ヴァイオリンかバイオリンか [雑感]
15年間ブログを続けていますと,言葉の表記に関しては多少敏感になっています。
洋物をカタカナで綴る場合,Vの発音は,「ヴァ,ヴィ,ヴ,ヴェ,ヴォ」と綴るのが原則と解釈していました。
従って,Violinは「ヴァイオリン」ですし,Violaは「ヴィオラ」,作曲者名でも,Vivaldi(ヴィヴァルディ),Verdi(ヴェルディ),Villa-Lobos(ヴィラ=ロボス)などです。
昨年秋ごろ,NHKの音楽番組で,「バイオリン」と表記されているのを発見しました。
1つ2つではないので,どうも表記基準が変ったようです。
昨年,文科省の楽器名称では「タンバリン」ではなくて「タンブリン」だという記事を書きましたが,文科省の指定はどうなっているのでしょうか?
「タンブリン」表記がある,昭和53年3月発行の「教育用音楽用語」を見ますと,「バイオリン」とか「ビオラ」となっています。
しかし平成6年8月発行のものでは,「ヴァ,ヴィ,ヴ,ヴェ,ヴォ」の使用も認めたようです。つい最近までは,これを使っていたし,当方もそれに従っていました。
これには批判もあります。例えば,"Segovia"を「セゴヴィア」と書いていましたが,それは英語的な発音であって,スペイン語ではBとVの発音は区別しないから「セゴビア」の方が良い,というものです。もっともな指摘ですし,スペインの地名であれ大ギタリストの姓であれ,「セゴビア」ですでに定着したものをわざわざ「セゴヴィア」と書く必要も無いわけです。
しかしながら,そのように「Vの発音に関しては例外も認める」となれば,「ヴァ,ヴィ,ヴ,ヴェ,ヴォ」の使用基準も崩壊してしまいます。
どっちにしたって必ず異論反論が出ます。それを防ぐには,カタカナ化せずに,そのままの綴りで綴るしかなさそうです。
一般的になっている外来語でさえもこの有様ですから,余り知られない外国の固有名詞などは,現地語の綴りで綴るのが良さそうです。漢字およびアルファベットが使えないもののみ,カタカナ表記するというやり方が良さそうです。
むやみに横文字を使わないのも重要でしょう。やむを得ない場合は原語を使うか,アクセントもなるべく正しくすべきでしょう。ただし,人をけむに巻くなどの邪な目的があれば別ですが。
時々出ては消える「リスキリング」という言葉。はてさて?ニュースなどでベタに発音されますと「栗鼠麒麟愚」と聞こえてしまいます。
"re-skilling"の事を言っている様です。
「学び直し」とそういえば良いし,せっかく漢字文化もあるわけですから,「再職能開発」とかいくらでも漢語が当てられそうです。ただ,それではカッコ悪いと。カタカナ言葉は新しい感じがするという,日本語特有の課題もあるのでしょう。
明治初期,外来の重要な学術語などを適切な訳語で当てて,母国語で思考できたことは国の近代化に大いに貢献したでしょうし,強味でもあるわけです。
うーん,ただそれを言うと,冒頭の楽器名は「提琴」とか「中提琴」となってしまいます。ちなみに「ギター」は英語名をカタカナ化したものですが,和名では「六弦琴」だそうです。本来スペイン語ならGuitarra「ギタラ」だし,イタリア語ならChitarra「キタラ」です。結局,色々ヴァリエーションはあるものの,定着している語を使うというのが妥当なところ??
あ,またヴァを使ってしまった。
◆
洋物をカタカナで綴る場合,Vの発音は,「ヴァ,ヴィ,ヴ,ヴェ,ヴォ」と綴るのが原則と解釈していました。
従って,Violinは「ヴァイオリン」ですし,Violaは「ヴィオラ」,作曲者名でも,Vivaldi(ヴィヴァルディ),Verdi(ヴェルディ),Villa-Lobos(ヴィラ=ロボス)などです。
昨年秋ごろ,NHKの音楽番組で,「バイオリン」と表記されているのを発見しました。
1つ2つではないので,どうも表記基準が変ったようです。
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昨年,文科省の楽器名称では「タンバリン」ではなくて「タンブリン」だという記事を書きましたが,文科省の指定はどうなっているのでしょうか?
「タンブリン」表記がある,昭和53年3月発行の「教育用音楽用語」を見ますと,「バイオリン」とか「ビオラ」となっています。
しかし平成6年8月発行のものでは,「ヴァ,ヴィ,ヴ,ヴェ,ヴォ」の使用も認めたようです。つい最近までは,これを使っていたし,当方もそれに従っていました。
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これには批判もあります。例えば,"Segovia"を「セゴヴィア」と書いていましたが,それは英語的な発音であって,スペイン語ではBとVの発音は区別しないから「セゴビア」の方が良い,というものです。もっともな指摘ですし,スペインの地名であれ大ギタリストの姓であれ,「セゴビア」ですでに定着したものをわざわざ「セゴヴィア」と書く必要も無いわけです。
しかしながら,そのように「Vの発音に関しては例外も認める」となれば,「ヴァ,ヴィ,ヴ,ヴェ,ヴォ」の使用基準も崩壊してしまいます。
どっちにしたって必ず異論反論が出ます。それを防ぐには,カタカナ化せずに,そのままの綴りで綴るしかなさそうです。
一般的になっている外来語でさえもこの有様ですから,余り知られない外国の固有名詞などは,現地語の綴りで綴るのが良さそうです。漢字およびアルファベットが使えないもののみ,カタカナ表記するというやり方が良さそうです。
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むやみに横文字を使わないのも重要でしょう。やむを得ない場合は原語を使うか,アクセントもなるべく正しくすべきでしょう。ただし,人をけむに巻くなどの邪な目的があれば別ですが。
時々出ては消える「リスキリング」という言葉。はてさて?ニュースなどでベタに発音されますと「栗鼠麒麟愚」と聞こえてしまいます。
"re-skilling"の事を言っている様です。
「学び直し」とそういえば良いし,せっかく漢字文化もあるわけですから,「再職能開発」とかいくらでも漢語が当てられそうです。ただ,それではカッコ悪いと。カタカナ言葉は新しい感じがするという,日本語特有の課題もあるのでしょう。
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明治初期,外来の重要な学術語などを適切な訳語で当てて,母国語で思考できたことは国の近代化に大いに貢献したでしょうし,強味でもあるわけです。
うーん,ただそれを言うと,冒頭の楽器名は「提琴」とか「中提琴」となってしまいます。ちなみに「ギター」は英語名をカタカナ化したものですが,和名では「六弦琴」だそうです。本来スペイン語ならGuitarra「ギタラ」だし,イタリア語ならChitarra「キタラ」です。結局,色々ヴァリエーションはあるものの,定着している語を使うというのが妥当なところ??
あ,またヴァを使ってしまった。
「リスキリング」なる言葉が使われ始めたばかりの頃、「あっちでもこっちでもリス殺しの話をしてるけど何があったのだ?と思ったら…」とツイッターで言っている人がいました(笑)。
ベタ発音や一語書きだと「リ・スキリング」でなく「リス・キリング」と捉えてしまうんですよね。
「ヴ」問題の他に、「エンターテイメント」と「エンターテインメント」の両方あるのなんかも気になっています。原語発音に近いのは後者ですが、それだったら「コンテナ」も「コンテイナー」じゃないの?とか思いますし。
by REIKO (2024-01-26 00:22)
REIKOさん,
私も「リスキリング」とは,最初何を言っているのか分かりませんでした。英語の綴りなり,マトモな発音ならすぐわかりますけどね。
いずれも原語に近い書き方はあるとは思いますが,各自バラバラになったり,そう言ったり書いたりすると何やらキザに聞こえてしまうという問題がありますね。日本語の上手な外国人さんもカタカナ言葉も上手に日本語風に話してる人がいてご立派だと思います。
標準表記に従うのが良いのでしょうが,それも業界によって異なったりします。例えば,ディーゼルは自動車業界では「ジーゼル」ですね。
by Enrique (2024-01-26 10:07)