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データバックアップに関して [科学と技術一般]

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現在,最も信頼できるデータバックアップ方法は,LTOという規格の磁気テープに保管することです。

当方もドライブとテープを持っているわけではありませんが,これが現在考えられるもっとも安全なものです。

大量のデータを保存しておくにはテープ媒体が最も適しています。
なぜなら,ディスクは限られた面でしか保存ができないですが,テープは大幅に面積が稼げるからです。伸びやら絡まりやらを論って時代遅れだと言う人もいますが,データストレージ用の磁気テープは対策が取られ,オーディオのカセットテープやビデオカセットのテープシステムよりも機械的な信頼性が高い上,本来の磁気記録に適したデジタル飽和記録にエラー訂正技術を搭載していますから,現在入手できる保存媒体として最も信頼のおけるものです。

LTOのテープ媒体には,かつてフロッピーディスクの高容量化で東芝が採用したバリウム・フェライトを用いた垂直磁気記録方式がとられている模様です。アメリカの3社連合が出しており,権利関係はどうなっているのかは知りませんが多くが日本発の技術です。

保存媒体の規格を作ろうという時,必ずメーカー間で規格争い・主導権争いになります。そして技術の優劣とは別のところで決まる勝敗で,ユーザーは生き残ったところのものを使わざるを得なくなります。生き残ったものが真に優れたものならばまだしも,技術的に劣っていたり,逆に高度なものを求めすぎて普及しにくいものであったりすることもあります。

1990年後半に,IBM, HP, シーゲートの3社連合が業界に呼びかけて策定したものが,LTO(Linear Tape-Open)という技術だったのです。技術をオープンにして,なるべく面倒な技術は使わないなど,普及しやすいものにしたのでした。2000年に登場したLTO-1は1巻あたりの非圧縮の最大容量が100MB,圧縮時の最大容量が200MBでした。しかし容量が増加してくると,HDD並みの技術を使わなければならなくなり現在は第8世代目のLTO-8となっており,同容量が12TB,30TBとなっています。

LTOの規格は2年半ほどで容量が2倍づつ上がって行きます。規格のアップデートにより,読み出しが2世代前までで,書き込みが1世代前までしか互換性は保たれません。LTO-1から使い続けている人(個人で使っている人は少ないでしょうが)は,少なくとも1回飛ばしで,LTO-3,5,7と4世代分を買い続けないといけなかったわけです。もちろん古い世代のままでも,装置が壊れていなくてHDDに吐き出し可能であれば,何世代か飛ばすことは可能でしょうが,余りに年数が経つとコンピュータに接続するインターフェースやデバイスドライバーなどの世代交代の不安があります。結局,データバックアップは,ドライブや媒体の方式だけでなくコンピュータシステム全体の問題のようです。

あとはやはり価格の問題です。最新のLTO-8はドライブも媒体も非常に高価で個人で使うには無理そうですが,2世代前のLTO-6くらいなら何とか?といったところでしょうか。

Lto-8 Ultrium 30750 Int Tape

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  • 出版社/メーカー: Hewlett Packard
  • メディア: エレクトロニクス
HPE 30 TB lto-8 RW Ultriumテープデータカートリッジ

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  • 出版社/メーカー: HPE - MEDIA 7A
  • メディア: エレクトロニクス
Quantum TC-L62AN-BR-C LTO-6 ハーフハイト ドライブ

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  • 出版社/メーカー: Quantum
  • メディア: Personal Computers
Sony LTO6 RW 6.25TB LTX2500G データカートリッジ

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  • 出版社/メーカー: Sony(ソニー)
  • メディア: エレクトロニクス

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