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弾く曲の説明を考える〜お話作戦〜 [演奏技術]

妻たちが参加する音楽セミナーで,取り組む曲の説明をするという課題があるのだそうです。

なかなか良い課題ではないかと思いました。
これから演奏する曲の説明をちょこっとしてから演奏する。
いつ頃からでしょうか?お堅い演奏会でもその様なスタイルが結構出てきました。
当方は荘村清志さんの10弦時代の演奏会で聞いたのが初めてですので,氏のやりかたが結構さきがけだったのではないかと思います。

内輪の発表会でちょっと試してみたことがあります。
結構良いです。聴く方もさることながら,弾く方にもメリットがあります。リラックスのコントロールができる点です。話が詰まり気味で,「ちと緊張しているな」と思ったら,少し話を延ばして,緊張が溶けるのを待つことができます。これをチューニングだけでやろうと思ったら,余計緊張が高まるかも知れません。かつてのジョンの様に,座るとぱっと弾き出す。あれは,「自分の緊張する時間を与えない。」という,ある意味完璧な作戦だったのです。もう一方のこちらの作戦は,「緊張を溶かすムダにならない時間を持つ」ということでしょうか。それが,お話作戦です。

お話作戦には,ネタを仕込む準備が必須です。
体育会系演奏家からしたら,「無駄話なんぞ考えている暇があったらスケールの一本でも弾け。」ということになるのでしょうが,「いやきちんと曲の背景を良く調べて弾くのが基本」というのもまた,文化人系(自問:誰が?)の取り組みでしょうか。

まず作曲者の情報。年代,国・地域は当然でしょうし,若い頃の作品か,中期か,後期作か。できれば作曲年代も調べておきたいところです。以前ギターの知人と話していて,「バッハのBWV1000番のフーガの前の曲」とか言うので,「あっ,じゃあ999番のプレリュードね」と言うと,「そんな簡単な曲の訳がない」とか言うので,気まずくなってしまったことがあります。その方は何かの曲集に載っていた順番のことを言っていたのでしょう。

バッハに限らず,ソルの練習曲でも,Op.35-22とかOp.6-6とか言われることは殆どなく,ソルの5番とか12番とか言うのがギター仲間の合言葉のようになっています。無論セゴビア版の順番を言っている訳です。その辺の事を一言言うだけでも,立派なお話になると思います。うちの妻がそうなのですが,作品番号などは決して覚えられないと言う人がいます。そうすると,本来のOp.35-22はもちろん,セゴビア版の5番でもなく,ソルの月光となります。あるいは三度が連続するやつとか。

練習曲の様に作品番号だけの場合は,やはり取り付く島が少ないのですが,曲名がある場合は,曲名に関わる蘊蓄も語れます。曲名に関して楽式面から記事にしたことがあります。楽式を把握していれば暗譜も有利です。

もちろん,タイトルの次は拍子と調性です。2拍子系,3拍子系,4拍子系がメインでしょうが,エスニック系の曲ですと,混合していたりします。ギター独奏ではフラット系は少なくシャープ系の調性に偏りますが,それぞれの響きがあります。拍子は曲を通して変わらない事のほうが多いものですが,調はよほど単純か意図的な旋法音楽でない限り大概変わります。転調というやつですね。何調から何調に転調しているか程度の理解は必須でしょう。むしろ,コードで音楽やる人はその辺は自然に身についているのでしょうが,クラシックの奏者の方が却って意識していなかったりします。
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たこやきおやじ

Enriqueさん

特にアマチュアが演奏前に話をするのは、演奏者がリラックスして演奏ができる良い方法だと思います。しかし、逆に観客にうっとうしく思われない話を考えるのが難しいですね。
(^^;

by たこやきおやじ (2019-11-26 12:14) 

Enrique

たこやきおやじさん,
観客がお話と演奏のどちらがうっとうしく感じるかにもよりますが(笑)。
by Enrique (2019-11-26 12:40) 

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