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送配電に関して~フェランチ効果に関して~ [科学と技術一般]

火力発電を一応切り上げて,送配電に入ります。むろん発電は火力だけではないですが,自分の知らないところ・全く身についていないところの補習的なものです。

フェランチ効果のベクトル図_edited-1.png
趣味でやるならば面白いところを突っ込んでやれば良いのですが,そこは試験対策。出そうな分野を集中的に補強しないといけません。当方は残念ながら送配電に関しては殆ど素人(約半世紀前に講義を受けたようですが),電磁気や電気回路の基礎はある程度あるという状態です。どうも世の中でこの手の検定試験を受ける人は実務などで発変電や送配電の知識はあるが基礎理論のほうが大変という人が結構いるようですが当方とは逆です。むろん両方できる人が受かる試験でしょう。過去問の検討は最も有効な試験対策になりますが,同じ様な過去問が出題されということもほぼ無いので,過去問は出題分野の分析に用いることになります。その出題分野において自分の知識や理解の不足を補うという勉強法になります。今まで取り上げて来た火力発電の知識も特に自分には殆どなかった部分の補強という面でした。ただ送配電に関する実際面としては,回路などの基礎理論以外はほぼない状態です。出題分野において自分の不足部分を集中的に学習できるかどうかがポイントです。

ある程度基礎はあると思うので,知らない語句に関する学習をまずします。半世紀前受けた講義の知識に加え,新しい言葉もかなり入ってきています。何分知らない言葉には手も足も出ませんので。

知らない言葉を知って,ああそんなことだったかとタカを括れるのは良いのですが,逆に言葉は知ってるがその理解が浅いものあり,むしろこれの補強の方が大事です。むしろ此方の方が手強いです。

・有効電力と無効電力について
これに関しては「言葉は知ってるがその理解が浅い」ものの一種でしょう。
同機発電機の進相運転について書きましたが,結局これも無効電力の回収という役目を担っていた訳です。交流理論では無効電力に関しては有効電力ほど詳しくは触れなかったような気がします。電力の需要家側からしたら,省エネは有効電力を如何に減らすかです。しかしながら供給サイドからすれば,無効電力の扱いは有効電力と同等に重要です。過去の出題傾向を分析して,自分の弱いところを補強します。

とりあえず,最近学習した進み位相時に発生するフェランチ効果のベクトル図を描いてみます(図1)。ベクトル図に関しては,三角関数の面倒な合成をすべてわかりやすいベクトル図で表せるので大変強力なツールですので,「電気屋は複素(ガウス)平面上でモノを考える」と言われたものです。ただ描き方にやや特有のコツもあるため,慣れないとやや苦手意識もあります。ちょうどこのくらいのベクトル図がちょうどよい練習になります。

送電線は本来は分布定数回路ですが,集中定数に単純化してインピーダンスをr+jxとします。負荷はR+jXとしますが,これ込みで負荷電流Iが流れるとします。
まず基準のベクトルを決めて,右側プラス方向に書きます。
ここでは受電端電圧V2を基準にします。
まずは回路が誘導性(x+X>0)で,負荷電流Iθ遅れているとします。

送電線路の抵抗分rによる電圧降下がrIとなります。純抵抗ですから電圧は電流Iと同位相なので,Iと平行に書きます。ただし,こちらは電圧なので,V2の頭につなげます(むろん原点から引いて平行四辺形で合成しても良いですが,電流と電圧がごっちゃになるので,電圧は電圧で頭で繋いでいきます)。一方線路のリアクタンス分xによる電圧降下xIは抵抗分とは垂直に描かれます。結局線路の電圧降下は赤の矢印分となります。受電端電圧V2を発生させるには送電端電圧として青で書いたV1が必要だったことがわかります。送電端電圧よりも受電端電圧が低くなるという割と常識的な結果です。

一方回路が容量性(x+X<0)の場合,負荷電流Iはある角度進みます。ここではかなり極端な進みとします。この進み電流に同相な電圧降下rIとやはりそれと垂直なリアクタンス分*による電圧降下xIとで赤で書いた電圧降下となります。V2と合成すると青で描いたV1となり,受電端電圧V2の方が送電端電圧V1よりも高くなっていた!ということになります。

フェランチ効果のベクトル図.png
図1 フェランチ効果発生の可能性を描いたもの。一相分の単純化した回路図と対応するベクトル図。試験対策用でありこの比率が現実的かどうかは分かりません。

*線路はいずれも誘導性として電圧降下を示しています。昼と夜で送電線路のインピーダンスに大きな変動がある訳はなく,夜間にフェランチ効果が発生するのは負荷の誘導性のモーターなどが切り離されて力率補償用の電力用コンデンサのみが接続されているような状況と想定されます。
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たこやきおやじ

Enriqueさん

いまさら受けられるという事は、ひょっとして、電験一種の勉強なのでしょうか。(^^;


by たこやきおやじ (2021-09-16 17:59) 

Enrique

たこやきおやじさん,
滅多に受かる試験ではないので申し上げられません。認定ならば資格はありますが,実務経験がありません。
電験の資格は全く持ってないので,いきなり一種を受ける人は世の中にはあまりいないのではないかと思います。

by Enrique (2021-09-16 21:20) 

U3

 高校まで物理超得意でしたけど高校卒業から45年以上経って、今この記事を読もうとするととても頭がついていきません。(^0^))☆爆笑☆((^Q^)v
 ごめんなさいね!
by U3 (2021-09-16 23:02) 

Enrique

U3さん,
解説を端折って自分の学習のために書いて,むりやりお付き合いいただいているようです。電気屋は変なベクトル図を使いますので,理系の方にも分かりにくいと思います。定量的な現象なのでベクトル図が最も分かりやすい説明になろうかと思います。基本は力のベクトル合成分解と同じなのですが,電気ではそれが時間を止めたスナップショットだということと電流電圧(場合により電力)とそれぞれ次元の異なる量を一緒に載せているところが少し面倒だと思います。力学に例えると振動解析になろうかと思います。
当方も例えば有機化学の亀の子を見てもチンプンカンプンです。
by Enrique (2021-09-17 05:28) 

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