蔵されている品がかなりあるのだなと思います。メルカリが流行るのもむべなるかなと思います。

80年代CDが普及するまでは各家に普及品であれ高級品であれ一台はあったはずです。
プレーヤーがほぼ無用化した90年代から00年代あたりは,邪魔な人は捨てたのでしょう。当時はリサイクルショップで無料ででも引き取ってくれたかどうか謎です。アンプやスピーカーはCDと共通でしたから価値はあったでしょうが。捨てずに持っていた人達のストックが出回ったのが現在の状況だと思います。お陰で当方の様な人間は助かりました。むろん,ずっと所持していて,新たにレコード盤や針が出回りだしだ現在,悠々と楽しんでいる方もいらっしゃいます。

プレーヤーは見たままの単純なものです。単純なものだからこそ凝る人も出て来ます。
きっちりと安定して回るのが良いはずで,カッティングマシン並みの正確さが理想です。ただモーターには何らかの回転のムラがありますから,それを吸収する様に慣性モーメントの大きなターンテーブルが使われます。自作派のマニアだと不安定なゴムベルトを嫌って糸で重いターンテーブルをドライブさせるような方もいました。薄型モーターが開発されると,ベルト機構等使わないで,ターンテーブルの軸直結でこれを使ったダイレクトドライブ方式が主流になりました。回転を水晶発振に同期させるなどで回転のふらつきはかなり軽減しました。

プレーヤーにはトーンアームという,これまたアナログなものがついています。これをそーっとレコード盤の上に落とすわけですが,音楽を聴く儀式のようなものだったようです。これまたアナログ的な不完全を如何に改善するかに課題がありました。カッティングマシンの様に超精密なリニアトラッキングならば理想ですが,一般用にはスウィング式のアームを使うのが現実解でした。簡易なリニアトラッキングのアームもあった様ですが,マニアには評価されなかったのではないでしょうか。大衆機で採用されたフルオートのアームも余計な機構だとされました。

アナログ技術が洗練したところに,デジタルCDが出て来ました。ぼやけたり,ヒスノイズの多い音が多かったクラシックのレコード盤から打って変わって,鮮明な音が飛び出して来ました。音質の素晴らしさでクラシック音楽の録音が息を吹き返したのでした。ただCDのヒットは音質だけでなく,お手軽に聴ける事も大きかったのではないでしょうか?やはりレコード盤に針をそうーっと落とすという儀式は,精神的時間的余裕がないと出来ません。車の中で聴けるのも画期的でした。もっとも,初期はクルマにCDプレーヤーは搭載されなかったので,カセットに録音して聴いていましたが。
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たこやきおやじ

Enriqueさん

私が今使っているトーレンスのプレーヤを秋葉原で購入したのが、確か1987年頃でした。その後秋葉原でプレーヤを売っているのはほとんど見た記憶がありません。
今は、家電量販店でもプレーヤを置いているところが多いようです。ヤフオクでも毎日かなりの台数が落札されている様です。一時的なレコードブームなのでしょうか。(^^;

by たこやきおやじ (2020-11-20 11:29) 

浜っ子カルメン

MDは何故、姿を消してしまったのでしょうか?
MDは小さくて便利でした。特にカーステレオのMDは最高でした。
CDからMDに吹き替え録音もできて重宝でした。
コロナで外出を自粛している嫌な時代にアナログレコードを家で聴く・・何かこれからアナログが流行りそうな気がします。
by 浜っ子カルメン (2020-11-20 11:41) 

Enrique

たこやきおやじさん,本当に不思議です。
私が探し回った頃は,まだCDが出てそんなに経っておらず,まだあるだろうと思ったら,全くありませんでした。たこやきおやじさんは,(前回は)良い時期に入手されたのだと思います。
また今はウソのように入手しやすくなりました。カセットもそうですが,見たままに再生されるのが良いのかアナログブームですね。
by Enrique (2020-11-20 15:18) 

Enrique

浜っ子カルメンさん,
MDが出た頃,SONYの技術陣は切手サイズのカセットを開発中でしたが,当時音楽家の大賀会長の鶴の一声「そんなものダメだ!ディスクを出せ!」で,MDの短期開発となりました。MDは普通に使う分には便利ですが,技術的には難しく少々ムリがあったようです。カセットやCDは残っているのに,一番新しいMDはぽしゃりました。MDはデジタルですが圧縮記録をしているのと,PCとの相性が悪く,デジタルのメリットを生かせなかったと思います。MDが出てきたころ,録音に使ってもらおうと,当時のギターの先生に新品のカセットを進呈したら,大変迷惑がられたので,「そのうちカセットの方が残りますよ」と言い残して納めた記憶があります。
by Enrique (2020-11-20 15:36) 

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