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魔笛の主題による変奏曲(4) [曲目]

前回よりつづく。

第1変奏の補足というか,ここで現実に最も問題となるのが,スラー技術である。連続スラーを如何にスムーズにこなすかは古来課題になっている(少しオーバーだが)。2回目のスラーは右手を弾かないほうがまとまりは良いが,装飾符ではないので弾かないわけにはいかないだろう。鈴木氏は2回目のスラーを少し弱くもしくは同じ強さでとの指摘である。拍の頭が強くならなくてはならないが,技術的には2回目のスラーに意識が行く結果,そちらが強くなってしまう演奏が多いからの指摘だろう。これがなかなか難しい。2回目の方が音が高いから均等に弾いても,強く聞こえてしまう。2回目のスラーをコントロールしながら弱く弾くのはかなり難しい。練習あるのみだが,例えば冒頭2,1,4,2の運指で無く,2,1,4,1でやるのも一つの改善策と思われる。すなわち2回目のスラーをつらい4-2ではなく,4-1でやるのである。昔やった時は前者で闇雲に弾いていたが,後年やり直したときは後者にして少し弾き易くなったと思う(しかし今,間を置いて弾いてみるとどちらも大差ないが)。いずれにせよ基本はスラーを弾いた瞬間「すとん」(あるいは「はらり」)と力が抜けることだと思う。
スケールは軽いアポヤンドでとあるが,添付楽譜の方は,スラーとアラストレの独特な運指になっている。譜例1~4に阿部全音版,セゴビアショット版,てんこもり現代ギター版,そして逆指自家版を示す。阿部全音版は右手の指定は無いが,セゴビアショット版はオーソドックスなスケールの指定だ。ここに関しては,これが順当なところだろう。譜例3はあまり一般的でないと思うが,前に紹介したイトー・マサカズ氏はこの運指。3-4の運指が無いので弾きやすいが,スピード感は出ない。好みと指との相談だろう。右手が逆指にならない運指が順当だろうが,いろいろ試してみると,逆指だが最後の譜例は案外楽である。第1変奏後半のスラーを伴った方のスケールはこのような指回りになっているので,統一感はある。人によって違うだろうが,少しの運指の変更で弾きさすさがかなり変わることがある。
AbeZenon.jpgSegoviaSchott.jpgTenkomoriGG.jpgSakayubiJika.jpg

また,スラーでもスケールでも,ピリオド楽器の方が弾きやすいようにも聞くが,実際のところは持っていないので分からない。(つづく)


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