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ラローチャ死去 [演奏家]

スペインの名ピアニスト,アリシア・デ・ラローチャが25日亡くなった。86歳。03年以降は事実上引退していたという。

アルベニスやグラナドス,ファリャやモンポウを得意とし,ギタリストたちからも敬愛されていた巨星であった。
スペインの民族的な音楽を,ピアノと言う普遍的楽器で世界中でもっともそれらしく演奏したピアニストだった。ギタリストの模範となったのも当然だろう。殆どうるおぼえだが,ラローチャはピアノでアポヤンドをしているとか言っていたギタリストがいた。いわばピアノでギター的なものを弾いていたわけで,アルベニスやグラナドスの直系ピアニストであった。事実,母とおばがグラナドスの弟子で,おばから手ほどきを受けたらしい。

15回ほど来日しているそうだが,生はもちろん,録音でもあまり真面目に聞いたことがなかった。あわてて,YouTubeなどで聞いている。正確無比でリズムがくっきりしていながら,温もりがある。手が小さいので有名でもあったが,YouTubeを見るとラ・カンパネラを軽々と弾いている。スペインの曲と対極にあるようなモーツァルトも得意。バッハのフランス組曲なども弾いている。

スペインというと,ヨーロッパ内では異質のような先入観を持ってしまうが,彼女の弾くバッハもモーツァルトもベートーベンもどれも,オーセンティックなものである。考えてみれば,バロックの組曲にもフランス風,イギリス風があり,単独の舞曲も各国風があり,いわばお国めぐりの様なもの。もちろん,サラバンドやシャコンヌはスペイン伝来である。「スペインのフォリア」を持ち出すまでもなく,バロック以降のヨーロッパ音楽の元祖を形作っている。そういう当たり前のことが,ラローチャの演奏を聴いていて感じた。

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