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デイリー・エクササイズの必要性と [演奏技術]

発表会の前などになると,ついついその曲ばかりを弾いてしまいます。

「本番でその曲を弾くのだから,その曲だけを練習する」と。一見論理的に正しそうです。

ただし,それには前提条件があります。本番時に練習時と全く同じ状態で弾けるならば,それでよさそうですが,まずそんな事はありません。


どんな理由かは別として,本番時に練習時と全く同じ状態という事はありえません。むしろ違う状態になってもリカバーできる様,ロバストな状態にしておかないといけないわけです。そのためには,イレギュラーな状態にでも対処できる柔軟性を日頃から身につけておく必要があるわけです。それが日々の基礎練習であり,課題曲の練習はその上にあるはずです。

課題曲を余裕持って弾けるように基盤整備しておく事が重要なわけですが,往々にして「ひたすら課題曲だけを弾きまくる」という悪習に陥りがちです。今回の当方もそうでした。


今さらながらの反省です。きちんとやっている人からみたら,何ともおバカな話です。今回の反省も踏まえ,あえて恥を忍んで再確認しておきます。緊張状態などのストレスフルな状態でも対処できる様に普段から備えておくというのが基礎練習の意味です。では,日頃の練習〜デイリー・エクササイズ〜にはどの様なものがあるでしょう?


いろいろあります。
スケールを弾きまくるというのも,かなり良い練習だと思います。かつての師から言われたのは,ギターはアルペジオの方が楽なので,それよりも崩れやすい左右のシンクロが重要な半音階のスケールが有効だと。現在の師からは,テナントの「パンピング・ナイロン」から拾い出してやるのが良いでしょうと。


S. テナントの"Pumping Nylon"には,"Daily Warm-Up Routine"というものがありますので,これが良さそうです。左右の課題がそれぞれあります。左手のWalking,上行・下降・組み合わせの三連符のスラー,そして,"Fixed-Finger Exercises"というものがあります。③弦に3つの指を置いた状態,例えば234でA,A#,Bに置いた状態で1の指で⑤②,⑥①弦の1フレットを歩かせるものです。これを指を替えながらやります。また,③弦に全ての組み合わせの2つの指を置いた状態で,他の2つの指を歩かせます。以下にその譜面を示します。

Pumping1.png
S. TenantのPumping Nylon, "Daily Warm-Up Routine"の#8から。このパターンを指の組み合わせを替えてやります。
これが脱力出来て日々やれれば,左手の独立性は維持できるでしょう。


当方の場合,右手maの動きが悪いので,右手の訓練を重視します。
引き続き同書の"Daily Warm-Up Routine"のRight Hand Walking - #9"というものがあります。
Pumping2.png
S. TenantのPumping Nylon, "Daily Warm-Up Routine"の#9から。右手で開放弦を弾くシンプルなもの。
単に右手で開放弦を弾くだけですが,色んな指の組み合わせ(特にma)でやり,アポヤンドで瞬時に戻す事などが重要です。付点などのリズム・ヴァリエーションも効果的でしょう。


当方右手の動きに関しては専らヴィラ=ロボスの練習曲1番を使っていましたが,滅多に弾かないのに,弾き出すとつい最後まで弾いてしまいたくなります。練習曲といえ既に「曲」になっていると,純粋な技術練習でない部分も多々ありますので,効率的ではありません。あと「曲」だと毎日弾くと「飽きる」という弊害があります。むろん,右手の動きを確認するための指標曲としては有効だと思います。アルハンブラなどのトレモロ曲を使う方もいらっしゃるかもしれません。これも延々同じパターンですから最初から数小節弾けば調子は分かるでしょう。
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