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ソルの20の練習曲(セゴビア編)再考 [曲目]

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標準的なクラシカルギターのコースでは,カルカッシの25の練習曲を修了すると,次はソルの20の練習曲(セゴビア版)と相場が決まっています。ギター再開後,これは半分ほどやりましたが全曲はやっていませんでした。

ソルは100曲以上の練習曲を作りました。Op.6とOp.29,Op.31,35,44そしてOp.60です。そのうち,ソル自身がまともな練習曲と考えていたのはOp.6とOp.29のみの様です。Op.6とOp.29の計24曲を全曲やるのも大変です。その点,セゴビア編の20の練習曲集は,Op.31や35のものも交えて,合計20曲選ばれています。その結果,ソルの作品番号とは関係無しに,「月光」だったらソルの5番とか,疲れるセーハのアルペジオだったら19番とかと言われる事も良くあります。Op.6とOp.29からはやはり難曲が多く,敬遠されがちです。

アマチュアにギターが大流行した19世紀初頭のヨーロッパにあっても同様で,ソルの曲は難しすぎるので,やさしくしろの大合唱だったようです。派手さが無く音楽的なため,どうしても技術的に難しくなってしまいます。出す度に「もっと易しく,もっと易しく」となるものですから,曲名にも表れてしまっています。6つの小品「やってみましょう」Op.45,6つの小品「これならよろしいか」Op.47,6つのワルツ「ついにやった」Op.51といった具合です。なにしろ楽譜が売れないと食って行けませんので。

そのためか,ソルの練習曲も作品番号が後になるほど易しくなっています。Op.60に至ってはカルカッシのOp.60よりもずっと入門編で,殆ど単音から始まっています。

この国内版の楽譜は絶版になっているものもある様ですが,海外のものはまだ現役です。現在は原典が容易に手に入り,演奏技術も進んでいるので,セゴビアの指定にはさほどこだわらなくても良いとは思いますが,彼が狙ったものが何であったのかを見極めておくのも学習でしょう。

セゴビア編による ソルの20の練習曲

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  • 出版社/メーカー: オクト出版社
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ギターソロ 完全決定版 セゴビア編による ソルの20の練習曲

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  • 出版社/メーカー: オクト出版社
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セゴビア選 ソル20のエチュード オリジナル版 模範演奏CD付き(GG487)

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ソルの20の練習曲 セゴビア編による[東亜]

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Andres Segovia: 20 Studies for the Guitar

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コメント 4

アヨアン・イゴカー

>出す度に「もっと易しく,もっと易しく」となるものですから,曲名にも表れてしまっています。

そうだったのですね、これは面白い話ですね。
もっと易しいものを書くように言われるほど、彼のギター曲は権威があって人気があったと言うことなのでしょうね。
by アヨアン・イゴカー (2016-01-31 16:20) 

Enrique

アヨアン・イゴカーさん,ありがとうございます。
19世紀初頭のヨーローパは空前のギターブームでした。ソルの曲は美しいので,当時から人気はあったようですが,当時の他のギター作曲家の作品と比べたら難しいです。ギターでの弾き易さや派手さよりも,音楽的に作られているのですから当然でしょう。
頑張って作った曲が出版社の手によって勝手に易しく書き換えられてしまったりするので,かなわなかったと思います。
by Enrique (2016-02-01 07:44) 

こなす

初めまして。カルカッシ25を終えた後はソルのOp6、その次にコストのOp38の順に練習するのが鉄板だと聞いたことがあるのですが、Op6とソルの20の練習曲をやるならどちらが効果的なのでしょうか?
by こなす (2016-07-03 18:43) 

Enrique

こなす さん,初めまして。
経験と適性にもよると思います。
ソルの易し目の練習曲もある程度やっており,音楽性のある方ならば,テクニカルなOp.6に行っても良いと思いますが,技術面では易し目でも音楽に振ったOp.31やOp.35もある程度やったほうが良いと思います。そうであれば,Op.6や29に,Op.31や35もそれなりに取り混ぜてある「20の練習曲」も意味を持つと思います。
音楽性を身につけるにはカルカッシのOp.59に戻るということもあるとのことで福田進一さんがそうしたそうです。
Op.6をやるのであればOp.29も必要だと思います。これらをきっちりやるのは結構しんどいですね。
by Enrique (2016-07-03 20:19) 

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