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練習のアナリーゼ [演奏技術]

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何やら意味深なタイトルです。

 
  "Analyse" by Dan Slaughter with CC license attribution
   
いささか唐突な例えで言えば,データファイルの圧縮法を練習法に応用しようと言うわけです。全曲普通に弾いて練習するのは,いわば圧縮無しの練習法です。データ圧縮には色々ありますが,一言で言えば,冗長性の回避です。その前段階が分析;アナリーゼです。
練習の冗長性としてはどんなものがあるでしょうか?
もう出来ているところでも何度も弾いてしまっているという事がよく有ります。それをやめ,曲の中で同様な技術の箇所は繰り返し弾かないとか,更に言えば,練習を要する弾けない箇所を徹底して分析・分解し,分解した問題の要素のみを練習することが肝要だと思います。

分解の仕方には時間的な分解と,空間的な分解があります。
時間的にはもちろん,練習が必要な部分を取り出すことです。ゆっくり弾くと言うのももちろん大事です。ある箇所をゆっくり弾いてきちんと弾ければ,速度を上げるのはさほど困難ではありません。次は速度を上げることのみの練習モードに移すことが可能です。ついついやってしまうのが,ゆっくり練習を,全曲とか必要のないところまでやってしまうことです。これでは時間がもったいないです。時間的分解の究極は2音の連結でしょう。連打音,速いスケールなどで,スムーズに弾けないとすれば,どこかに2音の連結がうまく出来ない箇所があるわけです。入りなのか,出口なのか,途中なのかです。同じ動作が連続するのであれば,むしろ好都合で,1動作を克服すればOKなわけです。というか人間同時に幾つもの事は出来ません。

空間的な分解としては,声部の分解です。これは非常に良い練習だと思いますが,分解した結果,実際の演奏と違うことをやってしまっては技術練習としては余り意味が無いと思います。却って練習の冗長度を上げてしまう事になります。同じ条件下での分解が必要です。分解しても,なるべく運指が変わらないようにしないと意味が有りません。ギター独奏の場合これが隘路の様に思います。

時間的分解と空間的分解とはまた別に,演奏に問題がある場合,それが左手なのか,右手なのか,左右のシンクロなのか,課題は3つに分けられます。つごう2×3=6つに分解出来ると思います。ある演奏課題に直面した際,それが,どこのカテゴリーに属するかを把握してピンポイントで練習すれば効率は上がる様に思います。

分析・分解した後の対処法としては,左手ならば,やはり脱力ですし,それとも関連して手の形,ムリに指を立てない事とか不必要なセーハはしないとかムダな動きを避けるとかです。右手ならばpimaの組み合わせと弦の跨ぎ,和音の場合ならばpとimaとのバランスとか,もちろん脱力して意思がダイレクトに発音につながるようにすべきでしょう。そのためのツメの整え方の重要性は最近とみに痛感しています。

更に言えば,ここまで言ったのはフィジカル面のことですが,さらに頭の中には人それぞれのイメージがある事でしょう。また,練習法の分析は少なくとも拍節やフレーズの意識など,音楽的観点からなされるべきです。それなくしては単に指の運動練習になってしまうでしょう。例えば音楽的に切れているところをつなげる技術などもともと必要ない訳です。また,仕上がり以降の弾き込み練習には当然回数と時間を掛けなくていけませんから,その為の時間を稼ぐ意味でも効率的練習法は重要と思います。

ちょっと振りかぶり過ぎてエラそーな事を書いてしまいました。
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