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カデンツとカデンツァ [音楽理論]

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カデンツ(Kadenz: 独)とカデンツァ(Cadenza: 伊)。
前者は,I, V7, Iとかの和声の終止形のことを意味し,後者は協奏曲の独奏部分を指しているようです。

日本語では使い分けていますが,いずれの言葉もドイツ語とイタリア語の違いがあるだけで語源も同じで同じ意味です。ちなみに,英語ではケーデンスです。英語で言うとポピュラーっぽく感じられてしまいますが,やはり同じ意味です。「コード進行」と訳されることもあるかもしれません。

では,なぜ,「終止形」と「協奏曲の独奏部分」とが同じ言葉なのでしょう?
協奏曲の独奏部分とは終止に向かう巨大な終止形だということのようです。

音楽でも科学でもそうなのですが,現在我々はそれらを完全に日本語で行う事ができます。全てが先人の努力で翻訳されており,もちろん術語がそのままのこともあるわけですが,この例の様に,本来原語の環境ならば共通の言葉で当たり前に把握されている概念が,別々に理解されていることもあるのでしょう。

翻訳などをやる人からしたら基本的な留意事項なのでしょう。翻訳過程でさまざまな誤解を産むこともあるのでしょうが,そのような認識の相違も決して悪いことではないのかな?却ってコスモポリタンゆえの新鮮さや新しい発見もあるのかもしれないなどと,ネイティブでないこちらとしては開き直るしかないようです。
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コメント 4

Ken

翻訳は便利な反面、誤解を生むこともありますね。
例えば、「平均律クラヴィーア曲集」。これは明らかに誤訳とおもいます。バッハが平均律で調律された楽器を使用していたと勘違いされてします。
by Ken (2018-10-08 12:38) 

アヨアン・イゴカー

カデンツァはジャズのジャムセッションに似ていると思います。カデンツのほうも、和声進行が固まっていますが、ジャズの独走も基本的には音楽の塊から逸脱しない範囲で自由に自分の技量をひけらかすと言う点で、カデンツの発展形(変奏曲)のようにも見えます。
ジャズは殆ど知らないに等しいので、あくまでも印象なのですが。
by アヨアン・イゴカー (2018-10-08 23:10) 

Enrique

Kenさん,ご指摘通りだと思います。
便利さと誤解の危険性ですね。誤解は,訳した言葉を使い続ける限り中々解消されないということもありますね。本来の言葉の意味よりも訳者の解釈が一人歩きしてしまうということが最大の問題ですが,必ずしも一対一に対応しない翻訳の宿命でもありますが。
by Enrique (2018-10-09 06:29) 

Enrique

アヨアン・イゴカーさん,
なるほどそうですね。ジャズのソロの即興はまさにそんな感じだと思います。いわばカデンツとカデンツァを兼ねているとでも言えますでしょうか。
バロックの演奏も指定の和声進行のもと即興が入りますので,ジャズのセッションと似ていると言われますし,大いに共通点はあると思います。
ヘビメタに至っては和声進行を否定?している点で,グレゴリオ聖歌のあたりに先祖返りしているのだと思います。
by Enrique (2018-10-09 06:58) 

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