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音に関する雑感 [科学と技術一般]

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先日「オーバーサンプリングとローパスフィルタレス」という記事を書いた時,よく分からないとのご指摘がありました。少し補足したいと思います。

まず思いつくのが,「音とは何だろう?」ということです。
楽器にしろ,歌にしろやっている方,あるいはそうでない方でも,音は震えているものだというのは実感としてお分かりだと思います。一種の振動だということは知覚出来る思います。


音楽書を見れば,音についての記述があります。当然そこでは人が知覚する音を基本に考えます。
物理で習う音は,様々な波動現象の身近な一つとして取り上げます。もちろん,それは同一の対象ですがアプローチは異なります。国内の音大では余りやらないのかも知れませんが,ドイツの音大ではアクースティーク(音響学)の科目があるそうです。音響学は,物理学を基礎に工学はもちろん,生理学や心理学にまたがります。
一般に音楽やる人は音を分析的に捉える事は余り好きではなさそうです。日々の食べ物がどう消化されてどう体に吸収されていくかなどと考えて食事していたら,食事が不味くなりそうです*。しかし,ある程度分析的,体系的に捉えておく事も無駄ではないと思います。


ポールセンの鋼線式録音機に端を発し,真空管の発明によるエレクトロニクスの発祥に端を発する電気音響もその一分野です。むしろ現代ではこの分野の技術が盛んで,アナログ・テープやアナログ・レコードがデジタル式になり,媒体も変貌して現在に至っているのはご承知の通りです。
ですから現在音を捉える場合,電気的に捉えたものを対象にしていることが多いのです。それは,音という消え去るものを電気信号に置き換えて記録し保存し通信し再生して聞くだけでなく,オシロスコープで波形を見る事であり,スペアナで周波数を分析することです。


また,音を調べるには様々な道具立てがありますが,基礎になった数学や物理学の力が大きいと思います。電気音響の進化と音楽を聞くスタイルの変化には半導体の驚異的な進歩の役割がはずせません。
音は,通常,空気中を伝わる気圧の高い部分と低い部分とが振動的に起こる,いわば粗密波です。波動を扱う物理学の対象です。高校や大学教養の物理でおなじみのものですが,別に音楽をやる人は実地で扱っているわけです。楽器は理想的な実験道具だと思いますから,なんら恐れるに足りないと思います。


電気音響では,音を電気信号に変換します。生音を電気信号に変換するのはマイクロフォンの役目です。このブログの開始初期に少し書いています。現在では生音だけからでなく,音を純粋に電気的に作り出す事はもちろん,音声合成,難しいと言われてきた歌声の生成までも可能になっています。
電気的にサンプリングされた音声は,強度の時系列のデータですし,一方画像は,強度の位置データです。1次元データか2次元データかの違いだけで,殆ど同じ様に扱う事が出来るというのが以前のあの記事の骨子でした。
*オリバー・ヘビサイドの話の焼き直しです。また,武満徹氏が生前,食事中に氏の音楽が流れると,家族から「食事が不味くなる」と言われたとのことでした。
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Ujiki.oO

Enrique さん、おはようございます。 先ずは取り急ぎ、「これを押すと幸せ!」の件ですが、お願いの儀ございます。 別に急ぎませんので、お暇を創ってお願い致します。 コメントに気付かない「わたし」ですので(大笑)、当方の当該記事で結果のコメントをお願い致します。 この数日はスクリプトの改良を行って、わたしのメインブログで実装テストを繰り返す予定です。 最終的なスクリプトは公開する予定です。 これからも宜しくお願い致します。

http://universum.blog.so-net.ne.jp/2015-05-31#comm201506040615
by Ujiki.oO (2015-06-04 08:18) 

Enrique

Ujiki.oOさん,ありがとうございます。
「圓離家の閑話」のほうでも試してみましたが。。。自動的には読まないようです。
by Enrique (2015-06-04 21:54) 

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