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ギター曲と楽曲形式(5) [曲目]

以前紹介した「楽式論」の応用楽式として取り上げられている曲名を用いて,ギター曲として多く取り上げられているもの,およびそうでないものについて,ギター曲中心に書いている。なお,ここでは組み形式としてのソナタ,組曲,変奏曲と言った形態は含まず,独立楽曲のみ取り上げることにする。今回は舞曲・行進曲を取り上げる。


舞曲と行進曲編 ギター曲によく見られるもの(その1)
ワルツ
ドイツ(オーストリア)舞曲レントラーを先祖に持つ。この名前の曲はゴマンとあって,これが無い作曲家はいない位ではないか。前にやったバリオスの3番と4番を思い出す。特に3番は繊細なワルツで3拍目をごく軽くしないといけない。これをやるときは,昔やった社交ダンスを思い出すことにしている。難しくて踊れなったが,うまい人のステップは軽々とすごいスピードで動く。ズンチャッチャッと均等にやったら興ざめだろう。
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ワルツの基本リズム。下はウインナ・ワルツ。

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バリオスのワルツ第3番冒頭

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バリオスのワルツ第4番冒頭

マズルカ
タルレガの夢(スェーニョ)はこのリズム。タルレガには他にもあるようだ。ポーランド発祥でショパンのものが有名。タルレガの作品もショパンからの影響だろう。同時代のコストにもメルツにもこの形式の曲がある。近現代だが同郷のタンスマンにもある
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マズルカの基本リズム

メヌエット
フェルナンド・ソルのメヌエット集はその内容,曲想の多彩さ。似たものが全く無いという,ギター曲に限らなくてもどれも名曲ぞろいだと思う。彼の二つのグランド・ソナタそれぞれの1つの楽章を飾るのもメヌエットだ。もともとはフランスの田舎の踊りをルイ14世(1638-1715)が宮廷にいれたものらしい。大島富士子氏の「正しい楽譜の読み方」(現代ギター誌)にはこの舞踏のステップなどが詳細に解説されている。守安功氏も述べていたように,リズムは楽譜で最も表しにくいもの。楽譜どおり3拍子でとらず,せめて6拍子でとらえたいもの。バッハのヴァイオリンパルティータ第3番(リュート組曲第4番)の第4曲にも取り入れられている。人気の高い舞曲だったらしく,ベートーベンやソルの時代にも生き残り,名曲を残させたのだろう。トリオがつくことも多い。
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バッハの鍵盤用のパルティータ第1番のメヌエット

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以上ソルのメヌエットを連発

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ソルのスペインのフォリアの変奏にもメヌエットがついている

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二つのグランド・ソナタにもメヌエットがついている

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これらのメヌエットにはそれぞれトリオがつく

ガヴォット
バッハのロンド風ガヴォットは有名だが,これもやはりヴァイオリンパルティータ3番の第3曲にとりいれられている。バロックギターの組曲などでもよくある。舞曲名はフランスの地名からきているようだ。メヌエット同様トリオがつくことも多い。
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ガヴォットの基本リズム構成
(つづく)

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