SSブログ

ダダリオ社プロアルテ弦の張力表示について [楽器音響]

EnriqueImage.png
かつては色々弦漁りもしていたものですが,このごろの使用弦はダダリオのプロアルテ・ナイロンコアに落ち着いています。せいぜいこれの,ノーマルテンション(赤)を使うかハードテンション(青)を使うかくらいです。

この弦に関しては,特徴が無くて面白くない。との指摘もあり,その意見もよく分かります。他の弦からこの弦に替えると,無色透明・平凡でつまらない感じはあります。フロロカーボン弦の様に楽器が変わったような刺激とは逆です。ただ私のベラスケスにはフロロカーボン弦が全く合わないことはすでに確認済みです。

弦の特徴が無いと言うことは,欠点のようでもありますが,むしろもとのキャンバスは無色透明な方が楽器の底力や奏者の音作りを支えてくれるという点では長所とも言えるでしょう。それと,現実的な理由は,リーズナブルなお値段と品質の安定です。

 
 図1 裏面の表示(開封前)。
  
 
 図2 裏面の表示(開封後)。前回のウェブページ上の値と一致。
  
表1D'Addario社のWebページ上のEJ46の外径・張力
Diameter Tension
Item# Note [Inches] [mm] [lbsf] [kgf]
J4601 E 0.0290 0.7366 16.810 7.630
J4602 B 0.0327 0.8305 12.420 5.630
J4603 G 0.0410 1.0414 12.300 5.580
J4604 D 0.0300 0.7620 15.270 6.930
J4605 A 0.0360 0.9144 15.890 7.210
J4606 E 0.0440 1.1176 14.090 6.390
さて,この弦のパッケージ,2014年にデザインが変更になりました。その時も記事にしましたが,今回気がついたのは,表面は変わらないものの,裏面のデザインが少し変わって張力表示が復活していることです。パッケージを開ける前の外からは6弦分のトータルのテンション表示があり(図1),パッケージを開けると各弦のテンション表示があります(図2)。この数字は前回の改訂?の際のウェッブページ上の数字が表示されています。

2014年のパッケージのデザイン変更では,かつてのクラシカルなデザインから何やらネオクラシカルなものになりました。それとともに,各弦のテンション表示が微妙に変わりました。「パッケージのデザインは変えたが中身は変わっていない」と言う事だったので,では「何故テンション表示が変わっているのか」と問い合わせたところ,回答は「テンション表示は実測では無くて,ある計算式で算出している」との事でした。「モノは変えていないが,その計算式を変えた」と言う事の様でした。

テンション表示を復活させたのはまあ喜ぶべき事でしょう。今回も念のため,同社のウェブページを確認してみますと,ハードテンションのEJ46の張力は右の表1のようになっています。あれあれ,少しまた値が異なるようです。旧デザインの頃から新デザインに変更した時は,張力の表示値は若干上昇したのですが,今回は①,②,③弦の表示は一致していますが,④,⑤,⑥弦の表示が少し小さくなっています。2014年以前の旧パッケージの時期のものとも少し異なるようです。なお全弦外径のデータは変わっていません。

ウェブページ上の表示は,製品に表示のものよりも先行しているようなので,今後出てくる製品には現在のウェブページ上の数値が表示されてくると思われます。もっとも,このくらいは誤差範囲なのかもしれませんが。

①,②,③弦の張力は,ナイロン66の密度を使ってこの表の外径から計算で求めることができますが,④,⑤,⑥弦ではこの表の外径だけからは,計算で求められません。巻線の素材と太さと巻構造がはっきりしないと線密度が計算できないからです。このことは,製造側とて大差ない事でしょう。線密度は単位長さあたりの質量ですが,長さの分かった試料を天秤などで計測した実測の線密度データから計算で張力を出すのでしょう。同社が用いる計算式なるものは想像するのみですが,今回巻弦の線密度を測定し直したのか,用いる実験式を改訂したのかのいずれかなのでしょう。
nice!(5)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 5

コメント 2

コメントの受付は締め切りました
EAST

個人的にはプロアルテ弦はお値段が少し高めとの印象です。また1−3弦はプロアルテ、4−6弦はオーガスティンというセットも店によってはあるようで、こちらの方が安くなるようです。
私の使っている『村治香織セット』も値段(プロアルテより安い)とあまり弦の個性が強くないようなことも選択の理由です。
弦のテンション表示は結構WEB SITEによっても表示がバラバラで比較して選ぶのは難しいかなと思っています。
弦の選択も凝りだすとキリがなさそうですね。

by EAST (2017-01-06 23:25) 

Enrique

EASTさん,プロアルテは確かにオーガスチンより高めではあります。ただ余り頻繁に替(変)えない私にとっては,安定品質でセットで実売1000円前後は十分お安いように感じています。2000円,3000円するものもありますので。
テンション表示はメーカーにより異なるので,余りアテになりませんね。同じメーカーの同じ銘柄で,メーカー自身が変えていないと言うものですらこの状態ですので。
by Enrique (2017-01-07 06:22) 

トラックバック 0