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「ギターは」にご注意 [雑感]

ギターの呼び方には,「ギタラ」,「キタラ」,「六弦琴」などがあると書きましたが,ここでは一般化している呼称と思われる「ギター」で良いとします。

問題は,その奏法やジャンルです。

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例えば,「『ギターは』,五線譜を使わず,コード譜を使う」と書いているものがあります。

知らない人が読んだら,ギターは五線譜を使わない楽器だと学習してしまいます。書いている当人も,そういうものだと信じて疑わないから,無邪気にそう書くのでしょう。知ってはいても他ジャンルは無視するのかもしれません。そしてそのような偏った知識が,拡大再生産されてしまいます。

それはギターの使いかたのごく一形態に過ぎません。
クラシックギターでは五線譜を使いますから,そういう記述はクラシックギターの奏法を全く無視する,トンデモなものです。


問題は,「ギターは」という主語の使い方です。
「何ギター」の事を言っているのか?が問題です。

スチール弦楽器を使って歌の伴奏系の人,歌を歌いながら,それにコードで伴奏を入れる奏法の人は,「ギター」とは,「そういうものだ」と思っている。メロディに加えバスや内声まで入れるクラシックギターの奏法を知らず,自分の分野の弾き方「だけ」を「ギターの弾き方」だと思ってしまう。


五線譜使わない系の人たちは,「ジャン・ジャン」とやるコードストロークか,音を拾う「アルペジオ(分散和音)」が主要奏法でそれが全てだと思っていますが,それは,クラシックギターの奏法からすれば,ごく一部の特殊奏法です。

むろん五線譜を使うか使わないかが分類ではありませんが,いずれそれぞれのジャンルでやり易い様に楽器も奏法も分化しているのです。奏法に関して言えば,例えば,エレキギターなどでメロディやパッセージを速弾きをするにはピックは不可欠です。ヴァイオリンの弓の様なもので不可欠な道具になります。

クラシックギターではプレクトラム(ピック)は使わず,いわゆる指弾きしかしません。従って,「フィンガー・ピッキング」なる言葉は生まれようがありません。その辺は,実際にやる人以外には,なかなか分かってもらえません。


多くは「ギターは」,という主語の使い方の問題だろうと思います。
奏法も音楽ジャンルも全く異なる楽器,「全く別物」の楽器を,一緒くたに「ギターは」と言っているところに誤解を生む大きな原因があります。一部を見てそれが全体だと思い込んでしまう「過剰一般化」の典型例でしょう。
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