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夏休みの記憶 [雑感]

ボーカル曲を聴くとき歌詞は殆ど聞きません。
しかし,井上陽水の「少年時代」を聴いてしんみりとするのは,その歌詞の意味にもありそうです。曲によってはちょっと聴いているということです。



40日前後ある夏休みは子供にとって年間の最大イベントです。
今年はコロナの影響か短いところも多いようで,ちょっと可哀相です。
当方がその時代など,週休二日ではなく土曜半ドンの時代ですから,長い休みとしての夏休みは別格でした。
大学などでは春休みも長かったりしますが,義務教育時代の夏休みは別格でした。

いやーな気分になってくるのは,8月も半ばを過ぎ,夏も終盤。夏バテ気味の体にのしかかかって来るのは,やってない宿題類です。考えるのも嫌なので「何がどのくらいあったか」の確認すらしません。好きなことをして日々遊んでいました。夏休みの工作(途中から自由研究になったかも知れません)には異常にこだわってやっています。こだわり過ぎて終わらなかったり,ある年などは刃物で手に何針も縫う大怪我をしたことがありました。

最も力を入れた(というか好みに合った)のが昆虫(特に蝶)採集でした。
小学5年の時,昆虫標本はしっかりしたものを作っていきましたが,まるで他の宿題はやっていません。
何とその時の担任は,「昆虫採集をやった人は,他の宿題出さなくて良いよ。」と言ってくれました。まるで私の所業を見抜いていたかのようで嬉しいような申し訳ないような気分になりました。その時の担任はファーブルの様な人でしたから,一日中採集や観察をし,帰って標本を作るのに時間が掛かるのがよく分かっていたのでしょう。終盤追い上げが間に合わず,既に新学期が始まってから,やっつけで出すモードに陥っていた当方にすれば,もともと好きだったその先生がホトケ様の様に見えてきました。「虫も殺さない人」というのは多分言葉のアヤで,この先生は大きな毒瓶に入れたナナフシがもだえながら死亡するのを観察しながら給食を食べていました。むろん無駄に殺生しているわけではなく,教材用の標本にするわけですから,大いに意味があることです。

当方が蝶の標本を作るのも,私に捕まらなくて生殖できたのならばいざしらず,そうでなく鳥にでも食べられるか,すぐに死んで朽ち果てるはずの大量の蝶の1頭をサンプリングして長期間保存する行為は,賞賛されこそすれ,非難される行為では無かったということです。虫が可哀相というのは,高等動物から感情移入した感傷であって,虫は本来蟲と書くようにうじゃうじゃいるのが本質です。同じ命でも,蚊を叩いたり雑草を引き抜くのをあまり可哀相とは言いません。寿命の長い動物とは異なり,個体数を一定にするような安定な制御は働かず,条件が揃えば大量発生しますしそうでなければぱたりといなくなります。種が絶えない様に大量の卵を産みますので,減っても直ぐに持ち直し増減を繰り返します。ごく希少種は別にしても,子供がこぞって昆虫を大量に採集したところで,環境にはかすり傷にもなりません。トンボの住む池を埋めるとか,生息地もろとも伐採開発する様な環境の改変こそ虫たちには大変可哀相な行為です。虫は一定の団体単位で命と考えてもいいと思います。

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好事魔多し。その理科の先生が担任だったのは小学5年生の1年間だけで,6年生ではアル中気味の社会科の先生になりました(この人も嫌いではなかったのですが)。環境云々は後付けの言い訳です。小学生の頃は虫が可哀相とは殆ど思いませんでしたが,中学に入ってからは,流石に殺すのが忍びなくなってきて,カメラに収めるだけになりました。カメラに興味を持ち出したのは,蝶の写真を撮るためだったと言っても過言ではありません。飛んでいる蝶の羽の柄は止まって見えるのですが,後に運動会で自分の子供の姿をスチルカメラやビデオカメラで撮る際,自分の子供の顔はなかなか見つけられず,妻から非難されていました。自分の子であれ他人の子であれヒトの子供ですから。。。

夏休みの話題に戻れば,毎日学校があるから,休みは楽しいのでしょう。
中2の時ひと月学校を休んで入院したことがあります。それも夏休み後の9月いっぱい。学校に行かないですから宿題も出さなかったかも知れません。病欠ですから,致し方ないことなのですが,気分は冴えませんでした。いつも夏の始まりはうきうきしていますが,終わりは憂鬱でけだるいものです。しかもその時は,1か月外に出ていなかったので,夏から一挙に晩秋になってしまったような感覚があり,なにやらわびさびの様なものを感じたのを今も鮮明に記憶しています。
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アヨアン・イゴカー

井上陽水の『少年時代』は好い曲ですね。明解な旋律、張りのある美声。そして、この曲を聴くと、漠然と青春時代を思い出します。

宿題は苦手で、いつも後回し、夏休みの最後の数日に必死になってやったり、やり残したり・・・だったような気がするのですが^^;

父がファーブルが好きで、採集道具を持っていた影響もあって、小学生のころはたまに昆虫採集したりしましたが、昆虫標本箱はありませんでしたので、お菓子の空き箱のようなものに虫ピンで止めたくらいだったと思います。
by アヨアン・イゴカー (2020-08-09 13:56) 

Enrique

アヨアン・イゴカーさんも宿題は苦手でしたか。
あまり得意な人はいないのではないかと思うのですが,当方の姉たちは何の苦労もなく仕上げ,私を叱って手伝ってくれたりしました。
主力を注ぐ昆虫採集は,私も最初は標本箱はありませんでしたので,お菓子箱やワイシャツの箱などを使っていました。そのうち木箱にガラスを嵌め込んで自作しましたが,しろうと工作では隙間があり,標本が長持ちしませんでした。兄に志賀昆虫社で標本箱を買ってもらってやっと本格的な標本になりました。
by Enrique (2020-08-11 09:51) 

アヨアン・イゴカー

>志賀昆虫社

これは、渋谷の青山通りにある志賀昆虫のことですか?
父は、昔、こちらで昆虫採集の道具を購入したようでした。7,8年以上前でしたか、渋谷にまだこの店があったのを見て、喜んでいたと弟が言っていました。数年前にこの前を通った時には、見当たりませんでしたが・・
by アヨアン・イゴカー (2020-08-11 17:31) 

Enrique

アヨアン・イゴカーさん,
かつての場所は青山通りに向かう道玄坂でしたか。兄の通った大学が渋谷にあったので桐製標本箱を買って来てもらった記憶があります。通信販売では本体に加え送料も馬鹿にならず,少年にはなかなか大変でした。その後大人になって何度か通いました。少年時代十分買えなかった分,いろんなもの大人買いをしました。というか,第一線の専門家も含めプロ・アマ問わず昆虫マニア御用達の店ですね。
理由は知りませんが,数年前に品川に移転したようです。場所が替わってからは行っていませんが,現在も健在のようです。
by Enrique (2020-08-11 22:08) 

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