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広島とマツダ [科学と技術一般]

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いい歳になってからスポーツ,特にプロスポーツにはまるで興味がありませんが,プロ野球で広島が優勝したそうです。

広島と言えば,マツダです。

現在車に乗っておらず,あまりクルマの事に関しとやかく言えないのですが,マツダ・東洋工業といえば,思い起こされるのが,ロータリーエンジンを搭載したコスモスポーツでした。まるで未来車のようなフォルムに少年の胸は躍らせられたものでした。

ガリバーのトップ・メーカーよりも,独自の技術を引っ提げた中堅企業の方が好きです。このことは会社の好みに限らず性格的なものでしょう。人間でも,優れた個性を持っている人に魅力を感じます。

クルマの技術と言えば,もう電気自動車の方に大方移っている様にもみえますが,どっこい,マツダは,画期的なガソリンエンジンを開発している様です。IEEEの会誌の記事で見ました。


Illustration: James Provost
このイラストで普通のSI(火花発火)との違いのイメージが湧くとは思えませんが,プラグ周りの火炎を伝播させるのではなく,プラグ周りの爆発をきっかけとして周囲を瞬時にCI(圧縮発火)させるのがミソのようです。


ディーゼルエンジンは,圧縮比が高く(20倍程度),空気の圧縮熱で発火させており,スパークプラグを使いません。これをCI(圧縮発火)と言っています。

一方ディーゼルエンジンよりも歴史が古いガソリンエンジンですが,圧縮比はディーゼルの半分程度で,スパークプラグで着火します。スパーク・イグニッション:SI(火花発火)です。

両者特徴があって,内燃機関として棲み分けしながら使われているのが実態です。大雑把に言って大型低回転のものがディーゼルエンジン,小型高回転のものはガソリンエンジンです。もちろん,前者が軽油や重油,後者が文字通りガソリンを使うといった燃料の違いがあります。

ディーゼルエンジンの方が熱効率が高いので,ガソリンエンジンもディーゼルエンジンのようにCI化できないかというのがエンジン技術者の長年の夢だったようです。

それがHCCI(Homogeneous Charge Compression Ignition)といわれる技術で,各社研究開発がなされているようですが,CIさせる条件が非常にきびしいことや,力が要る時など従来型のSIに切り替える際のタイムラグをどうするかなどの技術的課題があったようです。

マツダの新技術は,SPCCI(Spark Controlled Compression Ignition)エンジンと呼ばれるもので,従来のガソリンエンジンよりもかなり圧縮比を高めた上で,上のイラストの説明に書いたように,スパークプラグを使わないのではなく,スパークプラグ周りの発火の圧力増大によりシリンダ内を一挙にCIさせるのがポイントのようです。スパークプラグを使いながらCIさせるというコロンブスの卵のような発想ですが,その実現のためには,センサー類や噴射装置を含めた総合的な制御技術の進化があるようです。

これにより電気自動車化が少し遅れるのではないか?というのがIEEEの記事の見方のようです。
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黒板六郎

昔はジャイヤンツ派でしたが、金本・新井等きちんと育てた選手がFAでいなくなるのを知って、同情から愛情に変わっていきました。ですから今回の地元での優勝を喜んでます。
今年こそ日本一だ!
by 黒板六郎 (2018-09-30 13:59) 

アヨアン・イゴカー

理論だけだったロータリーエンジンを実用化したマツダは素晴らしいと思っていました。
確かに、マツダが新しいガソリンエンジンを開発していると言う記事は、見たことがありました。解説を拝見していて、他社がやらないことを敢えてやってみるという精神が、ますます好きになりました。

将来、全面的に電気自動車(燃料電池も含む)に移行するのか、はたまた廃材やゴミを再利用して作るバイオ燃料をガソリンの代わりにした車が主流になるのか、大変興味深いです。
by アヨアン・イゴカー (2018-09-30 15:01) 

Enrique

黒板六郎さん,私もかつては巨人にしか目がありませんでしたが。。。
地方球団が,中央のお金をかけた球団を凌ぐのはなかなか痛快です。
まだ日本シリーズがありましたか!
by Enrique (2018-10-01 11:01) 

Enrique

アヨアン・イゴカーさん,
新技術をものにする精神とバイタリティには頭が下がります。
ロータリーエンジンを持て余した時期もありますが,どっこいSPCCIを使った次世代のロータリーも現れるかも知れませんね。
技術の進展で,あっという間に替わってしまうものとしぶとく生き残るものがあります。内燃機関もしぶといもののひとつかもしれません。
電気モーターは明らかに優れた動力だとは思いますが,電力の給電が課題です。バッテリーの充放電にのみ頼るのは少し弱いと思います。その点水素燃料電池車は両者のメリットを兼ね備えていますが,水素供給インフラの整備が課題です。電気の特性を生かして道路から無線給電出来る等の仕組みが完備できれば最強だとは思います。がまんして使うのでは無く,ガソリン車よりも便利になって初めて電気の優位性が出てくるものと思います。
by Enrique (2018-10-01 11:23) 

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