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時間スケールに思うこと [雑感]

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忙しい日々を送っていますと,あまり考えないことですが。

時間スケールの違いにより,全くものの性質が異なって見えます。

硬い硬い岩盤であっても長年でマントルの対流が起こっています。
飴は折ると割れますが,ゆっくり時間を掛ければぐにゃっと変形します。

一方,さらさらに見える水だって結構な粘性を持っています。高速ではコンクリートの様に堅く見えます。水上スキーは硬く見える水上を滑ります。空気だって結構な粘性を持っています。飛行機が安定して飛んだり,ハードディスク装置の読み書きがスムーズに行くのも空気の粘性のおかげです。

いわば,硬いものは軟らかく,軟らかいものは硬いという,禅問答のような話ですが,硬軟を分かつのは時間スケールです。非常に硬く見えるものであっても長い時間には流動するし,全く存在を感じない様なふわっふわの空気であっても,ごく短い時間では硬く見えて,それに人間が生命をあずけたり,大事なデータの読み書きをさせているということです。ちなみに流体と固体の中間くらいのものの性質を扱うレオロジーという分野がありますが,ここではその解説をする積りはありませんが,物理分野に限らず時間スケールの違いによってものごとが全く違って見えるというところに着目します。

例えば,政策上教育が大事ですが,これは短期的な効果が見えにくいものです。時間が掛かってじわじわと効果の出てくるものです。一方で,短期的に経済を良くするなどというのは世論の支持も受けやすいものです。しかし,目先を食いつなぐことのみ考えていたら,長期戦略は立たず長期低落に陥ります。いや倒れてしまっては元も子もないから今が大事と反論されます。そして目先優先が勝ってしまう様です。長期戦略は「そのうち何とかなるだろう」と。

本質的に対立する長期戦略と短期戦略とを二者択一するのは不毛です。いずれも真理であるため,どちらが正しいとか間違っているとかではなく,両方なされなければならないのです。窮乏した中でという究極の選択であれば,むしろ「米百俵」の精神で長期戦略を取らないといけないのです。

この事をギターの練習にこじつける事は,今回は止めておきます。

米百俵 (新潮文庫)

米百俵 (新潮文庫)

  • 作者: 山本 有三
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2001/06
  • メディア: 文庫

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アヨアン・イゴカー

>硬い硬い岩盤であっても長年でマントルの対流が起こっています。

どんなに技術が向上しないように見えていても、身体の中では徐々に変化が起きていて、やり続けていれば大抵は時間が経てば顕在化してくるものなのではないかと思います。顕在化して来ないのは、途中で諦めるからではないかと。進歩の遅かった自分が、いつの間にかフルートで吹けなかった曲が吹けるようになっているのに驚いたりすることがあります。
by アヨアン・イゴカー (2018-05-01 00:06) 

Enrique

アヨアン・イゴカーさん,実は私もそのことを書こうと思ったのですが,今回は思いとどまりました。
全く変化が起きていない様に見えても確実に進歩していることもあるもので,知らぬまに進歩していたということもあります。寝ている間でも進歩はしているのでしょう。結果はすぐに見えなくても,それなりの努力の継続が必要ということでしょう。
by Enrique (2018-05-02 21:26) 

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