SSブログ

ギター曲と楽曲形式(4) [曲目]

以前紹介した「楽式論」の応用楽式として取り上げられている曲名を用いて,ギター曲として多く取り上げられているもの,およびそうでないものについて,ギター曲中心に書いている。なお,ここでは組み形式としてのソナタ,組曲,変奏曲と言った形態は含まず,独立楽曲のみ取り上げることにする。また,本書の記述に従い舞曲は後で取り上げる。


独立楽曲編 ギター曲にあまり見られないもの

間奏曲(インテルメッツォ)
もともとは,文字通り楽曲の間に挿入される器楽の小曲だったが,それ自体独立した小曲にもなっている。オペラでは幕間に演奏されるオケの楽曲をいうようだ。イベールの間奏曲はフルート(バイオリン)とギターのための独立した楽曲。ポンセの二重奏用のものがあるが,ギター独奏曲として有名なものはあまり聞かない。マスカーニのオペラ「カヴァレリア・ルスティカーナ」の間奏曲はとみに有名。

即興曲(インプロンプチュ)
シューベルトのピアノ曲が有名だが,ギター曲で有名なものはあまり知らない。必ずしも,即興的なというわけでもないようで,いくつかの楽式的な形式があるようだ。下にE.プジョールの曲を示す。ギター曲として無いわけではなさそうだ。
PujolImpromptu.JPG
E.プジョールのインプロンプチュ

バラード(譚詩),レゲンデ(聖譚詩)
ショパンの4曲のバラードが有名なところだが,ギター独奏への編曲はまず無理だろう。レゲンデは,宗教的意味合いを持つもののようだが,前者との区別ははっきりしない。ギター曲としてありそうな気がするが,思いつかない。

ノヴェレッテ
シューマンのものが有名。バラードやレゲンデ,ロマンスなどと共通で譚詩的内容を持つものだが。バラードなどよりも繊細で淡い感じのものである。

ラプソディー(史詩)
叙事的,民族史的雰囲気を持つもの。狂詩曲とも。19曲あるリストのハンガリアン・ラプソディー(第2番)などが有名。もちろん,G.ガーシュインの「ラプソディーインブルー」も最近「のだめ」の影響か,とみに有名。ギターではラックという人の「スラブ風ラプソディー」というのがあるらしいが,当ブロガーは良く知らない。

スケルツォ
諧謔曲と訳されるが,必ずしもその雰囲気ではなく,異様な暗い迫力あるリズムを持つ事も多い。ベートーベンがソナタやシンフォニーの一部として用いているほか,ショパンのものが有名。コストの小品にあるほか,スケルツィーノならばポンセの~・メヒカーノなどがある。

ブルレスケ
スケルツォと似ているがもっと粗野で快活なもの。単独のものとしては,リヒャルド・シュトラウスのピアノと管弦楽のためのブルレスケニ短調が有名。有名曲はそう多くないだろうが,ギター曲としてはモレノ・トローバのセレナータ・ブルレスカか。

ユゥモレスク
ドヴォルザークのものが有名で,叙情味を持つ。

楽興の時
シューベルトのOp.94の6曲の固有名詞のようなものだが,即興曲と同じく,気軽な自由な楽想を持った小曲をいうようだ。有名なOp.94-3は昔,日曜の朝,弦楽でNHKラジオで流れていたのを思い出すが,なんと現在はピアノ原曲で流れているようだ。ラフマニノフのものも有名だ。

インヴェンション
これも殆どバッハのものの固有名詞のように有名。対位法を用いた手法で作られる。
(つづく)

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。