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ゼロフレットとゼロギターと [演奏技術]

現在あまり見かけませんが,「ゼロフレット」付きの楽器が昔ありました。

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フレットは1からだろう?
ナットに相当する場所に弦が乗ったフレットを取りつけるわけです。

カポタストをした方がローポジションが弾きやすくなるのは良く経験する事です。通常「弦長が短くなったから」と説明されますが,むしろナット側の弦高が下がった効果が大きい場合があります。ナット側の弦高は高めにセットされる場合が多いのと,製作家の方がセットしたナットでも高音弦側と低音弦側の弦高が少々疑問な振り方をしてある場合が殆どです。

むろん,弾きやすく調整される方もいますが,製作家の手加減に依存するよりもきちんとフレットの高さで規定された方が良いと考えられますが,何故かゼロフレットの楽器は無くなりました。当方も一本も所持していません。

ネットでちょいと調べてみても,そのはっきりとした理由は分かりません。①メジャーなメーカーが使わなくなったから?②ゼロフレットが減るから?とか。①はそう言うこともあるかなと思うわけですが何故メジャーなメーカーが使わなくなったのでしょう?②に関してはあり得ません。通常フレットの減りは減弦を押し付けたり,指頭で擦る事によるもので,明らかな誤認です。一方,ゼロフレットのメリットとしては,ナット側の弦高を最適にでき,開放弦の音質が揃うと,良いことばかりの様に思えます。

なんと,銘器ヘルマン・ハウザー1929年作はゼロフレット仕様でした。

ヘルマン・ハウザー(I世)の1929年作。ゼロフレット仕様。
ハウザー自身が作らなくなったわけですが,これのデメリットは何かあったのでしょうか?1929年作というと,セゴビアが絶賛したという1939年作の10年前のものです。

ゼロつながりで,「ゼロギター」とはなんぞや?と。

中峰秀雄氏の練習用の楽器で,氏の命名です。
内容を詳しく記したウェブページは現在リンク切れになっている様ですが,氏のブログによれば現在も練習用に用いていらっしゃるようです。こちらは,ブリッジを外して弦高を最低限にし,チューニングも標準よりも下げて,ゆるゆるの移調楽器にしてしまう様です。これにより,譜読み時などの演奏の技術的ストレスを最小限にして演奏動作を覚えてしまおうという戦略です。むろん,まともな音にはならないわけですが,音程も音質も気にならなければ,手の形で覚えるタイプの方には非常に有効でしょう。脱力にもかなり有効そうです。余分な楽器が余っている方は試してみる価値はありそうです。
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