SSブログ

なぜそう弾くのか? [雑感]

なぜそこをそう弾くのか,自問する必要があります。

EnriqueAutographSmall.png
「何となくそう弾いていた」という事もあるものですが,意味もなく変なクセでそう弾いていたにしても,まずはその事に気づかない事には,改善のしようもありません。

実例としては色々あります。変なアクセント,勝手なスタッカート,無意味な音色変化,無拍節,拍子感のなさ,無意味なルバート,その他きちんと弾けていない。弾くのに精一杯で,音楽的内容などくそくらえ,ギターで音を出すことのみに興味がある。当方の独学時代などそんなものでしたし,愛好家としてそれも否定しませんが,本来,弾くのに精いっぱいなら,技術練習を合理的に真面目にやる必要がありますし,音楽のイロハが分かっていなければ,必要最小限の事は学びなおす必要があります。

演奏には個々人思い込みがあるものです。色々なカン違いも起こりえますが,頑迷な人は指摘されても気がつかず反発感じるだけの様です。西洋音楽をやるには,その最低限のリテラシーは必要です。むろんポップスや演歌,民族音楽ならば自由に楽しめばよいわけですが。


「楽譜のままに弾いていた。」というならまだしも,けっこう勝手な弾き方をしている事も多いものです。誰かの弾き方を参考にしていたのならまだしも,ただ無批判に真似をしていただけという事も。

何も真似て悪いことはないですが,問題は,「自分の演奏にならない」という事です。プロは演奏の差別化を図るためにかなり個性的な弾き方をしていたりもするものです。真面目な演奏をしていると,「ツマラナイ」という意見も出ますから。

当方は譜読み前に誰かの演奏を聴くという事をしませんが,譜読み後にたまたま聴いてみても,「絶対にそうは弾きたくない」と感じる事も良くあります。「イヤラシイ,わざとらしい,これみよがしな」表現は嫌いですが,一流プロでもそうしないとアピールできないという面もあるのでしょう。

むろん,一般音楽愛好家が鑑賞したり批評したりするのはかまいませんが,演奏するアマチュアが,譜読み段階からそういうものを聴いてしまうのは,当方の個人的意見としては「まずい」と思います。いわばカンニングで点数を稼いでいるようなもので,そのテスト自体の成績は取れても一向に実力はつかず,ずっとカンニングをし続けなければなりません。お手本の無い曲はどうするのでしょう?


「なぜそこをそう弾くのか?」と問われてどう答えるのでしょう?
「好きなプロがこういう弾き方をしていたから」
「誰それの演奏を真似た」

先生は何と仰るか分かりませんが,心ある指導者なら余り歓迎はしないでしょう。うまく真似ねていればそれはそれでいいでしょうが,お手本のプロはなぜそう弾いたのでしょうか?カンニングした答えが正しいとばかりは限りません。

まあ,中途半端に真似ても,ロクな事はないと思います。教授経験豊富なプロに言わすと,真似る生徒は「良くないところばかり真似る」のだそうです。結局は自分のアタマで判断せずに,「有名プロの演奏だからそれを真似れば良いはずだ」というヘンな権威主義の意識がそうさせるのでしょう。

むろん,音楽をやる価値観の問題ではありますが,自分なりにアタマを使って,譜面から演奏を組み立てれば,その部分をそう弾く理由が明確に言えるはずです。単に上手い下手ではなく,「説得力のある演奏」というのは,そこから出てくるのだと思います。
nice!(34)  コメント(2) 
共通テーマ:音楽

nice! 34

コメント 2

河内の木樵

レッスンを受けている先生から言われます。「なぜそう弾くの?」「どのように弾きたいの?」
こう言われる時の演奏は大抵、音を出すことは出来ても音楽を考えていない時です。とても真を突いているお話だと思います。ポピュラーを弾くときは歌詞の消化ということもよく言われます。歌をきちんとイメージして弾くと音のバランスや強弱もフレーズも自然に整ってきますが、それがないと音の羅列になのですね 気がつくようで気づかない、指摘されて気がつくことも多いです。録音して聴くのが良いように思います。
by 河内の木樵 (2023-07-27 17:27) 

Enrique

河内の木樵さん,

基本的な問いかけですね。
歌詞の件は,フレージングの問題ですね。かつて海外の有名プロがサービスで日本の歌を演奏してくれても違和感があったりしたのは,歌詞を知らないから,フレージングが異なったわけです。まあ器楽曲と捉えればそれもそれでアリな訳ですが。
逆に器楽曲でも,もとは歌だと捉える事はよくあり,お国柄の強い曲の場合はその国の言葉を学べとも言われます。
ギター独奏の場合は演奏技術上つなげるのが難しいとか言う事も起きますが,逆にブレスで切って良いところはラクになったりもします。

>録音して聴くのが良いように思います。
自分の演奏を客観視する事が目的ですね。ご指摘通り,録音や録画を練習モードで注意深く使うのは大変強力な方法ですが,そこには改善しようとする謙虚な心と注意深い耳が必要です。それらがなくて動画サイトなどに上げる事が目的化・作業化してしまうと,効果は低い様に思います。何でもそうですが,手段は目的によりけりだと思います。
by Enrique (2023-07-28 07:19) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。