SSブログ

少年の日の想い出〜男の子の音楽〜 [雑感]

中年の私の年代以上の男の子の子供時代,都会のおぼっちゃまなら別でしょうが,田舎の子供で音楽をやっていた子は少なかったと思います。ピアノ習う女の子もそう多くありませんでした。

ピアノが一般家庭に入って来たのは高度経済成長の恩恵でした。私の子供時代は高度成長期に重なりますが,その前は良くてオルガン。それも電気式リードの前は足踏みでした。小耳に挟んだ以下の話,戦前にもかかる,かなりいい加減な時代背景です。


後に教師になったある少年は,小学生のころ音楽に興味を覚え,オルガンをちょこちょこ弾き出しました。それを見た級友,「やーい,女みたいな野郎だ!」とはやし立てたものでした。
のぞき小.png
何しろ,楽器は足踏み式で,そちらにも気をとられますから,簡単な伴奏とはいえ両手使いはけっこう練習しないと弾けません。悪い級友も本当は興味があったのかも知れませんが,「男は男らしく」しないといけませんから,その価値観で批判をしたのでしょう。自宅にオルガン(や蓄音機!)がある家も少なかったので,やっかみもあったのかもしれません。

一生懸命練習していると,少しづつ弾けるようになって,ますます練習に身が入ります。しかし,それに比例するかの様に級友の嫌がらせはヒドくなります。

ある日,件の少年が自宅で練習していますと,塀の穴からまた例のやつがこちらを見て,あーだこーだバカにしております。これは何か手を打たないと,嫌がらせはますますエスカレートするばかりです。その時,ちょうど所用を思い出した少年は,庭に出て行き,塀の穴にサイドからすり寄り,それに向かってある所作をしたのでした。

しばらくして,

「わーい,何かしょっぱいものが掛かった!」とバカにした少年は叫んで,逃げて行きました。

大きくなってからも少し似た様なことがありましたが,そちらはご想像にお任せすることにします。


nice!(5)  コメント(6) 
共通テーマ:音楽

nice! 5

コメント 6

アヨアン・イゴカー

私の家にはピアノもバイオリンも、楽器は何もありませんでした。あるのは祖父のうちのものを移動して来て置いてあった、まともな音の出ないオルガン(虫食っていて、音が出ない箇所の方が多かったような気がします)、小学校で音楽の時間に使うリコーダーだけでした。そのため、ピアノのある家、ピアノを弾ける女の子に対しては、口惜しさの入った劣等感を抱いていたかもしれません。確かに、女々しいという考え方があったと思います。
楽器全般に大いに興味を抱いた中学校以降、石油缶を叩いてティンパニの音、掃除機のホースに口を当てて吹いてトロンボーンなどの金管楽器の音の心算になったり、箒を使ってバイオリンを弾く真似をしたりしていました。
by アヨアン・イゴカー (2012-03-03 19:54) 

Enrique

アヨアン・イゴカー さん,nice&コメントありがとうございます。
少年時代ある教師から授業中聞いた話を書きました。そのくらいの時代背景です。音楽で身を立てる事が困難という点で,男子一生の仕事とはみなされなかったのでしょうね。今でもそう本質的には変わっていないと思いますが,仕事でなくても娯楽や教養として楽しめる様になったのは豊かさのせいでしょう。
私もいろんな所作で魅力的な音が出る様々な楽器には子供ごころくすぐられるものがありました。上手な子がいると憧れともやっかみともつかぬ感情があったものです。現在一つの楽器に取り組んでいても,特にその楽器に無いものを持っている楽器には憧れます。
by Enrique (2012-03-04 08:08) 

REIKO

私が小学校の時は、どの教室にも足踏み式オルガンが一台置いてありましたね。
休み時間に友達と遊び弾きしていました。
当時はそんなこと考えませんでしたが、電気がなくても音が出る、なかなか便利な楽器と思います。
3~5歳の時には、家に楽器が何もないのに、ピアノを習って(習わせられて?)いました。
当然ですが、何をやっているのか全く分からないまま、何も弾けずに終わりました。(笑)
6歳近くになって、やっと電気オルガンが家に来ました。
近所でピアノを習っている女の子も、家ではほとんどオルガンでしたね。
それが小学校高学年の頃に、順次ピアノに代わっていった時代でした。
確かに男の子で習っている子は少数でした。
なのにどうして「ピアニストは男がほとんどなのか」と親に質問した記憶があります。
まだ女性ピアニストが「女流」などと言われて、一段下に見られてた時代です。
・・・世の中変わりました・・・!
by REIKO (2012-03-07 21:41) 

Enrique

REIKOさん,コメントありがとうございます。
そうですね,オルガンからピアノへの移行期でしたね。
エレクトーンが流行った時期もありましたね。
音楽は女性というのは,かつては暗に(あるいはあからさまに)「音楽=芸事=男子一生の仕事でない」という価値観が厳然としてあって,これに夢中になっている男子が揶揄されたという,現象でした。差別を受けた少年は男らしい方法で報復した訳ですが。
音楽は女子で,男子はスポーツや武道といった感じに私も抵抗を感じていましたね。音楽室の壁にいる大作曲家たちは女みたいな髪型はしていますが殆ど男(滝廉太郎は男らしいいで立ちではありましたが)。
全然別な話ですが,俳諧では女性というだけで高く評価されたのだそうですね。
by Enrique (2012-03-09 10:51) 

Cecilia

実家では私が小1の時にピアノを購入し、それまではオルガンでした。記憶では足踏みはなかったような?(膝で押さえる部品があった)
Enriqueさんの記事を拝見して真っ先に思い出すのは「二十四の瞳」で男先生が女先生の代わりにオルガンを弾こうと猛特訓する場面。さぞかし大変だったことでしょう。(年齢的にも)
実はあの場面で練習している「千曳(引?)の岩」という曲のメロディーが気になっているのです。
by Cecilia (2012-03-15 08:46) 

Enrique

Ceciliaさん,nice&コメントありがとうございます。
私の実家でもピアノの前は電気オルガンでした。膝のところにあった,金属のフレーム状の部品は音量調整でしたね。確か,膝で右に押せば音量が大きくなったと思います。
小学校の先生になるには,鍵盤が弾けないといけませんね。バイエル80番程度でしょうか?でも,あれが弾けるからって,歌の伴奏とかが直ぐできるものではないですよね。武田鉄矢さんは両手で弾けなくて,本当の先生は断念したと言うことでしたか。伴奏ならギターの方がよほど楽ですが,学校音楽は鍵盤と昔から決まってますね。
>「千曳(引?)の岩」という曲
これは知らないので,映画見る機会あったらきいてみます。
by Enrique (2012-03-15 19:49) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。