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バッハのプレリュード,フーガ,アレグロ(BWV998)(続・その5・最終回) [曲目]

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 この曲に関する思い出話しをつづっていますが,この曲に限らず,「ギターによるバッハ演奏の思い出」になっています。前回の思い出話は遂にBWV998再開にたどりついたところでした。

 99年ごろギターを本格的に再開したのですが,ソルの易しい方の練習曲などから始めました。重点的な技術課題としてはは右手のタッチ,左手のスラーの技術などでしょうか。構えも独学時代より少しは改善したでしょうか。独学時代,適当なスタイルで練習していました。右ひざに乗っけて弾いてみたり,まあいい加減なものでした。あまり良い練習になっていなかったようです。

 肉体的な構えもそうなのですが,曲の取り組みに関しても,適当に弾き散らかしていたスタイルでしたが,師についてやってみて,一曲づつきちんと仕上げるという習慣がようやく付きました。これは定期的にレッスンに通うと言うことが作用しているのだと思います。時々の課題曲をやり,年1回の発表会用の曲に関しては苦手な暗譜までしたのでした。そして2001年,仕事でアメリカに行くことになりました。この頃弾いていたのが,小品の「11月のある日」と,この「プレリュード・フーガ・アレグロ」でした。

 そして今年もまた「11月のある日」ならぬ,「9月のあの日」がやってきます。2001年9月11日,テロ攻撃があったあの日です。出勤して,メールチェックしてネットのニュースを見ていました。第一報はNYTのネット版のニュースでした。ビルから火が出ている映像だったっと思います。最初は,ビルに小型機でもぶつかっちゃったのかな?と思っていました。

 しかし,その次に見たニュースでは"WTC building collapsed"とか出ており,思わず目を疑い,改めてcollapseを辞書で引いた記憶があります。ただならぬ事が起こっているのだと,茫然自失です。お昼にアパートに戻ってTVをつけると,ABCやCNNでは「ナジズム」だ「カミカゼフライト」だと。

 当然連日のニュースはこれで大騒ぎでした。
 翌日のニュースは,Yesterday's terrorist attacks,その週内は,Monday's,翌週になるとThe last week's, 翌月になるとThe last month's ... と,2,3か月はその報道一色だったように思います。そして,しまいにSeptember eleventh terrorist attacks と言われるようになりましたが,それまでのちまちました懸案事項などがすっかりリセットされてしまったような状態でした。アメリカは,世界は,そして日本はどうなるのだろうと,先の見えない鬱の様な状態になってしまったのでした。

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 当時滞在した職場の大学はアメフトの強豪校として鳴らしたのでしたが,その頃すっかり落ち目となり,ハイスクールから金を積んで強い選手を引っ張ったのではないかとの疑惑の目が向けられており,地元メディアを賑わしていたものですが,そんな事もセプテンバー・イレブンスのテロ攻撃で一遍にリセットされてしまったのでした。

 お昼をとって戻ると,学内は騒然としていました。アラブ系の学生は姿を消しました。事件後すぐに事件がビンラディン容疑者の仕業と断定され,アラブ系の人々に対する米国一般市民からのリンチを恐れたからでした。


 テロの影響は,個人のフトコロも直撃です。
 通常USでは1年弱乗ったくらいで中古車がそう酷く売値が落ちるものでもないのでした。私が渡った2011年の5月ごろは10万マイル走ったトヨタカローラやホンダシビックが堂々と1万ドル以上で売っていました(円/ドルは130~140円程度だったと思います)。10万マイルは16万kmですから,日本なら既に全く売買が成立しない様な走行数です。Dougとか言うディーラーの男はトヨダは20万だか30万マイルだか大丈夫だとか言っていました。米国に着いたばかりの私にはにわかに信じがたく,ビジネストークだとばかり思って,皮肉を込めて「トヨダは無限に走るのか?」と聞いた記憶があります。

 ですから1万マイルくらい走ったって,クルマの価値に大きな差は無いのです。3万マイル弱で買って4万マイルにもなっていなかった私のシボレーは売る時には半値以下になってしまったのでした。理由はこうです。テロ事件によって,ふだんはバカみたいに消費旺盛な米国経済も一時的に失速。車が売れなくなってしまった。そこで,各社ゼロ金利ローンを始めた(金融当局の政策なのかもしれません)。結構金利の高い米国ではゼロ金利ローンは当たり,ちょうど私が日本に戻る頃には新車がすごく売れだして,いきおい中古車市場が一挙に値崩れしてしまったという事なのです。

 余談ですが,米国南部では,thunder stormという一時的に酷い雷雨が来ます。そして空が,この世のものとも思われない様な気持ちの悪い色になります。当時幼稚園児だった私の息子は,ちょっとした雨にもおびえて泣きだすようになってしまいました。確か,車を買いに行った時もそれに遭遇しました。

 その年の暮れ,一般観光客が旅行を控える中,「チケットが安かった」と言って姉が遊びにやって来ました。アトランタなどを観光したり,海外のクリスマスを楽しんで行きました。


 この曲は,テロ事件の頃まではよく弾いていたなー,と妙に印象に残っているのです。しかしその後,ぱたと弾かなくなってしまい,現在に至るのです(おわり)。
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