オイラー格子でみる純正律~オイラー格子入門~ [音律]
私なりに理解したオイラー格子*を使って,純正律の性質を調べてみたいと思います。
まず初回は,オイラー格子そのものの考え方についてです。
純正律は歴史的には沢山あったようですが,オイラーによって整理されたもの考えます。現在の音楽学でもたいがいこのオイラーの考え方が用いられるようです。(たとえば,これやこれなど)。
オイラーが定式化した純正律は,5リミット純正律です。これは,音階音を構成する音の高さを表わす素数を5まで使うという事です。
C音を基準1としますと,例えばG音はC音の3/2ですから,G=2-1・31・50と表わされます。同様に,D音ですと,D=2-3・32・50,以下,
A=20・3-1・51
E=2-2・30・51
などと,2,3,5の素数の乗除で表わされます。
このやり方で,7,11,13,17...と核になる素数を拡張して行くのが現在の純正律の考え方です。歴史的な純正律も当然そこに含みます。7以上に拡張したのはフォッカーという20世紀の物理学者(音響学者でもあった)だそうです。
オイラーの5リミットの表(オイラー格子)は上の様な無味乾燥な数式での表記でなくて規則的に純正音を示すキレイな表になります。
一般向けの本には7以上の素数を使った純正律もあるよ,とまでは書いてあるものも多いのですが,その詳しい説明がありません。詳しい名著?にも無いのも困ったものです。まあそれはいいとしても,広く使われて来た5リミットまでの純正律を網羅するオイラーの簡明な考え方が,全く空論かのごとくに扱われないのはどういうことなんでしょうか?
何かの陰謀なのか?どうか知りませんが,エライ方々がそのようにするメリットもあまり感じられないので,日本のアカデミズムではこのような音楽と科学の境界領域を受け入れないのか?あるいは「音楽は数学じゃない!ハートだぁ?」くらいにしておきましょうか(笑)。まあ広い意味で「商売にならん!」のが最大の理由だと思いますが。商売にならんことをやれるのがアマチュアの特権です。オイラーはすでに18世紀の人ですから,大学どころか,高校の教科書に載っていてもバチはあたらない内容だと思います(次の世代に期待しましょうか)。そこで思い立ったのがこの記事です。
5リミットですと,平面の表で表わされますので,見ようによっては五度圏よりもやさしいのです。
中心が1でした。これは適宜C音などとします。ヨコに3の累乗をとります。左側は1/3などもとるのですね。これらはすべて整数乗として表わされるわけですが,数学アレルギーの人は何乗というのもイヤだと思いますので,掛け算と割り算(分数)にしておきます。
先日書いた図を再記します。最初にこの表は必要ですが,以後音名のみになりますから,ご安心ください。
中央に基準のC=1を置きます。C基準で考えますが,G基準でもF基準でも相対関係は全く同じことになります。
横は3の整数乗で純正五度間隔,縦は5の整数乗で純正長三度間隔です。縦横の見出しの数字の掛け算した数字が表内に表わされます。ただし,2の乗数で掛け算割り算をして,すべての数字(音高)を1オクターブ以内,すなわち1~2の間におさめた数字です。
例を挙げれば,
中央C=1の右隣は3×1=3ですが,オクターブに収めて3/2,これがG音。
さらに,G音の右隣は9×1=9ですが,オクターブに収めて9/8,これがD音。
などで,横は全くピタゴラスですね。
同じように縦は5や1/5の倍数が掛って行きます。
例えば先のG音の上は3×5=15ですが,やはりオクターブに収めて15/8,これがB音。
などとなっています。
全てこのルールで計算した数字になっています。
なお,特定のコード進行を繰り返すと音がこの図からはみ出すこともありますが,だいたいこの位の範囲で音を議論します。じっさいにはこの表は左右上下にずっとつづいていますので心配いりません。
五度圏を書く時と同じルールで音名を書くと,以下の様になります。
ダブった音名がいくつも出てきました。これらの音名は,場所が違うと,シントニックコンマ分音程が違うことになります。例えば,Cの二つ左一段上の10/9の整数比で表わされるD音とCの二つ右9/8の整数比で表わされるD音やその右隣の各A音5/3と27/16などその他のことです。それらの比をとるといずれも81/80になっていますね。
このように,同じ音名でも高さが違うセットの音,いわば「同名異音**」を持っているのが純正律の特徴です。音の進行はこの図の中でたどれますが,コード進行での音のグループはこの図の中でくっつくか隣合わせで行かないといけません。
なお,この表の中には,ピタゴラスやキルンベルガーI,歴史的な多くの純正律,も含みます。
なお,これ以降は,さし当たって数字は使わないので以下の様な音名のみの表にします。音楽学者の論文でもそのようにしています。
このオイラー格子のC=1の左右の列だけを使ったのがピタゴラス律です(この表の範囲では右にはみ出ますが)。水色で表しました。これは3リミット純正律で5の要素がない3が公比(適宜オクターブ補正)の1次元の等比数列ですね。
純正系と言われるキルンベルガーIもちゃんとこのオイラー格子にハマります。大枠はピタゴラスを五度圏で回したものですが,オイラー格子上ではF, C, G, Dの上側にA, E, B, F#の純正音を出しています。A♭,D♭はこの表からは左にはみ出ますが,ピタゴラス律同様ちゃんとこの表におさまります。この音律はシンプルですが見事に音階音を純正律に収めています。
この表は5リミット以下の純正律をすべて含みます。純正律として含まないのは7リミット以上に拡張された純正律のみです。オイラー格子を立体以上に拡張したのがオイラー・フォッカー律というようです。だから,歴史的には色々あったでしょうが,純正律の系譜は理論的にはピタゴラス→オイラー→オイラー・フォッカーでおしまいなのです(5リミット純正律の始祖はプトレマイオスとの説もあるようですが)。
ミーントーンはどうかと言うと,おおざっぱな考え方としてはオイラー格子のC=1の上下のみで音階を作ることになります。通常のもの(1/4シントニックコンマ)は長三度を優先して5度を縮めていますので,平均律の一種とも言え(1/12ピタゴラスコンマで5度を縮めてオクターブ優先の通常の12平均律とは異なりますが),オイラー格子にピッタリははまらないので,純正律とは言えませんが,5リミット優先不完全純正律とでもいえるでしょうか。
このように,オイラー格子というのは,純正律の挙動(というか楽曲一般の音の動き)をしらべる地図もしくはコンパスのようなものだと言えます。
なお,五度圏との関係は,鍵盤向け音律を説明する際に述べます。
この表(オイラー格子)を使って純正律の性質を次回以降順次みて行きます(つづく)。
*「オイラー表」としていましたが,「オイラー格子: Euler lattice」と言うのが正しいようです。オイラーの業績は多すぎてオイラーの名のつくものが沢山ありますので,正確な名称としました。
**本来は異名異音ですが,通常の#♭の表記では表されないということです。ヘルムホルツらの表記もあるようですが,そう言う見慣れないのを使うと,いわゆる「現代音楽」とみなされて,クラシック愛好家から拒否されるので使いません。+−を使う手もあり,以前そのようにも書きましたがメンドウなので止めました。
まず初回は,オイラー格子そのものの考え方についてです。
純正律は歴史的には沢山あったようですが,オイラーによって整理されたもの考えます。現在の音楽学でもたいがいこのオイラーの考え方が用いられるようです。(たとえば,これやこれなど)。
オイラーが定式化した純正律は,5リミット純正律です。これは,音階音を構成する音の高さを表わす素数を5まで使うという事です。
C音を基準1としますと,例えばG音はC音の3/2ですから,G=2-1・31・50と表わされます。同様に,D音ですと,D=2-3・32・50,以下,
A=20・3-1・51
E=2-2・30・51
などと,2,3,5の素数の乗除で表わされます。
このやり方で,7,11,13,17...と核になる素数を拡張して行くのが現在の純正律の考え方です。歴史的な純正律も当然そこに含みます。7以上に拡張したのはフォッカーという20世紀の物理学者(音響学者でもあった)だそうです。
オイラーの5リミットの表(オイラー格子)は上の様な無味乾燥な数式での表記でなくて規則的に純正音を示すキレイな表になります。
一般向けの本には7以上の素数を使った純正律もあるよ,とまでは書いてあるものも多いのですが,その詳しい説明がありません。詳しい名著?にも無いのも困ったものです。まあそれはいいとしても,広く使われて来た5リミットまでの純正律を網羅するオイラーの簡明な考え方が,全く空論かのごとくに扱われないのはどういうことなんでしょうか?
何かの陰謀なのか?どうか知りませんが,エライ方々がそのようにするメリットもあまり感じられないので,日本のアカデミズムではこのような音楽と科学の境界領域を受け入れないのか?あるいは「音楽は数学じゃない!ハートだぁ?」くらいにしておきましょうか(笑)。まあ広い意味で「商売にならん!」のが最大の理由だと思いますが。商売にならんことをやれるのがアマチュアの特権です。オイラーはすでに18世紀の人ですから,大学どころか,高校の教科書に載っていてもバチはあたらない内容だと思います(次の世代に期待しましょうか)。そこで思い立ったのがこの記事です。
5リミットですと,平面の表で表わされますので,見ようによっては五度圏よりもやさしいのです。
中心が1でした。これは適宜C音などとします。ヨコに3の累乗をとります。左側は1/3などもとるのですね。これらはすべて整数乗として表わされるわけですが,数学アレルギーの人は何乗というのもイヤだと思いますので,掛け算と割り算(分数)にしておきます。
先日書いた図を再記します。最初にこの表は必要ですが,以後音名のみになりますから,ご安心ください。
5j \ 3i |
1/27 |
1/9 |
1/3 |
1 |
3 |
9 |
27 |
25 |
50/27 |
25/18 |
25/24 |
25/16 |
75/64 |
225/128 |
675/512 |
5 |
40/27 |
10/9 |
5/3 |
5/4 |
15/8 |
45/32 |
135//128 |
1 |
32/27 |
16/9 |
4/3 |
1 |
3/2 |
9/8 |
27/16 |
1/5 |
256/135 |
64/45 |
16/15 |
8/5 |
6/5 |
9/5 |
27/20 |
1/25 |
1024/675 |
256/225 |
128/75 |
32/25 |
48/25 |
36/25 |
27/25 |
中央に基準のC=1を置きます。C基準で考えますが,G基準でもF基準でも相対関係は全く同じことになります。
横は3の整数乗で純正五度間隔,縦は5の整数乗で純正長三度間隔です。縦横の見出しの数字の掛け算した数字が表内に表わされます。ただし,2の乗数で掛け算割り算をして,すべての数字(音高)を1オクターブ以内,すなわち1~2の間におさめた数字です。
例を挙げれば,
中央C=1の右隣は3×1=3ですが,オクターブに収めて3/2,これがG音。
さらに,G音の右隣は9×1=9ですが,オクターブに収めて9/8,これがD音。
などで,横は全くピタゴラスですね。
同じように縦は5や1/5の倍数が掛って行きます。
例えば先のG音の上は3×5=15ですが,やはりオクターブに収めて15/8,これがB音。
などとなっています。
全てこのルールで計算した数字になっています。
なお,特定のコード進行を繰り返すと音がこの図からはみ出すこともありますが,だいたいこの位の範囲で音を議論します。じっさいにはこの表は左右上下にずっとつづいていますので心配いりません。
五度圏を書く時と同じルールで音名を書くと,以下の様になります。
5j \ 3i |
1/27 |
1/9 |
1/3 |
1 |
3 |
9 |
27 |
25 |
B |
F# |
C# |
G# |
D# |
A# |
E# |
5 |
G |
D |
A |
E |
B |
F# |
C# |
1 |
E♭ |
B♭ |
F |
C |
G |
D |
A |
1/5 |
C♭ |
G♭ |
D♭ |
A♭ |
E♭ |
B♭ |
F |
1/25 |
A♭♭ |
E♭♭ |
B♭♭ |
F♭ |
C♭ |
G♭ |
D♭ |
ダブった音名がいくつも出てきました。これらの音名は,場所が違うと,シントニックコンマ分音程が違うことになります。例えば,Cの二つ左一段上の10/9の整数比で表わされるD音とCの二つ右9/8の整数比で表わされるD音やその右隣の各A音5/3と27/16などその他のことです。それらの比をとるといずれも81/80になっていますね。
このように,同じ音名でも高さが違うセットの音,いわば「同名異音**」を持っているのが純正律の特徴です。音の進行はこの図の中でたどれますが,コード進行での音のグループはこの図の中でくっつくか隣合わせで行かないといけません。
なお,この表の中には,ピタゴラスやキルンベルガーI,歴史的な多くの純正律,も含みます。
なお,これ以降は,さし当たって数字は使わないので以下の様な音名のみの表にします。音楽学者の論文でもそのようにしています。
B |
F# |
C# |
G# |
D# |
A# |
E# |
|
G |
D |
A |
E |
B |
F# |
C# |
|
E♭ |
B♭ |
F |
C |
G |
D |
A |
|
C♭ |
G♭ |
D♭ |
A♭ |
E♭ |
B♭ |
F |
|
A♭♭ |
E♭♭ |
B♭♭ |
F♭ |
C♭ |
G♭ |
D♭ |
このオイラー格子のC=1の左右の列だけを使ったのがピタゴラス律です(この表の範囲では右にはみ出ますが)。水色で表しました。これは3リミット純正律で5の要素がない3が公比(適宜オクターブ補正)の1次元の等比数列ですね。
B |
F# |
C# |
G# |
D# |
A# |
E# |
||
G |
D |
A |
E |
B |
F# |
C# |
||
D♭,A♭ |
E♭ |
B♭ |
F |
C |
G |
D |
A |
E,B,F# |
C♭ |
G♭ |
D♭ |
A♭ |
E♭ |
B♭ |
F |
||
A♭♭ |
E♭♭ |
B♭♭ |
F♭ |
C♭ |
G♭ |
D♭ |
純正系と言われるキルンベルガーIもちゃんとこのオイラー格子にハマります。大枠はピタゴラスを五度圏で回したものですが,オイラー格子上ではF, C, G, Dの上側にA, E, B, F#の純正音を出しています。A♭,D♭はこの表からは左にはみ出ますが,ピタゴラス律同様ちゃんとこの表におさまります。この音律はシンプルですが見事に音階音を純正律に収めています。
B |
F# |
C# |
G# |
D# |
A# |
E# |
|
G |
D |
A |
E |
B |
F# |
C# |
|
D♭,A♭ |
E♭ |
B♭ |
F |
C |
G |
D |
A |
C♭ |
G♭ |
D♭ |
A♭ |
E♭ |
B♭ |
F |
|
A♭♭ |
E♭♭ |
B♭♭ |
F♭ |
C♭ |
G♭ |
D♭ |
この表は5リミット以下の純正律をすべて含みます。純正律として含まないのは7リミット以上に拡張された純正律のみです。オイラー格子を立体以上に拡張したのがオイラー・フォッカー律というようです。だから,歴史的には色々あったでしょうが,純正律の系譜は理論的にはピタゴラス→オイラー→オイラー・フォッカーでおしまいなのです(5リミット純正律の始祖はプトレマイオスとの説もあるようですが)。
ミーントーンはどうかと言うと,おおざっぱな考え方としてはオイラー格子のC=1の上下のみで音階を作ることになります。通常のもの(1/4シントニックコンマ)は長三度を優先して5度を縮めていますので,平均律の一種とも言え(1/12ピタゴラスコンマで5度を縮めてオクターブ優先の通常の12平均律とは異なりますが),オイラー格子にピッタリははまらないので,純正律とは言えませんが,5リミット優先不完全純正律とでもいえるでしょうか。
このように,オイラー格子というのは,純正律の挙動(というか楽曲一般の音の動き)をしらべる地図もしくはコンパスのようなものだと言えます。
なお,五度圏との関係は,鍵盤向け音律を説明する際に述べます。
この表(オイラー格子)を使って純正律の性質を次回以降順次みて行きます(つづく)。
*「オイラー表」としていましたが,「オイラー格子: Euler lattice」と言うのが正しいようです。オイラーの業績は多すぎてオイラーの名のつくものが沢山ありますので,正確な名称としました。
**本来は異名異音ですが,通常の#♭の表記では表されないということです。ヘルムホルツらの表記もあるようですが,そう言う見慣れないのを使うと,いわゆる「現代音楽」とみなされて,クラシック愛好家から拒否されるので使いません。+−を使う手もあり,以前そのようにも書きましたがメンドウなので止めました。
勉強させていただいてます・・・
手元にルー・ハリソンの鍵盤楽器音楽のCDがあって、全て平均律でない音律を(作曲者の指定により)使ってるのですが、その中に「7リミット純正律」が入っています。
(他はキルンベルガー第二法やヴェルクマイスターなど、ウェル・テンペラメント系)
各音律には五度圏図を始めとして、何種類もの図や譜表が付いてるのですが、この純正律にだけ「lattice」なるものが ──── その意味が今わかりました!(爆)
純正律だからなんですね!
今このオイラー格子と照らし合わせたら、ちゃんとC#・A・E・B・F#・C・G・D・A♭・E♭の位置が一致しました♪
(正方形と正三角形、二種のlatticeが載ってましたが)
で、B♭とFは、それらから垂直に立ち上がって見えるように、斜め線の上に描かれています。
つまりこの二音が(平面の)オイラー格子には出てこない、7リミットの拡張部分ということですね。
(そーか、そーだったのか・・・)
B♭-GとF-Dが、「septimal minor third」(7:6)だそうです。
これは一応「近似」の音名を使ったのでしょうかね。
曲を聴くと、平均律と違う・・・というより、「普通の音階ではない」ことが誰にでも分かる不思議な響きで、一つ間違えば「音痴ピアノ」なんですが、この音律のために書かれた曲だけあって、とても面白く聴けます。
(このCDでダントツに好きな曲です・・・こういう作曲って、すごく面白そうですね)
「タック(tack)ピアノ」という特殊なピアノを使ってるのも、7リミット以上の純正律には、それなりの高調波を豊富に含む楽器が必要らしいので、そのための措置でしょうか。
色々と深いものがありますね・・・(^ ^;)
by REIKO (2012-07-06 01:00)
REIKOさん,コメントありがとうございます。
えーっと,7リミットだと上下に1/7や7倍系列が発生して立体になるわけですが,そうすると図が描けないので,正方格子でなくて,三角格子で書くのですね。それから人によっても色んな表示があるようなので,気をつけないといけませんが。
ただ,私が説明しようとしているのは,そう言ういわば拡張された純正律でなくて,あくまでも5リミットで古典的な純正律を説明しようとしています。古典的な純正律にも7倍音を含むものがある可能性十分(ナチュラル管の話)ですが,そこは現代人にはなかなか分りませんし,そこを突っ込むよりも,先ずは足元をと考えています。
ものの本でも,純正律で「リミット」とか言い出すと,直ぐに拡張されたものの方に行ってしまい,特殊な音律の扱いです。確かに従来音律ですと,「五度圏」というオールマイティなものがありますので,あえて正方格子を描かなくても良い訳ですが,こちらの方が音のつながりが良くわかります。特にピッチ変動に関してや鍵盤等で使う際のオクターブ12音の取り出し方が見えて来ます。
私が「醜く切り取られた純正律」と勝手に呼んでいるのは,オクターブ12音に取り出したもの全て(「王道」を含む)を言っているのですがナカナカですね。あまり勝手な名称つけると「思い込みの衝突」になりますから良くないですね。あっこれも勝手なネーミングですが。
切り取られた純正律でも,オイラー格子上で見てその切り取られた範囲をはみ出さずに使えば十分美しい(こういう言い方をすると理論万能と見られるのかもしれませんが,皆さん何らかの尺度を持っているわけです)ですが,そこからはみ出してしまうと(笑)。ムヤミに試すよりも,便利な図表があるのだから,そこで十分検討してからでも遅くないと思っています。有限の時間でやってますので。理論の効用ってそんなものだと思っています。
アマチュアの趣味ですから,楽しくやれれば良いのですが!
by Enrique (2012-07-06 06:05)
先走って「拡張」していまい、すみません。(苦笑)
>立体になるわけですが,そうすると図が描けないので,正方格子でなくて,三角格子で書くのですね
あ、いえ正方格子と正三角形の「二種」描いてあるのです。
(7リミット音の立体を表す部分を除くと)前者は、立方体の展開図から幾つかの辺を消したような図形になってます。
例えば「C#から真下へA」の箇所は「垂直線だけ」、E・B・C・Gは正方形の四頂点とか。
正三角形の方は、正八面体の展開図みたいで、E・C・Gで正三角形、この隣でE・B・Gが逆正三角形・・・などなど。
つまり次の記事で扱われてるような、正方格子ではL字型になるCEGなどの和音が、正三角形タイプでは正三角形の頂点になるということのようです。
三角形の方がモダンでオシャレ(笑)に見えますが、描くのが難しいですね。
(一体この図はどう見るのだろう?とずっと不思議だったので、この記事で一気に解決しました。ありがとうございました)
by REIKO (2012-07-06 23:44)
REIKOさん,再コメントありがとうございます。
私もふしぎなのを見た事ありましたが,興味ないとマジメに見てないので(笑)。
どうもそのお話だと,その図の三角のほうが私の描いているの図と対応する様ですね。三角だと長和音と短和音が正三角形と逆正三角形になってキレイ,長三度と短三度を対称に見るということなんでしょうね。同じことですがカメノコで描いてるのもありますね。
四角のほうは実際の図を良く確認しないと何とも言えないですね。
by Enrique (2012-07-07 07:35)