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音楽の学校 [音楽理論]

NHK教育TVでscholaという,音楽番組が始まった。土曜23時45分からで,6月までの放送予定のようだ。 

4月3日の初回は,Bach。
「バッハはなぜ”音楽の父”なのか」。
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Bachと板書した開始場面(同番組より撮影)

スコラとは,ラテン語で学校の意味。中高生をスタジオに集め楽器を持たせた上での講義演習形式と,坂本龍一講師とゲストとの対談が織り交ぜられる。第1回のゲストは,浅田彰氏と小沼純一氏,岡田暁生氏。かつての若手哲学者浅田氏は音楽にも造詣があるそうだが,むしろ芸術史全般からの意見を述べていたようだ。小沼氏はバッハに詳しい音楽理論家。「音楽の聴き方」の岡田氏は音楽鑑賞係のような役割。

坂本氏の授業のコンセプトは,講義と鑑賞,自ら実演,さらには生徒に自分たちの楽器で体感させることのようだ。

鑑賞では,グレゴリオ聖歌,インドネシアのガムラン,バッハ,ビートルズと続き,生徒に感想を語らせた。
ものすごくかいつまんだ音楽史だが,生徒からバッハとビートルズが聞きやすいという意見を引き出す。
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鑑賞場面(同番組より撮影)。

そこで,バッハだ。20世紀を代表するとするビートルズの音楽といえ,バッハが到達した音楽が基礎になっていると。キーワードは平均律とハ長調,イ短調といった調性によるスケールとコード。これらのおかげで,どんな楽器同士でも合奏が可能と。

第1回の主な教材は,平均律第1巻・第1番プレリュード。
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バッハの平均律曲集の紹介。全調性を使って2巻もあると。全音の楽譜を持っているところは,ご愛嬌?
うしろで腕を組むのは岡田氏(同番組より撮影)。

このハ長調のコード進行で,三線やバイオリンやフルート,エレキギター,キーボード,様々な楽器を持った生徒たちにアドリブ合奏させ,調に合う音を体感させる。
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ハ長調プレリュードのコードを何とは言わず説明(同番組より撮影)

ドイツのライプチヒという地方都市にいたことが,却ってヴェネチアのヴィヴァルディやロンドンのヘンデルと違い,腰を落ち着けてそれまでの音楽を集大成出来たという意味のことなどが述べられた。しかし,バッハが対位法など古い手法にこだわったことと,機能和声を完成させて現代の音楽の基礎になっているという今回の授業の主題とが必ずしも論理的に整合しない。なぜ,「バッハは音楽の父」かというよりも,それを前提に意見を言った感じだ。

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坂本,小沼,浅田三氏のバッハに関する対談(同番組より撮影)。

しかし30分番組で,番組編集の制約もあろう。多少の論理の飛躍にこだわらなければ,新趣向の音楽番組で,次回以降が楽しみだ。

最後は坂本氏がゴールドベルクの第25変奏を弾いた。チェンバロを弾くのは初めてとのこと。バッハの第1回を締めくくるのに良い選曲だった。

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ゴールドベルクの第25変奏を弾く坂本氏(同番組より撮影)

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Cecilia

こんな番組があるなんて知りませんでした。
坂本龍一のチェンバロ、どんな感じでしょうか。
次回は見たいです。
by Cecilia (2010-04-04 23:16) 

nyankome

これは番組表でチェックしていたにも拘わらず、見逃してしまいました。(^_^;)
再放送があるようなので見逃さないようにします。
坂本龍一氏はBachがお好きなようで、CDブックも出していますね。
by nyankome (2010-04-04 23:17) 

Enrique

Ceciliaさん,nice!&コメントありがとうございます。
この4月からの新番組のようです。最近デジタルTVを買ったもので,音楽番組に少し敏感になっています。nyankomeさんがコメントされてますが,再放送がBS2と教育で2回あるようなので,この第1回も見られると思います。
坂本氏のチェンバロは多分ピアノ的な弾き方なので,私は割と聞きやすかったですが,妻は何ていうか分りません。
by Enrique (2010-04-04 23:58) 

Enrique

nyankomeさん,nice!&コメントありがとうございます。
ご指摘どおり再放送が2回あるようなので,余裕で見られると思います。
坂本さんと関係の深い現代作曲家の高橋悠治さんもBachには造詣が深いようです。Bachは新しい音楽をやる人たちにもイメージの源泉があるようです。
この番組は坂本氏のCDブックの製作過程の一部らしいです。
by Enrique (2010-04-05 00:08) 

やーさん

アメリカではケーブルテレビのチャンネルが70ぐらいあるのに、NHK教育に相当するようなチャンネルはないようです。こんな番組が日本で見られるのはうらやましい。

こちらの日本語衛星放送の4月のプログラムを調べましたが、この番組はやらないようです。何ヶ月か遅れてやる可能性もありますが、期待はできないでしょう。しかし、Enriqueさんが、非常に上手くまとめてくださるので、それを楽しみにしています。

ところで、今回のブログに載せられているイメージは、テレビ画面からカメラで撮ったものですか、あるいはデジタルテレビを使うともっと簡単な方法で静止画像が取れるのですか(私は未だデジタルテレビをもっていません)。


by やーさん (2010-04-05 10:27) 

Enrique

やーさん,コメントありがとうございます。

チャンネル数の増加やハードウェアの発達も良いですが,何よりもコンテンツの充実が望まれます。多いチャンネルを維持するために,番組内容が薄くなってしまうのでは本末転倒です。NHK教育TVはいい仕事をしていると思いますが,NHK全体の地上波2ch,衛星3chは少し持ち過ぎと思います。

デジタルテレビの画像はパソコン上で色々ある動画規格の一つに過ぎません。パソコンで表示ができれば,そこからスナップショットを切り出すことが出来ます。

しかし通常は著作権の問題がうるさいので,この記事では画面をデジカメで撮影しました。まわりに黒い枠が写っていることで,うちのTVを撮ったと主張しています。
by Enrique (2010-04-05 16:36) 

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