ABU100年

ギターと共にハマった趣味に釣りがあります。
爪の痛みなど気にせずやっていた時期もあります。

メインはルアーフィッシング。それもバス釣りではなく，渓流のイワナやヤマメがターゲットです。

ABUはスウェーデンの釣具メーカーで，学生当時大枚をはたいて出たばかりのカージナル33を買いました。渓流釣りは，エサ釣りでもかなり繊細な釣りです。何泊も泊り込んだりして，渓谷を遡行する沢登り並みのハードさと繊細な釣りのアンバランスさ。「足で釣れ」とか言われます。むろん足でかせいで，ポイントをどんどん変えながら渓谷を何キロも（それ以上も）歩くという事です。やらない人から見たら一番理解され難いタイプの釣りだと思います。

渓流釣りでのルアーフィッシングもかなり少数派でしょう。
ロッドはウルトラ・ライトアクションです。2本つなぎでは遡行に邪魔なので，ザックに仕舞える「喜楽のテレスコピック」を使っていました，ルアーフィッシングでは一日中リールを使いますから，その性能・使い居心地は釣果に直結します。精密かつ堅牢な同社製のリールはルアーマンに圧倒的に支持されていたのではないでしょうか。ちなみに当時高級カメラの代名詞は，やはり同国製のハッセルブラードでしたが，流石にこれは桁違いの額で手が出ませんでしたが，こちらはアルバイト代や食費の切り詰めで何とかなりました。まあ趣味にどれだけ入れ込むかという事でしょう。ちなみに現在，高級カメラメーカーハッセルブラードは中国のドローンメーカーDJIにM&Aされました。時代の流れを感じます。

リールはカメラほどではないにしても精密機器です。同社製の製品はスピニングタイプのカージナルと同軸タイプのアンバサダーです。後者はベイトキャスティングタイプともいい，湖にボートを出してトローリングによる大物狙いや生き餌を使うムーチングなどに用います。渓流を渡り歩く釣りにはスピニングタイプのカージナル。しかも最小型のカージナル33で決まりです。

カージナル33の前は，Garcia製*のミッチェル308というものを使っていました。非常に小型で良いのですが，ベイル機構がやや非力で，戻りが悪くなる故障が頻発したこともあり，ABUのカージナルに変えましたが，カージナルは３，４台買って，現在２台残っています。他社製とは別格の巻き心地です。そのメカニズムの特徴は，ウォームギヤを逆に使っている（ギヤ側を回してウォーム側を駆動する）事で高い回転比と滑らかさと小型化を両立しています。またベイル機構には両方にバネが入っているので，片方が故障して多少戻りが悪くなってもそこそこ使えるという，フォールトトレラント設計になっています。一方が切れたという事も殆どないですが。それと滅多に鳴らすことはないですがドラグ機構が滑らかで，適切に調整しておけばラインの強度ギリギリの大物も狙えます。ファイティング中でも調節できる位置に調整ツマミがあります。

当方手持ちの一台。あちこちキズが付いたり塗装がハゲたりしていますが，現役バリバリ。機能的に全く問題ありません。ボディ内のメカニズムはウォームギヤの逆タイプでこれが滑らかな高回転を生み出します。

欠点といえば，少々ライントラブルがある事でしょうか。ミッチェルよりも多いとも言えませんし，使い心地が良いので，糸ヨレなどに気がつかずにそのままやっていて，トラブってから気が付くという面もあるのでしょう。その点をあげつらう人もいますが，何分趣味のものですから好き嫌いアリアリ。自由です。

とても手に入らなかった同国製のカメラのハッセルブラードですが，結構繊細で壊れやすかったらしいですが，壊しちゃった人は，「ごめんなさい，自分が悪かった」とカメラに謝ったものだそうです。

当方のカージナルは40年以上壊れません。
ABUの製品にはスウェーデン王室御用達のエンブレムが付いていますが，これは伊達ではなく1951年から王室御用達になっていますし，スウェーデン王妃となったシルヴィアさんが婚約時代にカージナルを使ってマス釣りをしている様子が同社のwebページに載っています。

シルヴィア王妃と言えば，大ヒットしたABBAの「ダンシング・クイーン」がらみで有名です。この曲が流行していた時期と，当方がカージナルを使って渓流釣りにハマっていた時期と被ります。

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*当方が使った時はGarcia Mitchellになっていましたが，本来はフランスのMitchell社でした。同社をアメリカのGarcia社が買収したのでした。現在はその後倒産したGarcia社をABU社が統合合併してABU Garcia社となっています。