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マヌエル・バルエコ [演奏家]

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マヌエルのつづきではないが,自分のブログを見返していて,バルエコの名前が無い事に気づいた。

実は本格的再開前はよく知らなかった。熱心にやっていたのが81年くらいまでだったので,そのころは全く知らなかった。彼は75年のトロント国際で入賞しているから,売り出し中ではあったのだろうが。山下さん,セルシェルあたりで時間がストップしていた。かの福田進一さんさえタッチの差で知らなかった(もちろん再開後,その活躍ぶりで第一人者と認識した次第)。

再開前後,「アメリカの名ギタリスト」として,NHK教育の「芸術劇場」でセルシェルなどと登場したので,遅まきながらその存在を知ることになった。ごまかしのない精密な演奏,昔のギターのイメージを吹き飛ばす演奏で,ビデオに録画して何度も聞いた記憶がある。右手の構えが,昔とかなり異なる。従来の,何かはれものに触るようなタッチでなく,自然なものだった。自分自身,手首はだらんと曲げて構えるものだと思っていたのが,彼の右手は異なった。また,殆どアポヤンドしない。和音の流しかたがまるでピックで弾くようなこと,ローポジションも何のためらいなく用い,音色が均等であることなど,後にそれが現代奏法というのだと知り,彼以降のギタリストにはそのような奏法が多いことに衝撃を受けた。

NHKの「芸術劇場」の演奏の内容は,武満の「すべては薄明のなかで」,バッハのリュート組曲第4番ホ長調,それにアルベニスのスペイン組曲と,一寸の隙もないプログラム。アンコールはロドリーゴのサパデアードで,技巧をまざまざと。圧巻はアルベニス。グラナダやアストリアス,セビリヤを含む全曲演奏。カタルーニャなどは見ていてもどう弾いているのかもわからないような技巧で,メロディ音は完璧に鳴り響く。すごい人がいたものだと感銘を受けた。再開に向けた一つの刺激だった。


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やーさん

ごぶさたしおります。

私は5年前にギターを開始する以前から、バルエコは知っていました。これは例のレクサスの宣伝が原因です。ギターを始める前から、ジョン・ウィリアムスの演奏は好きで、結構CDを持っており、よく仕事場でバックグラウンドにしていました。ギターを開始してからバルエコのCDを集め始めました。そのためか、私のギター音楽の基準が、ジョンやバルエコにあるようで、セゴビアの演奏を聴くとうんざりすることがあります。

ベラスケスのシリーズ、お疲れさまでした。

by やーさん (2009-06-17 07:43) 

Enrique

コメントありがとうございます。

バルエコは現在最高の奏者と思います。特に昔のギターを知る人は,その完全な演奏に圧倒されると思います。ただ,ベラスケスも指摘していたように演奏面でも100%の人を満足されることはできません。完璧な演奏で面白みがないといった意見も出てきます。ジョンの演奏にもそのような批判が一部あるようです。聞き比べると,ジョンの方が力が抜けていて聞きやすい面もあると思います。セゴビアの演奏は,予備知識なしで聞かれたら,さぞかしびっくりされたのではないでしょうか。ただ,好きな人にとってはいまだに魅力的のようです。良かれ悪かれ影響は色濃く残っているようです。ジョンも指摘しているように,何もいまさらセゴビアではないのですが,好き嫌いは別にしてその歴史的な意味は認めなければなりません。

ベラスケスに関しては,丸々取り上げるのも冗長かなと思ったのですが,部分的には参考になる点もあるかと思います。

やーさんの現在のシリーズ,「5つの留意点」は面白い企画で期待しております。


by Enrique (2009-06-17 21:01) 

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