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アランフェス2楽章(名旋律) [演奏技術]

アランフェスの2楽章を終わりにしようと思ったが,やはり有名な旋律の部分が気になった。
文字通りcantabileなので,自由に弾いても良いのだろう。ギター独奏は人によってかなり違う。
旋律の終わりのタイ音も弾いているものも結構ある。
名旋律.jpg
楽譜に忠実なのが基本だろうと,譜面をよくよくながめると,この超有名部分だけでも,音符に音価の間違い,記譜ミスと思われる箇所がいくつかある。私が持っているのは昔買った,"Impreso en Espana por Graficas Agenjo, S. A."のミニスコアSchottのA. Romero編ピアノリダクション版。さすがにスコアは間違いが少ないが,少しある。ピアノリダクション版ではミス・プリが少し増えている。
最近のものは直っているのかもしれないが,間違い箇所を指摘しておく。

(1)cantabileで始まるギター独奏部前半,4小節目1拍目の装飾的3連符が16分3連符になっているが,32分3連符でないと,拍に入らない。スコア,ピアノリダクション版,両方ミス・プリ。
(2)ギター独奏部後半2小節目の4拍目に続く3拍目のトレモロ音が64分音符になっているが,4拍目同様32分音符が正しい。ピアノリダクション版のみミス・プリ。
(3)次の3小節目の4拍目の後半が6連符になっているが,これでは拍が足りなくなってしまう。通常の32分音符が正しい。これもピアノリダクション版のみミス・プリ。
(4)名旋律をしめくくる上昇・下降スケール。上昇の始まる2拍目冒頭の3連符指定が意味不明。このままでは3/4拍を3連符指定することになり,明らかな記譜ミス。前打音のついた2拍目頭は普通の8分音符と思われる。スコア,ピアノリダクション版,両方ミス・プリ。3連符を掛ける位置の間違いがそのまま伝染している。
装飾的音符目白押しとはいえ,ギターの旋律わずか10小節の中に,ピアノリダクション版では4箇所,スコアでも2箇所のミス・プリがある。これらを正した上で各自解釈しないといけない。

名旋律を比較するのも無粋なのでやめるが,譜面をそのまま音にすると,このようになる

沢山の私家版アランフェス?がある中で,生前の作曲家を訪ねられた村治佳織さんの演奏は,CD録音1度目・2度目ともかなり楽譜に忠実に弾いていらっしゃると思う。
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