代読の真相 [雑感]
昨今の政治家の演説が人の心に残らないのは，お役人作文の原稿を棒読みにするからでしょう。
本人の言葉かどうかというのはすぐに分かるものです。
この年になると，葬儀は身内のものも含めかなり経験しましたが，ある職場OBの時の事を思い出しました。
トップは出席しない（前任の組織のヒラの方の葬儀には参列しているのですが）と言うし，ナンバー２は参列はするが，弔辞など読まないと言います（出世する方は違います）。母親の葬儀を済ませたばかりのナンバー３くらいの当方におはちが回ってきました（ろくに忌引きも取れず，まだ初七日も済んでいませんでした）。仕方なく当方がトップの名前で弔辞を作り，代読という形で当日読みました。
故人に関しては，ごく昔の記憶が少しあるだけですが，人事にかつての本人に関わる書類を引っ張り出してもらい，それと記憶の断片とつなぎ合わせて弔辞を作りました。
葬儀後，しばらくして「心の込もった弔辞をありがとうございました。」と遺族から感謝の手紙やら丁重な品物までいただきました。「家族も知らなかった職場での様子などが伝わって来て感激しました。」とまで。トップの原稿を代読した事になっているので，儀礼的な御礼ならトップのところにいくはずですが，実際に聞いた方々には，しっかりお見通しだったのでしょう。
原稿を読むにしても，本人のものならばしっかりと人の心には届くのです。
いくら美辞麗句並べたところで，所詮人の書いたものは借り物です。本物っぽく見せるために，原稿ライターが具体的なエピソードまで作って盛り込む事までする。ライターの涙ぐましい努力は分かりますが，所詮偽物は偽物。よく「～大臣がこの様に述べました」と報道されますが，正しくは，「この様に（匿名）原稿を（間違わず）読みました」が真実の報道というものでしょう。
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この年になると，葬儀は身内のものも含めかなり経験しましたが，ある職場OBの時の事を思い出しました。
トップは出席しない（前任の組織のヒラの方の葬儀には参列しているのですが）と言うし，ナンバー２は参列はするが，弔辞など読まないと言います（出世する方は違います）。母親の葬儀を済ませたばかりのナンバー３くらいの当方におはちが回ってきました（ろくに忌引きも取れず，まだ初七日も済んでいませんでした）。仕方なく当方がトップの名前で弔辞を作り，代読という形で当日読みました。
故人に関しては，ごく昔の記憶が少しあるだけですが，人事にかつての本人に関わる書類を引っ張り出してもらい，それと記憶の断片とつなぎ合わせて弔辞を作りました。
葬儀後，しばらくして「心の込もった弔辞をありがとうございました。」と遺族から感謝の手紙やら丁重な品物までいただきました。「家族も知らなかった職場での様子などが伝わって来て感激しました。」とまで。トップの原稿を代読した事になっているので，儀礼的な御礼ならトップのところにいくはずですが，実際に聞いた方々には，しっかりお見通しだったのでしょう。
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原稿を読むにしても，本人のものならばしっかりと人の心には届くのです。
いくら美辞麗句並べたところで，所詮人の書いたものは借り物です。本物っぽく見せるために，原稿ライターが具体的なエピソードまで作って盛り込む事までする。ライターの涙ぐましい努力は分かりますが，所詮偽物は偽物。よく「～大臣がこの様に述べました」と報道されますが，正しくは，「この様に（匿名）原稿を（間違わず）読みました」が真実の報道というものでしょう。
ＡＢ氏以来、特に官僚の書いたような原稿を読み上げる、完全に形式的な答弁が目立ち、不愉快に感じています。大の大人が自分の言葉で語れないのですか？そんな人間が首相や大臣をやっていいのですか？と。
＞それと記憶の断片とつなぎ合わせて
そうだったとしても、弔辞を書いたご本人が読まれるのですから、参列者には伝わるでしょうね。
by アヨアン・イゴカー (2022-10-26 13:24)
アヨアン・イゴカーさん，
人の書いたものを棒読みするのに羞恥心すらないという状態が当たり前のようになって，全くの形式的儀式化するのは議会制民主主義の破壊です。確信犯なのか羞恥心どころか堂々たるものでした。
細かい数字とか，事務方に頼るのは無理もありませんが，一字一句書いてもらった原稿を読むと言うのはどうしようもないものです。
大学の一部の教員が古びた講義ノートを延々読む講義がけしからんと言う事で，評価・評価で撲滅したはずでした。国会は改善ないどころかますます酷くなる。無駄な改革改革で社会を疲弊させましたが，国会の答弁改革こそ必要でしょう。
件の弔辞に関しては，自分の文なので原稿読まなくても良かったのですが，代読の形式をとっていますので，一応読んで奉納しました。
by Enrique (2022-10-26 19:17)
他人が書いたものを読むだけだから
当節の政治家は
平気で、１小節抜かして読んだりもするのでしょう。
なんといっても、その意味すら理解していないのですから。
昨日の野田元首相の追悼演説、全文を読みましたが
実に心のこもったものでしたね。
by 八犬伝 (2022-10-26 21:02)
八犬伝さん，
意味も分からず間違って読むのなら，原稿読みのプロのアナウンサーにでも読んで貰ったほうがよほどわかりやすくて良いですね。あるいは，少し優秀な中学生くらいに代わった方がよほどマシでしょう。
この記事の原稿は，しばらく前から準備していたもので，野田氏の追悼演説を意識したものではありませんが，奇しくも重なってしまいました。少々美化し過ぎの感はありましたが，本人の書いたものなので説得力がありました。
by Enrique (2022-10-26 21:18)
Enriqueさんの弔辞は、ご遺族の方も参列された方々もお見通しだったわけですね。
＞本人の言葉かどうかというのはすぐに分かるものです。
全く同感です。真摯や遺憾などの言葉を並べ立てても、一向に心に響きませんよね。自分の言葉で無いから、人そのものを見透かされますね。
国会での野田さんの追悼演説は、素晴らしいと感じました。正に本人の言葉による追悼であり、仏を敬う供養になったと感じました。私は、野田さんを誤解して見誤っていたと思います。
by 風神 (2022-10-26 21:28)
風神さん，
トップの視点で書いた積もりでしたが，ウソはバレるものですね。皆さん大人ですから，「代読」ありがとうございましたと言っていましたが。
野田さんは，政治家にしては真面目でバカ正直な人ですね。
by Enrique (2022-10-26 21:53)