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人の好み [雑感]

好みというものは,先天的なものなのか後天的なものか知りません。

仮に後天的といっても,殆ど意識のないごく小さい時の経験が元になっていたりすると,先天的なものとの区別が分かりません。これを学術的に調べるには,昔から一卵性双生児が格好の試験対象になるようです。

どこぞの大学は一卵性双生児が受かり易いなんていう噂があったりして,その理由は,研究対象に好適だから。というものでしたが,真偽の程は知りません。


年齢による嗜好の変化は確かにあります。だとすると後天的なものも大きい?とも思えますが,もし違う環境の一卵性双生児が年齢によっても同じ様な嗜好の変化をたどるとすれば,アタマがこんがらがってきて,人の好みは先天的なのか後天的なのかよく分からなくなって来ます。

私自身の好みをさらせば,海より山,犬よりも猫,朝型より夜型,肉よりも魚,などでしょうか。

音楽家ではジュリアーニよりもソル,ショパンよりもシューマン,アルベニスよりもグラナドス,ドビュッシーよりもラヴェル,などが言えるでしょうか。


へそ曲がりなので,ヨイヨイと言われると,うーん,それほどでもー,他にもっと良いのがーと言いたくなるところがあるのでしょうね。以前も書きましたが,例えばアルベニスのアストリアスという曲,ギターオリジナル曲の様な超人気曲です。私も弾きましたが,何となくカッコいい曲だなーとは思いますが,正直あまり好んで弾きたくはありません。

ヴィラ=ロボスの前奏曲第一番,名曲だと思いますし,妻などは,「ステキな曲だから弾きやすいのなら弾いてみたいワ」と言いますが,私には何かやぼったーい感じがしました。そう言えば子供のころ,なぜかバルトークという作曲家がどの曲でもたまらなくキライでした。キライな理由の表現は難しいですが,何かわらべ歌を下品にしたような感じがしたからです。オトナになってからはむしろ好きな部類です。


世間でヨイヨイと言われるにはそれなりの理由があります。長年の風雪に耐えて来たものにはそれなりの力があるはずです。それから,年齢による好みの変化もあります。歳と共に良くなって来た曲にバッハのシャコンヌがあります。バッハには素晴らしい曲が沢山あるのに,ヴァイオリン1本の何かやたら深刻そうな曲調のシャコンヌを別格扱いすることに違和感を感じていたのでした。曲自体も余り好きではありませんでした。プレリュードの流麗さやブーレやガヴォットなどの軽い舞曲の方が好きでした。しかし,年齢と共に割と素直になるほど良い曲だと思える様になって来ました。

その他の体質や嗜好もすこしづつ変わって来ているようです。夜型もだんだん朝型に,「肉よりも魚」というは年齢上がってからの事で,子供の頃はサカナ嫌いでした。それからテンポルバートした演奏も,次の音が永久に出てこないような錯覚に陥ってたまらなくキライでしたが,今はそれほどでもありません。むしろ自分の演奏にも適切に入れる模索をしています。
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glennmie

自分は究極のワンパターンなので、子供の頃から好きなものに変化はありません。
唯一変わったのは、カキ(貝)が好きになったことでしょうか^^

シャコンヌ・・・いいですね。とても素敵。
でも、ブゾーニ編曲のピアノ・バージョンが大嫌いなんです。
(ブラームス編曲のものはとても好きです。)
これも子供の頃から変わっていません。
by glennmie (2012-03-20 01:16) 

Enrique

glennmieさん,nice&コメント有り難うございます。
好みはいかんともしがたいもの。リクツではないですね。物事の決断でも究極のところ好みが働いているらしいです。
カキは大人になっても嫌いな人はいますね。私も子供の頃はそう積極的に食べたいとは思いませんでしたが,今は好物の部類ですね。
シャコンヌのブゾーニ編はハデハデでところどころ別の曲になっている様なキライはあります。ブラームス編はヴァイオリン譜そのまま片手で弾くという感じでしょうか。レオン・フライシャーさんの演奏をTVで聞いて,音の数ではないということを実感しました。
ギターではセゴビア編が有名で,ブゾーニ編ほどではないですが,結構音を足しています。ヴァイオリン譜程度のもので弾いていましたが,師からすすめられて,セゴビア編を見ていますが,まあ楽器の特性に合わせているのだろうなとは思います。
by Enrique (2012-03-20 08:53) 

REIKO

あのバッハのシャコンヌは、曲が・・・というより(特に昔、モダンヴァイオリンで弾くのが普通だった頃の)「演奏」が深刻すぎたんですね。
みんなバッハと聞くと、かしこまって聴く&演奏せねばならない、と信じてた頃です。
私もすごくキライでした。暗くてウダウダと、しかも時間が長い!(苦笑)
そして、そのような曲の解釈はどこか変なのでは?と、古楽演奏を聴くようになってからずっと感じていました。
バッハの無伴奏ヴァイオリン~には「パルティータ」と「ソナタ」がそれぞれ三曲ずつありますが、前者は舞曲を並べた組曲なので、もっと世俗的な軽さ&気楽さがあっていいはずです。
・・・で、バロックヴァイオリンのレイチェル・ポジャーの演奏が、自分のイメージとぴったりだったので、以降彼女の演奏しか聴いていません。
笑顔で踊っているようなシャコンヌで、朝食にトーストかじりながら普通に聴けます。(笑)
もちろん彼女の演奏をボロクソに言う人もいますが・・・これが「人の好み」ってものなのでしょう。
ヴァイオリンと比べると、特に撥弦楽器系の編曲モノは、音が自然に減衰するので、押し付けがましくなくていいですね。
リュートやバロックハープのは愛聴しています。(夜、静かに聴く)
チェンバロは少しうるさいですかね・・・マリンバも持ってます♪
でもシャコンヌは長調のものが好きですね。
「短調より長調」ってことでしょうか・・・。
by REIKO (2012-03-20 20:31) 

Cecilia

私もバッハのシャコンヌはイマイチでした。通の人を意識すると「シャコンヌが好き」と言わなければならないような気がするのも嫌でした。
REIKOさんがおっしゃる演奏が深刻すぎたのが原因だと思います。
自分で「これは!」と思えるシャコンヌ演奏を探してみようかな~?
by Cecilia (2012-03-21 08:59) 

Enrique

REIKOさん,コメントありがとうございます。
そうですね,私も巨匠が弾いたヴァイオリンの演奏がアタマにあってそれがニガテの原因だったのかもしれません。最近余り聞いていませんでしたが,割と転機になったのは,ルドルフ・ゲーラーのバッハ弓?による自然な演奏でした。ポジャーも聞いてみます。
ピアノのブゾーニ編の楽譜冒頭に書かれているイメージを押し付けた感じのコメント(今手元にないので正確に書けませんが)は当時のこの曲に対する捉え方を端的に表しているように思えます。
ギターでの演奏も悪くないと思います。しかし,かつてはやはりモダン・ヴァイオリンの演奏をお手本にしたものも多かったように思います。
もともとは新大陸起源の軽い舞曲だったのが,いつの間にか別物に神格化されてしまった。。。というのが真相でしょうか。
by Enrique (2012-03-21 13:25) 

Enrique

Ceciliaさん,nice&コメント有り難うございます。
そうですね,本来のシャコンヌはもっと明るく軽いのでしょうね。私は年齢のせいで良さが分かって来たような気がしていますが,世の中の演奏が良くなって来たせいもあるのかもしれません。普通クラシックの演奏って楽譜に忠実に演奏するものだと思っていたのですが,昔のあのシャコンヌの演奏はなぜか深刻に泣き叫ぶ様に演奏され,それが,やれ「人生を表している」とか言われると,「何やら大儀な人生やなー」と逃げモードに入っていたのですね。
古い外套を脱ぎ捨てたシャコンヌを聞いて(演奏して)みたいものです。
by Enrique (2012-03-21 13:47) 

アヨアン・イゴカー

シャコンヌ、バイオリン譜をそのままピアノで弾くのは楽しいです。
ガボットも大好きですが、シャコンヌを特に深刻な気持ちで聴いたことはありません。
尚、私は、バッハはフーガが好きです。『音楽の捧げ物』大好きです。
by アヨアン・イゴカー (2012-03-24 19:42) 

Enrique

アヨアン・イゴカーさん,nice&コメント有り難うございます。
昔,NHK-FMの「現代の音楽」のテーマ音楽が「音楽の捧げ物」の三声のリチェルカーレをトランペットでやったものだったと思います。楽器の音色とか奏法とかは勿論,時代すら超越した音の創造物だと思います。どんな楽器でやってもバッハはバッハなのがすごいところです。
by Enrique (2012-03-25 07:07) 

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