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ストカスティックとディターミニスティックと [雑感]

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目的と手段とか,原因と結果とか,本来全く異なるものを取り違えてしまうことがあります。

ストカスティック(stochastic)とディターミニスティック(deterministic)というのもそうです。
判断ミスを行ってしまう原因の一つに,どうも両者の取り違えがあるように思います。

前者は確率統計的で,本質的に不確実性を含んだものです。場合によっては,ストカスティックに楽観的な予測がされていても,そうでない結果も出るかもしれません。そこに大儲けのネタが潜んでいるのではないかなどと考える人もいるかもしれませんし,悲観的な見方であっても,いやそんなの大丈夫だという希望的観測も出てくるかもしれません。地震予測などストカスティックの最たるものでしょうし,日々の天気予報は大体当たりますが,長期予報などはまず当たらないと見た方が良く,ストカスティックな予測です。後者は決定論です。原因結果の因果関係がしっかりしており,そうしかあり得ないということです。自然現象で言えば,何年何月何日に日食が起こるなどというのは,秒単位でぴたりと予測可能です。ディターミニスティックな数式できちんと計算できるからです。勿論,本来統計的事象であっても,もの凄く確率の低い事象は,あり得ないとしても実質上問題ないでしょうからほぼ決定論でしょうし,ディターミニスティックに見える天体の運行だって,何十億年の時間スケールでは不確定なものを含んでいたでしょうし,これからどこか宇宙のかなたから未知の天体が飛んできて,予測を乱すかもしれないとすれば,確率統計的現象になります。そのように両者を完全に峻別できるものでは無いにしても,異なる考え方です。ディターミニスティックに起こりえる事象に対しては,好むと好まざるに関わらず先送りせずに確実に対処すべきですし,ストカスティックな事象に対しては,結果を見てから臨機応変に対処すると言う事になるのでしょう。もちろん予測不能であってもありうる可能性には対応策を準備しておく事も必要でしょう。例えば保険なるものは,ストカスティックな事象に対するディターミニスティックな備えでしょう。

 
  タンパク質の生成。本記事の内容に直接は関係しませんが,
こういうものを解析するにも両方のアプローチがあるようです。
景気動向などは政策によるコントロールはあるにしろ,不確実な人間の心理にも因る複雑怪奇なものです。ストカスティックな事象ですので,楽観視・悲観視相まみえます。一方,世の中事情として少子高齢化がありますが,現在の日本では人口の増加原因と言うのは,新生児の出生しかあり得ませんので,人口減少は確実に起こっています。何か神風が吹いて突然人口が増えるなんて事はありえませんので,これはほぼディターミニスティックな現象と見て良くそこに希望的観測など入る余地は無いのですが,先送りされて来た風情です。

むりやり,ギターに持ってくるのはいささか強引ではありますが,ギターの練習においても,ストカスティックとディターミニスティックを峻別すべきではないでしょうか。練習して直ぐに上手くなるわけは有りませんし,どの程度上手くなるかなどは不確定です。いわばストカスティックな訳です。確率統計的なものにかけて希望的観測をしているのはいわばギャンブルの様なものです。しかし,音を良く聴くとか,腕の重みを使うとかいった事柄は,間違いなく確実に演奏結果に現れます。そのようなディターミニスティックな事象の積み重ねが,上達というストカスティックな結果に繋がるのだろうと,無理やりこじつけたにしては,まあ常識的な結論です。
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