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魔笛の主題による変奏曲(3) [曲目]

前回,セゴビア編の変更点・間違いなどを指摘した。音符自体の変更は少ないが,アゴーギクの指定は,セゴビアの趣味がたっぷり入っている。これはこれで,曲作りの上での一つの参考とすれば良いだろう。これだけの名曲になると,参考演奏がゴマンとあるから,気に入ったものを選べばよい。若手のアザバジックの演奏はオーソドックスなもので好感が持てる。YouTubeにのっているイトー・マサカズ氏の演奏もさわりだけだが,磨きこんだ演奏で大変参考になる。ここでは,自分の意見のみ述べるのも気がひけるので,プロの意見を参考にする。現代ギター「名曲てんこもりBOOK・おかわり1」に鈴木巌氏の解説がある。また,以前聞いたカネンガイザーの公開レッスンでの記憶も少し。

鈴木氏の全体の解説タイトルには「技術的困難を克服して端正に弾く」とある。まさにこれだろう。イントロに関してはやはり弾く弾かないのコメントがあるが,「味わい深い」とだけある。技術的に大したことはないだろうが,最初のホ短調のコードの流しで演奏の巧拙が分かってしまうと思う。

テーマは,何よりもエレガントに(カネンガイザー)である。倚音を強調し,クラシカルに品良くまとめることが必要だろう。テーマの2小節目のラにつく装飾音は,鈴木氏は5連符とするとのことである。いわば転回ターンとするもので,ここで力が入って転んでしまっては元も子もないので,なるほど,と思える意見だ。しかし,のりすぎてショパン風にするのは,ちょっとやり過ぎだろう。そこは古典の節度を持ってのことだろう。

第1変奏は華やかな変奏の幕開けであり,充分な練習が必要である。鈴木氏もリズムがくずれやすいと指摘している。カネンガイザーは,ここはテーマをうたいながら合わせさせていた。テーマとぴったり合わせるのは結構難しいが,やはりここは「技術的困難を克服して」弾かないといけない。前半後半に現れる速いスケールは,どちらもクレシェンドとあるが,楽譜の方はどちらもデクレシェンドになっている。文の方の誤植だろう。音の強弱はさておき,節拍を感じて意識は後半だろう。1拍目の裏,4拍子で数えるなら2拍目である。(つづく)

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