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オイラー格子でみる純正律~ピッチ変動について~ [音律]

私なりに理解したオイラー格子を使って,純正律の性質を調べます。
今回は,実際にオイラー格子を使って,純正律の欠点と言われる,ピッチ変動について考察してみます。コード(和声)進行については音楽的には五線譜を使うのがいいのでしょうが,五線譜上でそれをいくら追ってもピッチが変わる理由が分りません(それで分る人は天才です)。五線譜上では音符(音名)と音の高さは一対一に対応しているはずですから。しかし,音の関係を地図のように表したオイラー格子上でたどれば,はっきりします。

なお和音の名称は基本的にCとかAmとかのコードネームで行きます。

ではオイラー格子上で,Cコードを表示します。
B
F#
C#
G#
D#
A#
E#
G
D
A
E
B
F#
C#
E♭
B♭
F
C
G
D
A
C♭
G♭
D♭
A♭
E♭
B♭
F
A♭♭
E♭♭
B♭♭
F♭
C♭
G♭
D♭

CEG,ドミソですね。L字形に表示されることに注意します。ベース音が角になって,右に五度音,上に長三度音が来る事が分ります。

「純正律がダメだ!」と言う理由にあげられるのは,次のコード進行です。

C Am Dm/F G C

上でCコードを示しましたので,次のAmすなわち,ACEを表示します。短和音だと,パターンが逆L字形になっています。
B
F#
C#
G#
D#
A#
E#
G
D
A
E
B
F#
C#
E♭
B♭
F
C
G
D
A
C♭
G♭
D♭
A♭
E♭
B♭
F
A♭♭
E♭♭
B♭♭
F♭
C♭
G♭
D♭

つぎは,Dm/Fです。これはDFAの第一転回形でいわば,FADです。厳密には和声機能が異なるのかもしれませんが,構成音は同じでオイラー格子上ではふつうのDmと同じです。
B
F#
C#
G#
D#
A#
E#
G
D
A
E
B
F#
C#
E♭
B♭
F
C
G
D
A
C♭
G♭
D♭
A♭
E♭
B♭
F
A♭♭
E♭♭
B♭♭
F♭
C♭
G♭
D♭

左の方に移動して来ました。右側にもDAFがあるよ!と気づかれると思いますが,それは使えません。オイラー格子上の音名はいわば「同名異音」ですから,同名であってもコード進行する際には前のコードと同じ構成音がある場合はそれを含まないといけません。当然今の場合はA音はそのままでないといけませんし,無い場合でも隣合わせでないといけません。
次はGコードです。やはりGBDは右側にもありますが,Dは共通音でそのままでないといけませんので,以下の様になります。
B
F#
C#
G#
D#
A#
E#
G
D
A
E
B
F#
C#
E♭
B♭
F
C
G
D
A
C♭
G♭
D♭
A♭
E♭
B♭
F
A♭♭
E♭♭
B♭♭
F♭
C♭
G♭
D♭

次は,主和音Cに戻りますが,やはりGは共通音ですから,欄外の左上のCEGに行ってしまい,真ん中に戻って来ません。
E
B
F#
C#
G#
D#
A#
E#
C
G
D
A
E
B
F#
C#
E♭
B♭
F
C
G
D
A
C♭
G♭
D♭
A♭
E♭
B♭
F
A♭♭
E♭♭
B♭♭
F♭
C♭
G♭
D♭

音の純正関係は保ったままCコードに戻りますが,構成音は全て元の80/81倍,すなわちシントニックコンマ分低くなっています。すなわち約22セント分ピッチ低下したことになります。

このようなコード進行を繰り返すと,和音の純正は保たれても,ピッチはどんどん・どんどん低下してしまいます。だから,純正律はダメという主張があります。

ほんとうにダメなのでしょうか?
次回執拗に繰り返すパターンを考えてみます。(つづく)
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